米国株に関して、最新のFOMC(連邦公開市場委員会)の結果とそれに伴う市場の動き、主要な銘柄やセクターの動向、そして今後の見通しについて、詳しくご説明します。
FOMC(連邦公開市場委員会)による利下げ決定と背景
9月18日(木)のFOMCで、政策金利が0.25%引き下げられ、FF金利の誘導目標が4.0%から4.25%に設定されました。
これは市場の予想通りの決定でした。
年内にはさらに2回(10月と12月)の0.25%利下げが予想されていると、ドットチャート(FOMCメンバーが考える適切な政策金利水準を示したもの)によって示唆されています。
これにより、年内の利下げは合計3回になるとの見方が強まりました。
パウエル議長は今回の利下げを「リスク管理のため」の予防的利下げであると説明しています。
その背景には、労働市場の軟化の兆候とインフレの高止まりという「ユニークな状況」があります。
失業率は依然として低いものの、わずかに上昇傾向にあり、雇用増加のペースは鈍化しています。
一方で、インフレ率は最近再び上昇し、依然として高水準にあります。
FRBは物価の動向を非常に意識しており、景気が良い中でも予防的に利下げを行うことで、今後の経済の悪化リスクを管理しようとしていると見られます。
FOMCの票決では11対1となり、0.5%の大幅利下げを主張したのは新任のミラン理事のみでした。
他のメンバーは0.25%の利下げに賛成または渋々ながらも同意したとされています。
パウエル議長は、FRBが政権の要求に迎合していないこと、そして機関としての独立性を非常に重視していることを強調しました。
米国市場の即時反応
FOMCの発表後、米国株式市場は乱高下しました。
発表直後には株価が上昇し、ドル安・金利低下に動きましたが、その後急落し、パウエル議長の記者会見後には一部が戻したものの、方向感のない動きとなりました。
これは、一時的に「ハト派」と受け止められたものの、その後パウエル議長の慎重な発言や、市場がFRBは思ったほどハト派ではないと理解したことによるものと考えられます。
最終的な主要株価指数を見ると、ニューヨークダウは0.57%の上昇で取引を終えましたが、S&P 500は0.1%下落、ナスダック総合指数は0.33%下落と、小幅ながらも下落しました。
小型株のラッセル2000は1.82%と大幅に上昇しました。
市場の不安心理を示すVIX指数は3.3%を超える下落を見せ、市場に安心感が広がったことを示しています。
債券市場では、10年債利回りが発表直後に急低下しましたが、その後急速に戻し、発表前の水準よりも高い4.077%で推移しました。
これは、市場が当初受け止めたほどFRBがハト派ではないという見方や、利下げが既に織り込まれていたことによる「事実売り」があったことを示唆しています。
為替市場では、ドル円は一時円高に振れたものの、その後1ドル146円台後半まで円安ドル高に戻りました。
この円安ドル高は、日本の企業業績にプラスとなる材料と見られています。
セクター別・個別銘柄の動向
市場全体としては乱高下しましたが、セクターや個別銘柄には明暗が分かれました。
景気敏感株・消費関連株
キャタピラー、ウォルマート、コストコ、ビザ、マスターカードなどの景気敏感株や消費関連株が好調で、ダウの上昇を牽引しました。
これは、景気が良い中で利下げが行われる「予防的利下げ」が、米国経済にとって悪くない話であると市場が受け止めたためと考えられます。
ハイテク株
相対的に弱い動きを見せました。
特にNVIDIA(エヌビディア)は2.62%下落し、ブロードコムも3.84%下落しました。
これは、中国政府が中国のテック企業に対しNVIDIA製AIチップの購入を停止するよう求めたというニュースの影響が大きいとされています。
テスラ
NVIDIAが下落する中で、テスラは1.01%上昇し、強さを見せました。
半導体指数(SOX指数)
小幅な下落にとどまりました。
半導体関連のレバレッジ型ETFであるSOXLも、日中の下げを乗り越えプラスで引けました。
金融セクター
金利の変動があったものの、金融系銘柄は強さを見せました。
不動産セクター
利下げ再開の期待から、不動産セクターが最も伸びました。
また、億万長者投資家のレオン・クーパーマン氏は、市場全体には懐疑的であるものの、厳選した個別銘柄に投資しています。
彼のトップ保有銘柄としては、AIインフラの重要なプレーヤーであるVertiv Holdings Company (VRT)、米国の主要なミッドストリーム事業者であるEnergy Transfer LP (ET)、そして金融業界で多様なプラットフォームを持つApollo Global Management Incorporated (APO)が挙げられています。
これらの企業は、確固たるキャッシュフロー、強力な経営陣、そして戦略的なポジショニングを持っていることが共通点とされています。
今後の見通しと投資戦略
市場はFOMCの通過で一時的な安心感が広がったものの、今後も不安定な展開が続く可能性が指摘されています。
しかし、年内にさらに2回の利下げが示唆されたことは、年末に向けて株式市場に追い風となる可能性が高いと多くの専門家は見ています。利下げは一般的に株価を押し上げる方向に働きやすいとされています。
一方で、「噂で買って事実で売る」という市場の格言通り、今回の利下げはすでに市場にかなり織り込まれていたため、発表時に「材料出尽くし感」から乱高下や小幅な下落が見られた可能性も指摘されています。
今後の投資戦略としては、短期的な値動きに一喜一憂せず、淡々と積立投資を続ける姿勢が大切だと推奨されています。
市場のボラティリティ(変動性)を恐れるのではなく、長期的な視点からこれを「歓迎」し、投資を継続することが重要とされています。
インフレや雇用情勢のデータ次第では、FRBが年内の追加利下げを見送る可能性もゼロではないため、引き続き経済指標の動向には注意が必要です。


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