市場の全体的な動きとセクターローテーション
11月12日の米国株式市場では、「ビッグ・ローテーション」が発生しました。
投資資金の一部が、ハイテク株から他のセクターへと移動しました。
主要指数では、ダウ平均株価が市場の上昇を牽引し、559ポイント上昇、今年16回目の最高値で取引を終えました。
S&P 500も0.2%程度上昇しましたが、ナスダック総合指数は0.3%弱の下落となりました。
ヘルスケアセクターが特に好調で、製薬大手のメルクとアムジェンがそれぞれ約5%上昇し、ダウ平均を牽引しました。
内キも約4%上昇しています。
バリュー株、低ボラティリティ株、配当重視型ファンドが堅調でした。
テック株とAI関連株が大きく打撃を受けました。
今回の動きは、ここ数ヶ月で最大級の「勝ち組から負け組へのローテーション」だったと評されています。
AI関連銘柄の動向と決算
AI関連銘柄の過熱感に対する懸念や、一部銘柄の決算発表が重なり、テック株の下落要因となりました。
CoreWeave(コアウィーブ)
NVIDIAのチップをAI開発企業に貸し出すクラウドプロバイダーである同社は、9月期の売上が前年比134%増の約14億ドルに達し、受注残高も550億ドル以上と倍増しましたが、株価は16%もの急落となりました。
これは、CEOが第三者データセンター開発業者の遅延により、第4四半期の収益が予想を大きく下回る可能性があると警告したためです。
また、事業拡大のために第3四半期だけで約16億ドルのキャッシュを消費したことも、投資家を不安にさせました。
NVIDIA(エヌビディア)
約3%の下落となりました。
Nebius(ネビウス)
NVIDIAのパートナーである同社も7.1%下落し、6ヶ月ぶりに50日移動平均線を下回りました。
売上高は予想を下回ったものの、前年同期比で355.1%という高い成長率を示しています。
AMD
終値では2.7%の下落でしたが、引け後にアナリストデーを開催し、CEOのリサ・スー氏が強気の見通しを示したことで、時間外取引で5%を超える上昇を見せました。
同社は、今後3〜5年で全体的な売上成長が本格的に加速し、営業利益率が35%以上に上昇する見通しを示しています。
Meta(メタ)
0.7%下落しました。
AIへの巨額投資が実際に収益を生むのかというウォール街からの圧力にさらされています。
また、同社の主任AI科学者が数ヶ月以内に退社し、自身のAIスタートアップを立ち上げる予定であることも報じられています。
Tesla(テスラ)
中国での10月販売が3年ぶりの低水準となったことを受け、1.2%下落しました。
ソフトバンクグループの戦略的売却
ソフトバンクグループ(SBG)は、10月に保有していたNVIDIA株3210万株の全持ち分を58.3億ドル(約8,990億円)で売却したと発表しました。
売却の理由
SBGは、NVIDIAの見通しへの懸念からではなく、OpenAIへの大型投資資金を確保するための売却であると説明しました。
OpenAIへの傾注
SBGは、OpenAIへの225億ドルの追加投資を承認しており、これは以前の75億ドルの投資に続く第2弾です。
CFOは、OpenAIへの総額が300億ドルを超える投資を実行しなければならないため、既存資産の一部を売却して資金調達に活用していると述べています。
市場の評価
市場ではSBGを「OpenAI関連のハイレバレッジ銘柄」と見なす傾向が強まっています。
SBGのCFOは、AIに投資しないリスクは投資するリスクをはるかに上回る、とAIへの積極姿勢を明確にしています。
債券市場の緊張と会計への懸念
AIインフラの拡大を背景に、債券市場ではテック企業の借金リスクに対する懸念が広がっています。
社債発行の増加
アルファベット、メタ、マイクロソフト、オラクルといった巨大テック企業がAIデータセンター建設資金を賄うために社債を大量に発行しています。
スプレッドの拡大
投資家が安全資産である米国債と比べて、テック企業の社債に要求する上乗せ金利(スプレッド)が拡大しています。
これは、投資家が企業の借金リスクを以前より大きく見ていることを示唆しています。
Oracleの事例
オラクルが9月に発行した180億ドルの社債価格は、AIビジネスをOpenAIのようなごく少数に頼りすぎている懸念から、急落しました。
CDSの急上昇
企業の倒産リスクに対する保険のような指標であるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の保険料も、CoreWeaveなどで数週間で急上昇しており、市場が当該企業のリスクが高まっていると見なしているサインとなっています。
また、「ビッグ・ショート」で知られる投資家マイケル・バリー氏は、AI企業の会計処理に疑念を呈しました。
同氏は、AIチップの減価償却を過小計上し、利益を水増ししている企業があるとし、これを現代的な粉飾の一種だと警告しています。
彼の試算によれば、メタ、Google、オラクル、マイクロソフト、Amazonの5社が、2026年から2028年の3年間で、合計約1760億ドルの減価償却費を過小計上している可能性があるとのことです。
政府閉鎖の終結と経済指標
上院が政府閉鎖を回避するためのつなぎ予算案を可決し、終結に向けて大きく前進しました。
過去の事例を見ると、政府閉鎖問題は株式市場に大きな影響を与えない傾向にあり、むしろ閉鎖終了後の1年間は株価が上昇しやすいというデータがあります。
経済指標では、民間のADPデータに基づき、労働市場の弱まりが示唆されています。
米企業は10月後半の1週間に平均1万1250人の人員を削減しました。
また、全米自営業連盟が発表した中小企業の景況感は6ヶ月ぶりの低水準となり、景気楽観が後退しています。


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