市場概況と主要指数
11月19日の米国株市場は「ジェットコースター相場」であり、寄り付きで急騰した後、上げ幅を消し、引けにかけて再び切り返すといった動きを見せています。
主要指数の動き

NASDAQ総合指数が最も強い動きを示し、0.6%上昇して2日続いた下落に歯止めをかけました。
S&P 500は0.4%高、ダウ平均は0.1%高で引けています。
個別銘柄の動向
大型株中心の買いが指数を支えた一方で、小型株のラッセル 2000はわずかに下落しました。
市場全体を見ると、値上がり銘柄よりも値下がり銘柄のほうが多く、一部の大型ハイテク株だけが相場を支えている構図が続いています。
テクニカル面
主要指数は、チャート上では依然として50日移動平均線の下に位置しています。
個別企業の注目点
Google (Alphabet)
親会社アルファベットは、最新AIモデル「Gemini 3」への絶賛レビューが相次ぎ、3%の上昇となり高値を更新しています。
パランティア/マイクロソフト
一方でパランティアの下落は止まらず1%以上の下落となり、マイクロソフトも2日続けて下落しています
消費関連
小売大手のターゲットが売上の弱さから下落し、ウォルマートも小幅安で終えるなど、インフレや金利高の影響で消費者が無駄遣いを控えている可能性が意識されています。
経済データと金融政策
市場は、FRBの金融政策と重要な経済指標に強く注目しています。
利下げ期待の後退
12月のFOMCでの利下げ期待は、労働統計の発表中止とFOMC議事録の高派的な内容という二つの悪材料により打ち砕かれました。
FOMC議事録
公表されたFOMC議事録は、メンバーが想定以上にタカ派寄りであることを示しました [1]。議事録公開後、CMEフェドウォッチにおける12月の利下げ確率は33%にまで低下しました。
多くのアナリストが12月は現状維持になると予想しており、現状維持の可能性が66.21%と直近で最も高くなっています。
FRB内部でも利下げを急ぎすぎることへの慎重論が強く出ており、タカ派とハト派の意見が割れています。
雇用統計の遅延
米政府閉鎖の影響により、労働統計局は10月分の雇用統計を発表しないと通知しました。
10月分のデータは11月レポートに組み込まれ、11月分はFOMC後の12月16日に発表される予定です。
このため、FRBと市場は、遅れて公表される9月分の雇用統計(今夜発表予定)や民間の指標を頼りに12月会合を判断せざるを得ない、難しい状況となっています。
景気の強さ
アトランタ連銀が発表するGDPNow(速報ベースのGDP予測)は、4.2%という非常に強い数値を示しており、米国の景気の状況が非常に強いことを示しています。
NVIDIA(エヌビディア)の決算とAIブームの再加速
市場の注目を集めていたNVIDIAの決算は「強気派の勝利」と総括され、AIブームの持続性に安心感を与えました。
決算内容
8月から10月期の売上高は予想54.92Bドルに対し57.01Bドル、EPSは予想1.25ドルに対し1.30ドルと、いずれも市場予想を上回りました。
売上高成長率は前年同期比で62%増と、依然として伸び方が加速している脅威的な状態です。
データセンター事業
AI向けGPUを中心とするデータセンター事業が圧倒的な主役であり、売上は51.2Bドル(予想を上回る)で、前年比66%増と桁違いの成長を続けています。
データセンター事業は、全体の売上の約9割を占めています。
ガイダンス(業績見通し)
次の第4四半期の売上高見通しは650億ドルとされ、市場コンセンサスの約616億ドルを大幅に上回りました。
さらに、粗利益率も約75%を見込んでいます。
需要と供給
AI向けGPU「ブラックウェル」に対する需要は「桁外れ(オフザ チャート)」であり、クラウドGPUは完売状態であるとCEOは述べています。
CEOによるAI観
ジェンスン・ファンCEOは、現在の状況を「AIバブルではない」と主張し、AIエコシステムが急速に拡大し、「AIの好循環」に入ったと述べています。
この成長は、CPU中心のインフラがGPU中心に置き換わることや、自立的に動く「エージェンティック AI」の普及によってさらに加速すると説明しています。
将来の焦点
ファンCEOは、AI進化の次の波として、物理法則や摩擦、因果関係を理解する「第4の波:フィジカル AI」を挙げ、これが現実世界で働くロボティクス(ロボット)の新時代につながるとの見通しを示しています。
中国市場
中国向けの売上予測はゼロであり、ガイダンスにも中国向け売上は含まれていません。
同社は、市場に戻れるよう、米中両政府との協議を継続したい意向です。
市場への影響
NVIDIAの決算を受け、時間外取引で株価は5%以上上昇しました。
この好調な結果は、AIブームの持続性を示し、短期的な「AIバブル崩壊懸念」を押し返す材料となりました。
専門家の見解と今後の焦点
市場の調整観
ゴールドマン・サックス・グループの社長は、相場はさらに下落する可能性があり、テクニカル面では下方向へのバイアスが強まっているものの、現在の調整は「健全」であり、下落の幅は限定的と見ています。
押し目買いの機会
ブラックロックはAI相場調整局面でも強気を維持し、株式比率を引き上げました。
JPモルガンの幹部も、最近の下落はテクニカル的な洗い流しであり、押し目買いの好機であるというスタンスを取っています。
今後の注目スケジュール
市場は12月のFOMC(12月9日〜10日)をゴール地点と意識しており、それまでに発表される最新の経済指標(特に延期されていた9月分の雇用統計や、ISM指数、ADPなど)が相場の方向性を左右する見通しです。
NVIDIAの強力な決算は、現在の米国株市場において、AI投資という巨大なエンジンがまだ勢いを失っていないことを示しました。
これは、まるで巨大な建設プロジェクトの現場監督が、資材(GPU)の納入が予想を上回り、プロジェクトの完成(AI技術の普及)が当初の予定より早く進む見込みだと宣言したような状況です。
資材を納入する側(NVIDIA)がこれほど好調であるということは、世界中の建設者(クラウド事業者や大企業)がAIインフラへの投資を加速している証拠であると市場は受け止めています。


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