米国市場の概況と主要株価指数の動向
最近の米国株式市場は、利下げへの期待とハイテク関連銘柄の強さによって牽引され、主要指数はまちまちの動きを見せています。
NASDAQ(ナスダック総合指数)は、金利の利下げが織り込まれた動きにより買いが加速し、最高値を更新しています。
最近の1週間で2%上昇し、2週連続のプラスとなりました。
特にテスラなどの指数寄与度の高い銘柄が全体をサポートしています。
S&P 500も、ザラバ高値を更新する動きが見られ、最近の1週間で1.6%上昇し、直近6週間で5回のプラスを記録するなど好調です。
しかし、FOMC(連邦公開市場委員会)を前に一時的に押し目をつける可能性も指摘されています。
NYダウは、最近は反落する日もありましたが、この1週間では1%上昇し、3週間ぶりにプラスで終えました。
4万6000ドルという節目を超え、長期停滞後のブレイクアウトにより、さらなる上昇が期待されています。
SOX指数(半導体株指数)は、一時的に下落する動きもありましたが、押し目買いの動きが入りやすいチャート形状であるとされています。
半導体関連株は全体的に強い印象を与えています。
ラッセル2000は、大きなボラティリティを伴う日もありましたが、チャートは崩れておらず、引き続き上昇トレンドにあると見られています。
市場全体としては、週末前のポジション調整や、特定のニュースがない中での利益確定売りが見られることもあります。
しかし、下げそうで下げない相場が続いており、押し目を待つ投資家を置き去りにして指数は高値を追い続ける展開となっています。
経済指標と金融政策
米国株市場の今後の動きを左右する主要な要素として、経済指標とFRB(連邦準備制度理事会)の金融政策が挙げられます。
ミシガン大学消費者信頼感指数とインフレ期待
ミシガン大学消費者信頼感指数は、5月以来の低水準となる55.4を記録し、労働市場と物価に対する懸念が消費者の景気見通しを圧迫していることが示されています。
一方、1年先のインフレ期待は4.8%で横ばいでしたが、5~10年先の長期インフレ期待は3.9%に上昇し、市場予想を大きく上回りました。
これは、人々が物価がこの先も高止まりすると認識し始めたことを意味し、インフレ心理が固着すると中央銀行は利下げを進めにくくなる可能性があります。
消費者の約6割が関税に関するコメントを自発的に寄せ、インフレへの懸念を示しています。
FRBの利下げ期待と市場の予測
市場は来週のFOMCでの0.25%の利下げをほぼ100%で織り込んでいます。
モルガン・スタンレーは、来年1月までに4回連続の利下げ(9月、10月、12月、1月で合計100ベーシスポイント)を実施する可能性を予測しており、これについては市場の行き過ぎた期待ではないかという見方もあります。
FRBは通常、一度利下げを実施した後は状況を検証する動きもあるため、連続的な利下げには慎重な見方も存在します。
FRBは市場を驚かせることを嫌うため、期待通りの利下げを実施すると見られています。
労働市場の状況
労働市場は軟化傾向にあり、消費者の不安が高まっています。
新規失業保険申請件数が約4年ぶりの高水準となり、過去のデータ修正でも雇用増加が当初見積もりよりも弱かったことが示されています。
FRBの二大責務である物価の安定と最大雇用において、以前は物価の安定が優先されていましたが、雇用統計の下方修正などから雇用市場がより大きな懸念となっています。
こうした雇用市場の弱さが利下げの材料となる可能性があります。
パウエル議長の発言の重要性
来週のFOMC後に行われるパウエル議長の記者会見での発言は、今後の利下げペースや金融政策の方向性を示す上で極めて重要です。
市場は利下げ自体を織り込み済みであるため、その後のトーンやニュアンスに注目が集まります。
雇用市場の軟化への認識や、物価上昇の一時的な可能性について、認識を変えるかどうかが焦点となります。
金利の動向とブラックロックの見解
10年債利回りはFOMCを控えて若干反発しましたが、全体としては下落トレンドが意識されています。
ブラックロックは、現在の世界的な国債利回り上昇は、政府の巨額の借り入れや財政懸念を反映したものではなく、経済を安定的に維持するために必要な金利水準への押し上げであると指摘しています。
同社は、長らく低すぎた金利水準が是正され、現在の4%や3%といった水準は「本来の金利がある世界」では高くないと考えています。
個別銘柄・セクターの動向
ハイテク株は、利下げ期待を背景に引き続き強い動きを見せています。
