事業再編は、どのように行われるか?

日本経済が成熟期に入り、事業再編が珍しくなくなりました。

事業再編に関する用語を解説します。

経営統合

2つ以上の会社組織が、会社の経営母体を統合することで、共同持株会社の設立が代表的です。

経営統合とは、明確な定義がないまま幅広く使われていますが、通常は2つ以上の会社の経営母体が「○○ホールディングス」などの共同の持株会社を設立し、それぞれが対等に持株会社の100%子会社に移行する形態を指すことが多いようです。

リーダーとなる一つの会社がほかの会社を吸収して存続会社となる場合は合併といいます。

経営統合では一つの会社組織にせず、持株会社の傘下に各会社を存続させたまま、事業を行います。

持株会社が全体の事業戦略を立てて経営の効率化を図る企業再編の一つの方法として活用されています。

業務提携・資本提携

独立した会社同士が協力し合うことが業務提携で、さらに、持ち株比率10%弱程度の出資をし合うと資本提携。

業務提携は、コスト削減や販路拡大等で利益が増大するように事業や業務を提携することです。

共同の技術、研究開発、共通商品の取り扱い、物理システムの共有などが挙げられます。

資本提携は、お互いの株式を持ち合い、資本関係を提携することです。

経営支配権を持たない程度の持ち株比率で、基本的にお互いの独立関係が前提です。

資本関係によって事業の成果や利益面で相乗効果を生むもので、単なる株式持ち合いとはニュアンスが異なります。

将来、持ち株比率を引き上げ、合併や持株会社の設立を視野に入れている場合も見られます。

業務提携

  • ライセンス契約
  • 生産提携
  • 販売提携
  • 物流提携

資本提携

お互いの株式を持ち合い、関係強化で事業の相乗効果。

株式持ち合い

会社同士が、お互いの株式を持ち合う事。

お互いに安定株主として機能して、買収防衛の目的で最近再び活性化しています。

株式を持ち合う状況は、時代とともに変化しています。

戦後に財閥解体で株式が分散したので、旧財閥が買収防衛目的で株式買い占めを行い、持ち合いが進みました。

1990年初頭にバブル経済が崩壊し、時価会計を導入すると、持ち合いは減少しました。

業績が悪く株価が低迷する会社の株式を持てば、自社の業績に悪影響を与えるからです。

持株会社

他の会社の事業活動を支配する目的で、その会社の株式を多数保有する会社のことで、自らはグループ全体の経営戦略を立てるなどが本業です。

複数の会社の株式を保有することにより、グループ会社の経営を支配して、グループ全体の経営計画の立案に関わっている会社のことを持株会社といいます。

持株会社には、純粋持株会社と事業特殊会社とがあります。

純粋持株会社は、ほかの会社を支配することが本業です。

主な収入源はグループ会社からの配当金収入で、自らは事業を行いません。

事業特殊会社は、本業を行う一方で、他の会社を支配します。

一般に特殊会社という場合は、純粋持株会社を指しており、事業特殊会社のことは親会社と呼ぶことがほとんどです。

持株交換・株式移転

どちらも複数の会社を経営統合する際の方法ですが、完全親会社を作り出す手段が違います。

従来のM&A(企業の合併・買収)の資金は、主に現金でした。

しかし、経済のグローバル化で統合規模が拡大し、法改正により株式の交換で買収ができるようになりました。

株式交換では、統合で親会社になる会社が完全子会社になる会社の株主の株式を受取り、親会社の株式を渡します。

株式交換とはいっても、子会社になる側の株主に渡す対価は親会社の株式でなくてもよくて、例えば、現金を渡す方法でも可能です。

元からの親会社の株主と完全子会社になった会社の元株主が親会社の株主になります。

株式移転では、統合で複数の完全子会社の持株会社である親会社を新設します。

各子会社の株主は子会社の株式を渡して持株会社の株式を受け取り、新たに持株会社の株主になります。

M&A

M&Aは企業の合併・買収のことです。

2つ以上の会社が一つになるのが合併、1つの会社が別の会社の議決権株式の過半数を買い取ったり、事業部門の資産を買い取ったりすることが買収です。

会社が一から新規事業を立ち上げるよりも、素早く新規分野への進出ができます。

既存分野や関連事業の強化、グループ全体の再編など、時間とコストの節約が可能になります。

度々の制度改正によって株式交換や会社分割、持株会社などの合併・買収に関する手続きが簡単になっています。

その結果、昨今のM&A件数の増加を後押ししています。

TOB(take over bit)

