日本ポジティブ心理学協会(JPPA)著、宇野カオリ監修、「はじめてのレジリエンスワークブック 折れない心のつくりかた」。
レジリエンスで豊かな人生を送る
レジリエンスとは
レジリエンスとは「逆境や困難から立ち直る力」であり、「日常的なストレスに対処する力」でもあります。
レジリエンスは幼い頃からの様々な経験を通して、誰もが自然と身につけていく力であり、私たちの人生を大きく左右する能力として、注目されています。
こんな時、レジリエンスの出番
- 災害や事故に遭遇、巻き込まれた
- 家族が亡くなった
- 勤務先が倒産
- 顧客から理不尽なクレームを受けている
- 面接
- 結婚や進路
- 失恋、離婚
- 成績が大幅に落ちた
- スポーツの勝敗
- 夫婦喧嘩
- 配偶者の親との関係
こんな時こそ気持ちを立て直して、前向きに対処していけるかどうかで、人生の充実度は大きく変わってきます。
レジリエンスの出番です。
ストレスに上手に対処する力
私たちは誰もが大生のストレスを感じながら生きています。
何をストレスと感じるかや感じるストレスの程度は人によって様々です。
適度なストレスは刺激や動機付けになり、むしろ生産的な行動を産むきっかけにもなります。
そういう意味では、すべてのストレスが悪いわけではなく、私たちはすべての苦境や試練から逃げ回る必要は無いのです。
ストレスで問題なのは、ストレスを強く感じすぎて、理性的な思考ができなくなり、コントロールを失ってしまう場合です。
感情に振り回されて、判断力や行動力が低下してしまい、職場でも家庭でも学校でもよくない結果を招いて苦しむことになります。
レジリエンスのねらいは、このような場合の対処能力を高めていくことにあります。
レジリエンスでより豊かな人生を送る
毎日のイライラに効く
レジリエンスを高めるとイライラする回数が減ります。
苛立ちを感じても「なぜ自分はそう感じるのか」と原因を特定し「次からはこうしてみよう」と対策を講じることもできるので、同じ状況を繰り返すということが減っていきます。
不安や恐怖や焦りなど、様々なマイナスの感情にも早めに対処できるので、毎日をより快適に過ごし、人生の幸福度を高めていくことができます。
人間関係に効く
レジリエンスを身に付けることで、相手の人格を攻撃したり、非現実的な要求を突きつけていたりといった。自分の問題が見えてくるだけでなく「なぜ相手はこんなことを言うのだろう?」といった共感力も高まるので、より良い解決策を見出しやすくなります。。
拒絶や対立を恐れずにこちらから相手に働きかけることができるようになるので、自ら積極的に関係を改善していくことができます。
仕事に効く
レジリエンスによって、柔軟で正確な考え方が身に付くとより、現実的で有効な解決策が見出せるようになり、こうした問題にも建設的に対処していくことができるようになります。
たとえ失敗しても、そこから多くを学び、次につなげていく琢磨さんも身に付いていきます。
レジリエンスの目的は、無理難題をこなす打たれ強さを身に付けることではなく、より理性的で創造的な思考によって問題解決能力を高めていくことが目的です。
仕事は辛抱して行う、辛いことではなく、勇気を出して挑戦できる、面白いこととして取り組めるようになるのです。
子育てに効く
親や教師がレジリエンスを学んでおけば、その姿勢を子供に教えることができます。
子供が悩んでいる時、一緒に解決のヒントを探したり、前向きな行動の手助けをしたりする事は、子供の心の成長を大きく助けることになります。
ストレスに対処するスキルは、子供が生涯にわたって役立てられるスキルと考えられています。
子育てのストレスにも効果的で、親が抱えがちな焦りや不安など、様々な感情を整理することができます。
イライラを取り去り、ポジティブな気持ちで、子供に向き合えるようになっていくのです。
こうした取り組みは「ポジティブ・ペアレンティング」と呼ばれて注目を集めています。
なりたい自分になれる
レジリエンスを身に付けると、現実に即した楽観性を発揮できることで、新しい1歩を踏み出しやすくなります。