テスラは、自動運転車の試験運行をネバダ州でも開始するとのニュースや、中国での新モデル販売好調を受け、連日大幅に上昇し、モメンタムが強まっています。
マイクロソフトとアップルも堅調に上昇しています。
MicrosoftはOpenAIとの提携延長に合意し、AnthropicのAIも一部利用するなど、AI分野での動きが活発です。
NVIDIAなどのAI関連銘柄も市場を牽引しており、データセンターや電力関連も引き続き強いです。
Palantirも上昇し、高値更新を目指す流れにあると見られています。
オラクルは、MicrosoftとOpenAIの提携延長や、OpenAIとの大規模なクラウド契約発表を受け、一時大きく上昇しましたが、その後は調整の売りが入っています。
半導体株は、Micronが連日大幅に上昇し、新高値を更新しています。
AMDやSKハイニックス、NVIDIAも堅調です。
東京エレクトロンは、出遅れていた中での資金流入により上昇し、日経平均を支える要因となりました。
量子コンピューター関連株(iQ_i)や、仮想通貨マイニング企業(Bitfarms, Cipher Mining)もデータセンター需要の恩恵を受け、上昇しています。
消費行動の二極化が進んでおり、労働収入に頼る層の消費マインドは鈍化する可能性がある一方、株式投資で資産を増やしている層の消費は堅調であると見られています。
アリスタネットワークスは、長期予測が保守的と捉えられ、利益確定売りによって株価が下落しました。
市場心理と今後の見通し
機関投資家の動き
機関投資家はS&P 500の持ち高を若干増やしていますが、積極的な買いに転じているわけではないようです。
ポジションを大きく減らしているわけでもなく、様子見の状況にあると見られます。
9月は自社株買いが少ない時期ですが、利下げ期待で市場が買われている部分があるため、FOMC後の株価チャートのパターンが注目されます。
Fear & Greed Index(市場心理)
市場心理を示すFear & Greed Indexは「ニュートラル」な状態にあり、個人投資家はまだ様子見の姿勢を続けていると見られます。
強気派(Bullish)の割合は減少しており、様子見から弱気(Bearish)に転換する投資家が増加しています。
これは、個人投資家が上値追いに対して慎重になっていることを示唆しています。
しかし、このセンチメントが膨れ上がっていない現状は、まだ伸びしろがあるという見方につながる可能性もあります。
今後の市場の焦点
来週のFOMCとその後のパウエル議長の発言が、市場の大きな焦点となります。
利下げが本当に市場を支える救済となるのか、それとも噂で買い、事実で売る展開となるのかが大きな問いとなっています。
過去の歴史では、政策転換時に同様の動きが繰り返されてきました。
利下げ自体は織り込み済みであるため、その後のFRBのメッセージと市場の解釈が、株価の動きを左右すると考えられます。
利下げが景気悪化の兆候であるという逆説的な見方や、長期インフレ期待の高まりの中で金融緩和を進めることによる経済の不安定化、さらには金融政策の限界(関税や地政学リスク)といった懸念も存在します。
また、日経平均株価のSQ値(幻のSQ)が4万5000円を超えたにもかかわらず、ザラバで一度も到達しなかったことは、4万5000円が抵抗線となる可能性を示唆しており、来週この水準を超えられるかが重要です。
地政学リスク・その他
ロシア・ウクライナ戦争と制裁
アメリカはG7に対し、ロシア産原油を輸入する中国とインドに最大100%の関税を課すこと、および凍結されたロシア国家資産(約3000億ドル)を差し押さえてウクライナの防衛に充てる法整備を提案しました。
これはインフレ抑制と世界紛争終結への圧力として考えられています。
欧州中央銀行(ECB)
ECBは利下げを見送りましたが、ドイツの連銀総裁はこれ以上の利下げはインフレ再燃の恐れがあるためできないと発言しました。
トランプ前大統領の動向
トランプ氏はFRBに対し、今すぐ大規模な利下げを行うべきだと主張し、パウエル議長への攻撃的な発言を続けています。
AI関連企業の幹部らとイギリスを訪問し、英国への大規模投資を発表する見込みもあり、AIを巡る動きも活発化しています。
以上の情報が、米国株に関する詳細な説明となります。
市場は多くの期待と懸念が入り混じった複雑な状況にあり、今後のFRBの決定とそれに対する市場の反応が注目されます。


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