TOB(株式公開買付け)は、株式市場を通さずに、広く不特定多数の株主から株式を買い取る制度です。

購入希望者は、株数や価格などを公表、どの株主からも同一条件で買い取ります。

主に買収や関連会社等の出資比率の引き上げ、自社株買い等が目的です。

買収会社にとっては、市場で株式を購入するのに比べ、一定の価格で短期間に集めやすい点がメリットです。

買付け予定数の株式が集まらなかった場合は株式を返却してキャンセルできます。

デメリットは、買収を仕掛けていることが明らかになることです。

金融商品取引法(投資サービス法)によりTOBの規制が強化され、突然、大株主に浮上するような株式の買い集めはできなくなりました。

MBO(Management buy out)

MBO(マネジメント・バイアウト)はM&Aの一つで、株式会社の経営陣が株主からその会社の株式を買い取ることで成立します。

オーナーでない経営者が金融機関などから融資を受けて、市場やオーナー、親会社から株式を買い取るケースが多いようです。

日本では、バブル崩壊後の1990年代後半頃から事業再編の一環として普及しました。

リストラが一巡した後は、敵対的TOB(株式公開買付け)の防衛策として行われる事例が相次ぎました。

MBOでは、株式を買い取った後、その会社を上場廃止にする例が多いです。

経営陣自らが新しい株主になるので、経営陣以外の発言を抑えて自由な事業戦略を展開する目的で、上場廃止を選ぶ場合があります。

資金力が豊富なら、上場を継続して広く一般の投資家から資金調達をする必要も低く、総合判断でMBOを選ぶのでしょう。

経営陣でなく、従業員が自分の会社や所属部署を買い取るケースもあり、この場合はEBO(Employee buy out)です。

MBOのメリット

  • 第三者による企業買収を防ぐことができる
  • 経営陣自らが株主になるため、経営の自由度が高まる
  • 後継者のいないオーナーが経営陣に事業を譲渡できる
  • 経営陣に対する株式売却資金を事業資金に回すことができる

MBOのデメリット

  • 上場廃止により経営へのチェック機能が低下
  • 上場廃止により今後の資金調達手段が限定される
  • 一般の株主が多いと、買い取り時の手続きが煩雑になる

買収ファンド

買収ファンドは、価値の下がった会社の発行済株式数の過半を取得して経営に参画し、会社の価値を上げて株式を売却する方法で、投資家から集めた資金を運用します。

買収ファンドのほとんどが私募ファンドで、富裕層や機関投資家の資金を運用します。

投資家の資金を元手に融資を受けて、資金を膨らませて買収し、価値を高めて換金後に投資家に資金を返します。

買収対象は、成長過程にあるベンチャー企業、経営不振、経営破綻した会社やその事業部門などです。

会社の価値を高めるためには、様々な経営努力を施します。

収益性向上につながるビジネスモデルの見直しやアウトソーシング等による業務の効率性向上、資産圧縮やリストラなどが代表例です。

会社更生法

一般に、会社が借入金を返済できず事業を続けられない状態が倒産です。

倒産した株式会社が再建を目指して法的処理をする手続きを定めた法律が、会社更生法です。

倒産状態に陥った株式会社が、裁判所に更生手続きの開始を申請して受理されると会社更生法が適用され、裁判所が財産保全命令を出すことで、更生手続きが開始されます。

会社更生法は、手続きの迅速化と合理化を図り、再建手法を強化する目的で、2003年4月に改正されました。

従来の更生手続きでは経営者はすべて退任し、裁判所が管財人を選任しましたが、改正後は破綻に直接責任のない経営者は管財人になることが可能です。

会社更生手続きの流れ

  1. 会社が更生手続き開始を裁判所に申請/保全処分申請
  2. 裁判所による調査、保全処分等/保全管理人、監督委員選任
  3. 裁判所が更生手続き開始を決定/管財人を任命
  4. 更生会社の調査/更生債権等確定/再建の手法検討
  5. 更生計画案の作成、提出
  6. 更生計画案の決議
  7. 更生計画の認可
  8. 更生手続きの終結

民事再生法

2000年4月施行の民事再生法は、事業継続が困難になった債務者の再生が目的です。

対象は会社だけでなく個人にも適用できます。

同法施行に伴って廃止された和議法と同様、簡素な手続きが特徴です。

倒産手続きを迅速にし、早期再建を促します。

事業継続に著しく支障をきたす場合、再建が手遅れにならないように破綻前でも申請できます。

再生計画が可決する要件も緩やかで、債権者の過半数かつ債権額の過半の同意で承認されます。

また、原則として現経営陣が引き続き経営を行うことが可能です。

とはいえ、重要事項の決定については、裁判所によって選ばれた監督委員の同意を得なければなりません。

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