11月17日の米国株市場の現状

現在の米国株市場は、世界的リスクオフの動きの中で全面的な売り優勢となり、主要指数は軒並み下落しています。
ダウ平均は約1.2%(500ポイント超)、S&P 500は0.9%、ナスダックは0.8%の下落を記録しました。
テクニカル的節目
S&P 500とナスダックは、4月末以来初めて50日移動平均線を下回って引けました。
これはテクニカル的にはかなり意味がある動きです。
S&P 500は、直近の高値から4.8%下落しています。
これは平均すると年に3回以上起こる5%程度の調整局面に該当します。
最も弱いのは景気循環株、中型株、小型株であり、小型株のラッセル2000は2%安となり、既に直近の安値を下回っています。
S&P 500では出来高が増加しており、機関投資家による売りを暗示しています。
市場心理と懸念
投資家がリスクを回避したい時に通常見られる債券利回りの大幅な低下は限定的でした。
恐怖指数であるVIXは一時23を超えましたが、これは市場全体の不安心理を示すものの、相場が底入れするために通常必要とされる極端な恐怖水準(30や40超)には達していません。
また、ブル・ベア指数を見ても、まだ強気が弱気を大幅に上回っており、本格的な悲観ムードにはほど遠い状態です。
債券王として知られるジェフリー・ガンドラック氏は、株式市場の極端な高バリュエーションを指摘し、極めて投機的な賭けを避けるよう警告しています。
彼は、自分のキャリアの中で株式市場の健全性が最も低いレベルにあると表現し、市場崩壊へのヘッジとして資産の20%を現金で保有することを推奨しています。
今週の主要イベントと焦点
今週は、市場の行方を左右する大きなイベントが目白押しです。
NVIDIAの決算
最大の山場は、水曜日(米国時間)に予定されているNVIDIAの決算発表です。
NVIDIA株はS&P 500指数の約7.5%から8%を占める超大型銘柄であるため、その決算結果は指数全体に甚大な影響を与えます。
市場は、データセンター向けAIチップの伸びがどこまで持続するか、中国向け規制、競合への言及、そして次期(第4四半期)のガイダンスに特に神経質になっています。
もし成長が加速しているというメッセージが出ればハイテク株全体に安心感が広がる一方、成長鈍化や予想割れがあれば、AIバブルへの警戒感が一気に強まり、AI関連株全体を巻き込んだ調整が想定されます。
経済指標と金融政策
古いデータではありますが、FOMC議事要旨に加え、9月分の雇用統計が発表されます。
また、氷大手の決算も相次ぎ、消費者の動きが明らかになります。
最近のFRB当局者からは、利下げの可能性を後退させるタカ派的な発言が多く出ており、市場の12月利下げ予想は現状維持に傾きつつあります。
経済指標が緩やかに弱まる内容であれば、12月利下げが現実味を帯び、株価にはプラスとなりますが、強すぎても弱すぎても株価にはマイナスに働く可能性があります。
AIブームとビッグテックの動向
AI関連ブームは、今年上半期の実質GDP成長率に大きく貢献しており、米経済の主要な成長ドライバーとなっています。
AIへの投資額は爆発的に増加しており、その規模はインターネットバブル期を上回り、鉄道ブームをも凌ぐインフラ投資ブームに例えられています。
マグニフィセント7の動き
アルファベット(Google)は、ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが43億ドル規模の株式を保有していることが週末に明らかになり、約3%上昇しました。
アルファベットは、予想利益の25倍前後で取引されており、Apple(33倍)と比較すると割安であると評価されています。
また、同社の次期AIモデル「Gemini 3」の発表が近いとの噂も高材料です。
Apple株は1.8%下落し、4日続落となっています。
バークシャーは第3四半期にApple株の保有をさらに15%減らしました。
メタ株は失速しており、来年のAI投資の引き上げを発表して以来、投資家が逃げ出し株価は20%急落しています。
NVIDIAに関しては、ピーター・ティール氏のファウンダーズ・ファンドが第3四半期に全ポジションを処分したとのニュースがあります。
インフラ投資と社債発行
ビッグテック各社は、AIデータセンター建設の資金を負債で賄う方向にシフトしています。
Amazon(120億ドル)、アルファベット(250億ドル)、メタ(300億ドル)、オラクル(180億ドル)などが大型の社債発行を続けており、今年に入りAI関連インフラ資金として既に2,000億ドル超の社債が発行されています。
個別株とその他のリスク要因
デル・テクノロジーズは、モルガン・スタンレーによる格下げ(半導体価格スーパーサイクルの過法リスク指摘)を受け、S&P 500のワーストとなる8.4%の急落となりました。
アメリカン・エキスプレスは、消費者ローンにおける純貸し倒れ率の上昇を発表し、消費者の家計が弱り始めている兆候として4%下落しました。
オンライン旅行予約企業(エクスペディアなど)の株価は、GoogleがAIを搭載した新しい旅行ツールをローンチしたことが嫌気され、下落しました。
ビットコインなどのリスク資産も下落が続き、9万ドルを一時割り込みました。
ビットコインの動きは現在、米国株先物市場と連動しており、AI株ブームの破綻を懸念するETF投資家の動向に強く影響されています。
現在の市場の動きは、歴史的なAI投資ブームのサイクルの中での調整局面と位置づけられますが、ジェフリー・ガンドラック氏のような専門家は極端な投機性について警鐘を鳴らしています。
投資家にとって重要なのは、AIブームの崩壊リスクと、ブームを逃すリスクの両方を意識し、分散を図ることです。
具体的には、AIインフラの恩恵を受ける大型ハイテク株を軸にしつつ、工業株や低ボラティリティ株にも分散させる「バベル型」のポートフォリオ構築が有効とされています。


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