米国株について、現在の状況、主要な経済指標、個別企業の動向、市場の見通しなどについて詳しく説明します。
米国株市場の概況と最近の動き
現在の米国株市場は、S&P 500が6,600を超え、ナスダックが史上最高値を更新、ダウ平均も46,000ドルを突破するなど、史上最高値圏で推移しています。
しかし、直近ではFOMC(連邦公開市場委員会)の決定を控え、投資家が慎重な姿勢を見せたため、主要指数は小幅な下落となりました。
具体的には、ナスダックが0.07%安、S&P 500が0.13%安、ダウ平均が0.27%安、ラッセル2000が0.09%安となりましたが、これらはごくわずかな下落にとどまっています。
市場は取引開始直後に売り込まれたものの、その後買い戻しが入り、かなりの水準まで戻しています。
市場の評価は、一部の指標で将来の収益の23倍以上と過熱感があると指摘されており、一部の億万長者投資家は「もう簡単には稼げない」と警告しています。
主要経済指標とFRB(連邦準備制度理事会)の動向
小売売上高
9月17日に発表された経済指標では、小売売上高が市場予想を上回る強い数字を記録しました。
前月比で0.6%増(予想0.2%増)、自動車を除くコア売上高も0.7%増(予想0.4%増)となり、いずれも前月を上回る結果です。
これは3ヶ月連続の増加であり、特にオンライン小売、衣料品、スポーツ用品が好調でした。
消費者の購買意欲は、関税による一部品目の値上げや労働市場の悪化の兆しが見られる中でも、衰えていません。
FRBへの影響
個人消費は米国経済活動の3分の2を占めるため、FRB当局者から高い注目を集めています。
強い小売売上高のデータは、利下げを望まない「タカ派」の人々にとって、景気が強いことを示す材料の一つとなり、「こんなに株価が最高値を更新し、景気も弱まっていないのに利下げする必要があるのか」という議論を激化させる可能性があります。
この統計はインフレ調整されていないため、売上増が価格上昇の影響を反映している可能性も指摘されています。
輸入物価指数
8月の輸入物価指数は前月比0.3%上昇し、これも関税の影響と考えられます。
FOMCと金利政策
今回のFOMCは市場の大きな注目を集めています。
利下げ期待
市場はすでに25ベーシスポイント(0.25%)の利下げを織り込んでおり、年末までには合計で75ベーシスポイント(0.75%)の利下げがあると予想しています。
9月の利下げは96.1%の確率で織り込まれています。
ドットチャートとパウエル議長の会見
政策金利の発表は日本時間9月18日午前3時、パウエル議長の記者会見は午前3時半に予定されています。
今回の発表では、将来の政策金利の見通しを示す「ドットチャート」が特に注目されており、年内に何回の利下げが行われるか(市場は合計3回を予想)が焦点となります。
FRB内部の議論
今回のFOMCには、トランプ大統領が指名したミラン氏と、解任を求めていたクックFRB理事が両方とも出席しており、波乱含みの議論が予想されています。
連邦最高裁は、住宅ローン不正問題が指摘されたクック理事の解任を認めない判断を下しており、この問題には政治的背景も絡んでいます。
ドルと債券市場
利下げが確実視されていることから、ドルの魅力が相対的に低下し、ドル円は146.4円まで下落し円高となりました。
10年債利回りも下げ止まり、若干下落しています。
利下げは一般的にドル安を招くため、ドル以外の資産も検討に値するとされています。
個別企業の動向
一部の主要企業では、以下の動きが見られました。
アルファベット (Alphabet Inc.)
アップル、マイクロソフト、NVIDIAに続き、時価総額3兆ドルクラブに加わりました。
Google Cloud事業が好調で、Gemini AIはChatGPTを抜きアプリストアで最もダウンロードされるアプリになるなど、AIとクラウドの成長が牽引しています。
メタ・プラットフォームズ (Meta Platforms Inc.)
今年の株価はすでに28%以上上昇しており、AI革新と効率化、デバイスへの再注力により成長を加速させています。
広告エンジンはAIを活用してターゲティング精度を高め、広告単価と広告表示回数を増加させています。
Ray-Ban Metaスマートグラスの売上も3倍に増加し、ReelsやThreadsも若年層に支持され、TikTokやXから市場シェアを奪っています。
マイクロソフト (Microsoft Corporation)
直近四半期で売上高が前年比17%増の764億ドル、クラウド事業の成長率は25%を超え、営業利益率は約45%と非常に好調です。
Azureの需要は非常に強く、同社はAIインフラに積極的な投資を行っています。
Office、Teams、Dynamics、Azure、Copilot AIといった製品が企業に深く浸透しており、強力な事業基盤となっています。
テスラ (Tesla)
2.82%の上昇を見せ、CEOのイーロン・マスク氏による100億ドルの自社株買いが報じられたことが好感されました。
オラクル (Oracle)
TikTokの米国事業売却の期限が延長され、オラクルがこのコンソーシアムに参加して運営に携わる見通しが報じられ、一時5.9%上昇しました。
NVIDIA
1.61%下落しました。中国向け新型AIチップの需要低迷が原因とされており、性能面で割高との見方や、大手企業からの発注減がヘッドラインに上がっています。
市場センチメントと今後の見通し
強気な見方
バンク・オブ・アメリカ(BoA)によると、世界的な株高は続くと見られ、成長期待が追い風となっています。
経済成長見通しが約1年で最も改善し、景気減速を予想する投資家は16%にとどまっています。
貿易戦争による景気後退リスクが後退したことで、強気派が増加しています。
MSCIオールカントリー・ワールド指数は過去最高値を更新しており、AIへの熱狂がハイテク大手の株価を押し上げています。
ウォーレン・バフェットの哲学
投資家ウォーレン・バフェットの哲学は、「群衆に流されて割高な事業を追いかけるな。
競争優位性が明確で、安全域を残せる価格で素晴らしい企業を買え」というもので、現在の過熱した市場で特に重要視されています。
ジム・クレイマーの評価
ジム・クレイマー氏も「マグニフィセント・セブン」(主要な大手テック企業7社)はまだ黄金時代が終わっておらず、卓越した経営、豊富なキャッシュ、拡大する規模により、誰も太刀打ちできないと述べています。
これらの銘柄はS&P 500の時価総額上位を占め、指数全体に大きな影響を与えています。
調整の可能性
バンク・オブ・アメリカは、全員が強気になった後は、新たに強気になる投資家がいなくなるため、調整局面に入る可能性があると指摘しています。
また、9月から10月にかけては季節的なボラティリティやトレンド追随型ファンドによる売りの可能性があるため、一時的な混乱を経験するかもしれません。
しかし、このような下落は年末に向けた買いの好機となる可能性も指摘されています。
過去のデータ
景気後退が起きていない環境でFRBが利下げを始めると、リスク資産は好調に推移するという過去の実績があります。
また、S&P 500が史上最高値圏にある中で利下げが行われた場合、1年後には14%上昇するという過去のデータもあります。
米国株市場は引き続き堅調な企業収益に支えられ、AIテーマも顕在であり、年末にかけてさらなる上昇が見込まれる一方で、最高値圏での推移に伴う過熱感や短期的調整への警戒も必要です。
FOMCの結果とその後のパウエル議長の発言が、今後の市場の方向性を決定づける重要な要因となるでしょう。


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