練習を重ねることで、自分についての気づきが増え、自分の理想に近づくための行動のヒントを見つけやすくなります。
「自分を行動から遠ざけている思い込みは何か?」「ずっとやってきた望ましくない行動は何か?」などを見ていくことで、新たな行動を起こし、なりたい自分にどんどん近づいていくことができます。
新しい心の習慣
レジリエンスのスキルの多くは、繰り返しの練習により身に付けることができます。
今ある自分の思考を、できるだけ柔軟で正確なものに鍛えていきます。
レジリエンスが必要な場面で、これまでとは異なるレジリエントな思考ができるようになることを目指します。
自分の頭の中をどんどんバージョンアップしていくようなものだと考えます。
ABC分析で自分を知る
いかに出来事に対処するか
人は、誰でもある「出来事」によって、自分自身が傷つけられたり、怒りを感じたり、という経験を持っているものです。
それらの出来事を経験した結果、悲しみや喪失感などの「感情」を抱いたり、思わず反発するような「行動」をとってしまうこともあるでしょう。
このような自分自身に影響与える出来事に対して、どのように自分で対処するかということが、レジリエンスの大きなテーマの1つです。
ABCで世界を捉える私たち
多くの人は、出来事が直接私たちの感情や行動を引き起こしていると思っています。
しかし、実はそうではなく、出来事と結果としての感情や行動の間にはもう一つ段階があります。
それが出来事をどのように認識して解釈したかと言う思考のプロセスです。
人が何かを経験するときの1連のプロセスは「A出来事」、「B解釈」、「C結果」の3つの流れで表すことができます。
この1連のプロセスは、これら3つの英単語の頭文字をとって、ABC理論と呼ばれています。
- A出来事=activating event =逆境、困難
- B解釈=belief =思考、信念(レジリエンスの鍵)
- C結果=consequence =感情、行動
解釈次第で感情や行動が変わる
ABC理論では、A出来事に対して、自分のB解釈がなされ、それをもとにC感情や行動が起こるというのが1連の流れです。
つまり、自分の解釈が変われば発生する感情や行動が変わるということです。
自分の解釈次第で脇を起こった負の感情を必死で押さえ込んで我慢するとか、思わず取ってしまった言動をいつまでも後悔するといったことをしなくて良くなります。
レジリエンスの鍵は、この解釈をいかに捉え直すかにあるといえます。
自分の思考の癖を知る6つのステップ
ABC理論を構成する3つの要素出来事、解釈、感情や行動について、自分がどういう傾向があるのかを実際に分析して、それによって何が自分にとって苦手な出来事なのかを把握することがレジリエンス力を高めるための第一歩になります。
- 気になる出来事を書き出す
- 自分の苦手な出来事を特定する
- 自分の解釈を書き出してみる
- ABC日記で思考をキャッチする
- 自分の反応パターンを見つける
- 自分の思考の癖を知る
思考の罠を抜け出す
ストレスが思考の邪魔をする
私たちは常に物事を正確に捉えているわけではありません。
日常生活においてかなりの情報を取捨選択し、単純化して認知していることがわかっています。
その認知した情報についても、無意識のうちに価値判断を下し、自分の最も好ましい結論を導き出すということが起こります。
このような思考の歪みは、誰にでも見られますが、度重なるストレスなどによって心的エネルギーが低下してくると特に多くなると考えられています。
誰もが思考の罠にはまる
私たちの脳は何か強いストレスを感じると、それを早く取り除こうとして判断を急ごうとします。
このため、思考に歪みが生じやすくなり、事実を必要以上にネガティブに捉えようとする力が働きます。
これが思考の罠と呼ばれるものです。
思考の罠に陥ると、生産的な結果や行動を生みにくくなり、レジリエンスを大きく損なうことにつながります。
8つの思考の罠に要注意
- 早とちり
- 視野狭窄
- 拡大化、極小化
- 個人化
- 外面化
- 過度の一般化
- 思考察知
