米国株に関する最新情報と、それを取り巻く経済状況、主要な個別銘柄の動向について、説明します。
最近の米国株市場の概況と下落要因
最近の米国株市場は、主要指数が若干の調整局面を迎え、反落する展開となりました。
主要指数の動き
NASDAQ総合指数は、-0.95%の下落となり、主要3指数の中で最も下げ幅が大きくなりました。
S&P 500は-0.55%の下落。
ダウ平均株価は-0.19%の下落となりました。
ダウは一時、史上最高値を更新しつつも、陰線となりマイナスに転換しました。
下落の主な要因
この下落の背景には、主に以下の要因が挙げられます。
パウエルFRB議長の発言による警戒感
パウエル議長は講演で、金融引き締め策を急激または過度に進めるとインフレが目標である2%ではなく3%付近で推移し続ける可能性がある一方で、政策を長期化しすぎると労働市場が不必要に悪化するリスクがあるとし、「リスクのない道筋は存在しない」(リスクの存在)ことを強調しました。
また、10月のFOMC(連邦公開市場委員会)での利下げを明確に示唆しなかったことも、市場の期待を抑え、株価を押し下げる側面がありました。
経済指標の弱含み
9月のPMI(購買担当者景気指数)総合値は3ヶ月ぶりの低水準に低下しました。
製造業とサービス業の両方で予想と前回結果を下回る結果となり、需要の冷え込みを示唆しています。
大型ハイテク株からの資金移動と利益確定売り
株価が急激に上昇していた大型テック株を中心に利益確定の動きが見られました。
特にNvidia、Amazon、Teslaなどが大きく下落を主導しました。
著名投資家の見解と主要銘柄の動向
市場のバリュエーション(評価水準)に対する懸念
著名なヘッジファンド創設者であるデイビッド・テッパー氏(アパルーサ・マネジメント)は、現在の株価のマルチプル(倍率)を「気に入らない」(i don’t love the multiples)と述べ、市場を「泡立っている(frothy)」「割高」と表現しています。
FRBのパウエル議長も、多くの指標が株価が歴史的水準から見てかなり高い評価水準にあることを示唆していると述べています。
しかしテッパー氏は、FRBが流動性を提供している状況でFRBの方針に逆らうのは負け戦である、との見解も示しており、市場の懐疑論にもかかわらず、自身のポートフォリオに機会を見出しています。
デイビッド・テッパー氏の注目銘柄
テッパー氏が最近持ち株を増やした、または大量に保有している注目銘柄は以下の通りです。
ユナイテッドヘルス・グループ(United Health Group Incorporated, UNH)
米国ヘルスケアシステムにおいて最も支配的なプレーヤーの一つです。
従来の保険部門(United Healthcare)と、急速に成長する医療サービス・データ分析プラットフォームOptumを組み合わせています。
2024年の収益は4,000億ドルを超え、Optumの貢献度が保険部門に匹敵するほど成長しており、複数の収益源を持つことで規制や医療コスト変動に対する弾力性(resilience)を高めています。
テッパー氏は前四半期に同社株を1,300%以上増やし、最大級の保有銘柄の一つとしています。
同社はディフェンシブな安定性と着実な成長を兼ね備えた機会を提供しています。
NRGエナジー(NRG Energy Incorporated, NRG)
伝統的な公益事業から、データセンター、AI、スマートホームが牽引する次世代のエネルギー需要のバックボーンへと変貌を遂げています。
データセンターとの長期小売電力契約はプレミアムなマージンと数十年の需要の確実性をもたらし、スマートホーム技術とグリッド管理を組み合わせた仮想発電所(Virtual Power Plant)プラットフォームが急速に拡大しています。
テッパー氏は、AIやデジタル経済のエネルギーニーズへのエクスポージャーを求める投資家にとって、NRGが適切な場所と戦略を持つ企業として際立っていると見ています。
エヌビディア(Nvidia Corporate, NVDA)
AI革命の代名詞はとなっており、現代のコンピューティングのバックボーンを担っています。
同社のGPUは業界標準であり、そのソフトウェアエコシステムがシームレスな導入を可能にし、競合他社が追いつくのに苦労する堀を築いています。
テッパー氏は前四半期に同社への保有を500%近く増やしました。
中国との政治的緊張による短期的ボラティリティはあるものの、中国を含め世界中がNvidiaの技術を最終的に必要としているという点で、同社の不可欠性(indispensability)が長期的に強化されると見られています。
セクター別動向
最近の市場の調整局面において、テクノロジーセクターが最も悪かった一方、エネルギーセクターは+1.85%で最も大きく上昇しました。
また、生活必需品、公益、不動産といった景気変動に比較的強いディフェンシブなセクターも好調な銘柄が見られました。
日本の投資家が直面するリスク(金融所得課税)
日本の投資家が米国株投資を行う上で懸念すべき国内の政治・税制リスクについて。
金融所得課税引き上げの可能性
ある政治家が総理になった場合、金融所得課税を現在の20%台から30%に引き上げるという観測が浮上し、投資家の間で衝撃が走りました。
影響の深刻さ
米国株の配当金は、すでに米国で10%の源泉徴収がされているため、日本での課税が30%に引き上げられると、実質的な税負担は約40%に達します。
配当投資家への打撃
この変更が実現した場合、配当金収入で生活設計をするFIRE(Financial Independence, Retire Early)を目指す投資家にとっては死活問題となり、資産形成の計画が根底から崩れるリスクがあります。
また、配当の魅力が大幅に減ることで、投資文化の定着に逆風をもたらす可能性も指摘されています。
対処戦略
増税リスクへの防御策として、以下の戦略が提案されています。
NISA(非課税枠)の最大限の活用
NISA口座内であれば、配当や売却益が非課税となるため、増税リスクを回避する最も強力な防御策となります。
無分配型投資信託の活用
配当を投資家に支払わず、ファンド内で自動的に再投資するタイプの投資信託を利用することで、課税タイミングを先送りし、効率的な複利運用が可能になります。
外国税額控除の活用
米国で源泉徴収された10%分の税金は、確定申告を行うことで「外国税額控除」を利用して取り戻すことが可能です(ただし手続きは複雑)。
投資家は、これらの税制上のリスクを冷静に見極め、NISAと無分配型投資信託の組み合わせを活用することが重要であるとされています。


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