米国株2025年11月7日

米国株
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米国株市場は、全体的に軟調な展開を見せています。

特に2025年11月6日(木曜日)の市場では、主要指数であるニューヨークダウが-0.84%、S&P 500が-1.12%、ナスダックが-1.9%下落しました。

ナスダック100は、先週金曜日(対比)から2%を超える下落となり、4月上旬以来の最悪の週ペースとなっています。

この下落の背景には、主に雇用市場に関する懸念と、金融政策当局者の利下げに対する慎重姿勢があります。

景気および雇用市場の状況

政府閉鎖(シャットダウン)が続いているため、政府の公式統計の発表が制限されており、投資家は民間の調査データに注目しています。

レイオフ(人員削減)の急増

民間調査会社チャレンジャーのデータによると、10月の米企業による人員削減数は153,074人に達しました。

これは前月(9月)の約3倍、前年同月比では175%増という急増です。

この削減数は、2003年以来の10月として最多の水準となっています。

年間累計で見ると、2009年以来最悪の年となっています。

人員削減が最も多かったセクターは、テクノロジー企業と倉庫業でした。

背景には、AI導入の進展による産業構造の変化、個人消費や企業支出の減速、そしてコスト上昇が挙げられます。

専門家は、今回のレイオフは景気後退によるものではなく、AI導入に伴う「構造転換型」のリストラであると分析しています。

その他の雇用データ

別の民間調査会社レベリオ・ラボによると、10月の非農業部門雇用者数は9,100人減少したと報告されています。

ADPリサーチのデータでは、10月の民間企業雇用は42,000人増加し、市場予想(22,000人増)を上回りましたが、中小企業では減少が見られ、雇用増加は大企業に偏っています。

このデータは、雇用が「強すぎず、弱すぎず」の中間的な状況を示唆しています。

金融政策と利下げ期待

連邦準備制度理事会(FRB)の当局者は、利下げの継続に慎重な姿勢を見せています。

シカゴ連銀のグールズビー総裁は、コア・サービス・インフレの上昇や、物価圧力が持続していることを懸念しており、次回FOMCでは利下げには投票しない考えを示唆しています。

クリーブランド連銀のメスター総裁も、労働市場よりもインフレの方が差し迫った懸念であるとし、高いインフレが経済に定着するリスクを警告し、政策はこれに対抗する方向で運営されるべきだと述べています。

こうした発言を受け、市場の利下げ期待は後退し、次回12月10日のFOMCでの現状維持の予想は28%程度まで上昇しています(以前は約90%が利下げを予想していた)。

ただし、方向性としては利下げが継続されるものの、時期が後ずれするだけという見方も強いです。

現在、FRB当局者はインフレよりも労働市場の弱まりをより重要な懸念として表明しており、雇用が崩壊する前にソフトランディングを維持することを最優先にしている可能性があります。

株式市場とAI関連銘柄の動向

市場はテクニカル的にも警戒水準にあります。

主要指数は21日移動平均線を下回り、ナスダックはトレンドラインの「ギリギリのところ」に位置しています。

恐怖指数VIXも上昇し、20に迫っています。

AI関連銘柄のバリュエーション(評価額)に対する懸念が広がり、特にハイテク株の売りが目立っています。

半導体セクターの急落

NVIDIAは-3.7%、AMDは-7%、ブロードコム、Intelなど、半導体セクターは大きく売られました。

NVIDIAのCEOであるジェン・ファン氏が、米国の過度な規制やエネルギーコストの高さから、AI競争では中国が勝つ可能性が高いと警告したことも影響しました。

さらに、米政府は国家安全保障上の理由から、NVIDIAが中国向けに設計した性能を抑えたAIチップ(B30A)の販売を禁止する方針を決定しました。

個別銘柄の動き

データドッグ(DataDog)は、好調な見通しを受け、売上高が予想を上回ったことから23%以上急騰しました。

AIブームによるクラウドセキュリティ需要の恩恵を受けていると見られています。

一方、パランティア(Palantir)は急落し、重要な50日移動平均線を割り込んでいます。

パランティアはAI主導の上昇相場を占う上で重要なシグナル銘柄と見なされています。

テスラでは、イーロン・マスク氏の巨額の報酬パッケージ案が、投票に参加した株主の75%の賛成により承認されました。

メタ(Meta)の広告問題

メタが詐欺広告により収益を得ていることが内部文書で明らかになりました。

2024年に得た収益の約10%(約160億ドル)が詐欺的な広告によるものと推定されています。

同社は詐欺広告を完全に排除する代わりにペナルティ料金を課すなど、会社の利益を減らしすぎないよう対策チームの行動を制限していたことが指摘されています。

現在、SEC(米証券取引委員会)もこの問題を調査中です。

投資戦略と今後の見通し

AI関連の投資熱は高いものの、バブル崩壊というよりも、高すぎる株価に投資家が疲弊する「バリュエーション疲れ」が懸念されています。

AIスーパーサイクル

専門家はAIのスーパーサイクルはまだ始ったばかりの初期段階にあると見ています。

AI関連の設備投資は、「マグニフィセント・セブン」だけでなく、チャールズ・シュワブやJPモルガンといった大手金融機関にも広がっています。

短期と長期の視点

短期的な雇用悪化は不況のリスクを意識させますが、長期的にはAIによる効率化で企業収益は拡大する可能性が高いとされています。

今回の株価下落は、AIのストーリーに変化があったわけではなく、健全な調整の範囲内と捉えられています。

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