ADHDは、英語の Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder の略です。
日本語では、「注意欠如・多動症」または「注意欠陥・多動性障害」と訳されます。
「注意(Attention)」の「欠如(Deficit)」、「多動性(Hyperactivity)」の「障害(Disorder)」という意味合いで、その症状の特徴がそのまま名称になっています。
ADHDは「注意欠如・多動症」という神経発達症の一つです。
これは、年齢や発達段階に不釣り合いな不注意、多動性、衝動性といった行動の特徴が持続的に見られ、それによって日常生活に困難が生じる状態を指します。
主な症状
ADHDの症状は大きく以下の3つのタイプに分けられます。
不注意優勢型
集中力が途切れやすい、注意散漫。
うっかりミスが多い、忘れ物が多い。
物事を先延ばしにする、計画的に行動するのが苦手。
物の整理整頓が苦手。
話を聞いていないように見える。
多動・衝動優勢型
じっとしているのが苦手で、手足をそわそわ動かす、貧乏ゆすりをする。
座っていられない、離席が多い。
静かに遊ぶことができない。
おしゃべりが止まらない、人の話に割り込む。
衝動的に行動してしまい、後で後悔することがある。
待つのが苦手。
混合型
上記の両方の特徴を併せ持つタイプです。
これらの症状は、幼少期(12歳以前)から見られることが診断の条件とされています。
原因
ADHDの詳しい原因はまだ完全には解明されていませんが、脳の機能発達に何らかの偏りがあると考えられています。
特に、脳内の神経伝達物質(ドーパミンやノルアドレナリンなど)の働きが不足していることが有力な説とされています。
これらは、思考や判断、注意、計画などを司る前頭葉の機能に関係していると考えられています。
育て方や環境が直接的な原因ではありません。生まれつきの特性によるものです。
診断
診断は、専門の医療機関(児童精神科、精神科、心療内科など)で行われます。
問診票や、他の病気の有無を調べる検査(血液検査、尿検査、心理検査など)を通じて総合的に判断されます。
DSM-5などの診断基準に基づいて、症状の有無や程度、生活への影響を評価します。
治療
ADHDの治療は、一人ひとりの状態に合わせて様々なアプローチが組み合わされます。
心理社会的治療
環境調整
本人が生活しやすいように周囲の環境を工夫します(例:忘れ物リストの作成、集中しやすい座席配置など)。
行動療法
望ましい行動を褒めることで強化したり、望ましくない行動を減らすための工夫をしたりします(例:トークンエコノミー法)。
ペアレントトレーニング
保護者がADHDの子どもへの理解を深め、適切な対応方法を学ぶためのトレーニングです。
ソーシャルスキルトレーニング
対人関係のスキルを向上させるためのトレーニングです。
カウンセリング
認知行動療法などを用いて、対処法を学び、ストレスを軽減します。
薬物療法
神経伝達物質の働きを調整する薬が用いられます。症状を一時的に抑え、注意や集中力を向上させる効果が期待できます。
これらの治療は組み合わせて行われることが多く、個々の状況に応じて最適な治療計画が立てられます。


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