米国株市場は、企業の好調な決算とAI(人工知能)分野への巨額な投資によって牽引されています。
市場動向と決算
指数の動き
直近では、S&P 500、NASDAQ、ダウ平均ともに上昇しました。
特にNASDAQは7ヶ月連続で月間上昇を記録しており、これは2018年1月以来の最長記録です。
10月単月で見ると、NASDAQは約4.7%高、S&P 500は約2.3%高となりました。
企業決算
今期決算を発表したS&P 500企業の大部分(約83%)が予想を上回る利益を上げており、決算状況は良好です。
個別銘柄の動き
Amazonは強力な決算(特にAWSの成長)を受けて株価が大きく上昇し、市場を押し上げました。
一方、MetaやMicrosoftは、過剰投資への懸念や収益化の曖昧さから、決算発表後に下落する場面も見られました。
AIへの巨額投資と「公循環」
AIへの支出が現在の米国株市場の最も重要なテーマです。
ハイパー・スケーラーによる投資
Google、Microsoft、Meta、Amazonの4社は、AIへの投資を加速させるため、設備投資の予測を引き上げました。
これら4社の今年の設備投資の合計は3,800億ドル以上に達すると予想されています。
AIブームの見通し
NVIDIAのCEOであるジェンセン・ファン氏は、AIが「公循環」(AIの改善が利用を増やし、それが利益とさらなる投資を生むサイクル)に入ったと述べています。
ファン氏は、我々は新しいコンピューティング時代の10年の始まりにいるとし、過去に構築された膨大なコンピューター資産(1兆ドル規模)が、CPUベースからGPUベースの新しいプラットフォームへ移行する必要があると強調しています。
収益性の違い
AI投資の収益化については、クラウドサービス(AWS、Azure、Google Cloud)を持つAmazon、Microsoft、Googleの3社は、他者がクラウドを利用することでAIも利用可能になるため、収益への結びつきが明確だと見られています。
一方、クラウドを持たないMetaは、AIの恩恵がデジタル広告の改善など間接的であるため、アナリストから「未知の収益機会」として見られています。
金融政策とバブル懸念
金利政策
直近のFOMCで利下げが決定されましたが、12月の利下げについては不確実性が残っています。
市場の折り込みでは、現状維持が約35%、25ベーシスポイントの利下げが約65%となっています。
FRB内の意見対立
一部の連銀総裁(ダラス連銀のローガン総裁など)は、労働市場が概ね均衡し、経済が勢いを継続していること、そしてインフレが依然として高すぎることから、利下げに反対の姿勢を示しています。
バブル論争
AI関連株への集中投資により、市場ではバブル懸念が議論されています。
しかし、現在、市場が「バブルかどうか」を議論している間は、まだ健全なマーケットであるという見方もあります。
著名投資家の警告
「ビッグショート」で知られるマイケル・バリー氏は、現在の市場について「唯一の勝ち筋は関わらないことだ」という警告を発しており、市場の崩壊を予期している可能性を示唆しています。
まとめ
米国株市場は、ビッグテック企業によるAIへの積極的な投資と堅調な決算に支えられ、強い上昇基調にあります。
AIは単なる一過性のブームではなく、社会を変えるほどの大きな需要を生み出すと予想されていますが、一方で、一部の連銀総裁は経済の勢いとインフレを懸念しており、また、市場の過熱感からバブルの可能性を指摘する声も上がっています。
例え話で理解を深めるために
現在の米国株市場におけるAI投資ブームは、まるで新しい大陸へのゴールドラッシュに似ています。
AmazonやMicrosoftといったクラウド企業は、ゴールドラッシュで最も儲けた「ツルハシやジーンズを売る人」のように、AI開発に必要なインフラ(GPU、クラウドサービス)を提供することで、確実な利益を得ています。
AIそのものが未来の富を生む巨大な機会である一方で、投資の勢いが加熱しすぎると、マイケル・バリー氏が警告するように、足元が崩れるリスク(バブル)も常に存在している状況です。


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