- 感情の理由付け
早とちり
状況を十分に把握せずに、自分で用意した結論に飛びついてしまいます。
不安を感じたり、自分を責めたりと本来であれば不必要なネガティブ感情を抱くことで、適切な行動が取れなくなってしまいます。
対処法は気持ちを落ち着けて、自分の解釈が正しいのか確かめる必要があります。
これまでに自分がネガティブな勘違いをした事はないか日ごろから自分の行動を振り返る習慣をつけておくと、いざと言う時見方を変えるトレーニングになります。
視野狭窄
出来事のマイナス面ばかりに注意が向き、+の面に気づくことができません。
状況を多角的に見ることができず、いたずらに傷ついたり不安が強まったり、焦りや緊張が増したりしてしまいます。
このため、パフォーマンスが低下し、本来の能力が発揮できなくなります。
自分が見落としている点がないか、確認する習慣をつけましょう。
自分は本当に出来事の全体像が見えているのかどうか、落ち着いて考えてみることが有効です。
拡大化、極小化
自分の独自の基準に基づいて出来事を課題、評価したり、過小評価したりする傾向があります。
ほんの小さなマイナス面も大げさに捉え、ネガティブな思考を膨らませていきます。
自分が苦しむだけでなく、人間関係が悪化することもあります。
ネガティブ思考にならないためにも、目の前の小さなことで良いので、自分ができそうなことを探しして成功体験を積み重ねていきます。
個人化
何か問題が起こると、何でもかんでも反射的に自分のせいだと考えてしまいます。
自身の能力や責任が及ばない範囲の事でもそのように捉えるので、自尊心が傷つくことが多く、悲しみや罪悪感を抱きやすくなります。
この罠にはまるのは真面目で責任感が強い人が多いのです。
原因の発端は自分以外にあるのでは?など、正しい思考を取り戻すためのトレーニングなので、奥せず取り組んでいくことが大切です。
外面化
すべての問題の原因を他人や環境にあると考えてしまいます。
周りへの怒りを感じやすくなる一方で、自分の責任を認めようとしません。
周囲からは何もせずに批判ばかりする評論家だとみなされることもあります。
何か問題が起こったとき、周りのせいにしていないか、自分の外に向かって怒りを感じていないか、確認する習慣をつけましょう。
自分事として、自身の行動について振り返る習慣ができれば、どんな環境においても成長できるレジリエントな心が作られていきます。
過度の一般化
問題が起こると、いつもそうだから、全てそうなると考えてしまいます。
いつまでたっても具体的な問題解決ができず、自分が思い込んでいる通りのネガティブな結果を招きやすくなります。
悪いことが繰り返し続いていく、ずっと変えられないなどと信じ込んでしまい、無力感や挫折感を感じやすくなります。
自分の考え方や行動など、自分で変えられることに着目して実践していきましょう。
例えば問題が起こったとき、その人自身のせいにせずに、その人の具体的な言動に着目することで、解決の糸口が見えてきます。
思考察知
自分の思い込みであることに気づかずに、他人の考えを推測して理解しようとします。
きっとあの人はこう考えているに違いない、あの人はわかってくれているはずだ。などと決めつけを行うことで、必要以上にネガティブな解釈が生じ、悪循環の結果につながっていきます。
相手の言動が本当に自分に対して否定的なものだったのかどうか、自分の解釈を検証してみる必要があります。
自分の決めつけや説明不足で、勘違いや行き違いが生じているのかもしれません。
可能であれば、相手に直接考えや意図を聞いてみると良いでしょう。
感情の理由付け
その時々の自分の中にあるポジティブな感情、もしくはネガティブな感情に結びつけて出来事を解釈してしまいます。
出来事を現実的に正しく判断できないので、誤解や行き違いが起こりやすく、当惑や混乱、落胆といった機会が増えます。
この罠にはまりやすい人は、事実、思考、感情を分けて考えるトレーニングが必要です。


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