FOMCの利下げと市場への影響
利下げの実施と今後
米国の中央銀行であるFRBは、予想通り0.25%の利下げを発表しました。
これは昨年12月以来の久しぶりの利下げです。
2025年末までにさらに2回の0.25%の利下げが予測されており、政策金利は最終的に3.5%から3.75%のレンジに達する可能性があると示唆されています。
年内にはあと2回、10月(87.7%の確率)と12月(79.9%の確率)に0.25%の追加利下げが行われる可能性が高いと市場は見ています。
FOMCメンバーの見解のばらつき
FOMCメンバーによる今年の年末時点での政策金利の予想には大きなばらつきがあり、現在の政策金利と全く同じ水準だと考えるメンバーが6人、0.25%の利下げが1回だと考えるメンバーが2人、最も多いのは2回だと予測するメンバーです。
中には、あと5回の利下げ(2.75%から3%の水準)を予測する者や、逆に0.25%の利上げを予測する者も1人います。
パウエル議長の発言
パウエル議長は、今回の利下げは景気後退がすでに始まっているからではなく、「リスク管理的な意味合い」を持つ予防的な利下げであると説明しました。
過去のデータでは、このような予防的な利下げは株高につながることが多いとされています。
また、パウエル議長は、物価と雇用の両立は難しい課題だと語り、FRBの政策は引き締め的な水準を維持してきたが、労働市場の変化によりインフレ方向のリスクが均衡へ移行しつつあると見ています。
専門家の見方
今回の利下げはFRBの「大きな間違い」であり、将来のインフレを招く可能性が高いと警告しています。
FRBがこれまでインフレ抑制を重視してきたものの、雇用状況の悪化リスクに焦点を移しすぎたことが間違いだと指摘しています。
市場センチメントと主要株価の動向
個人投資家のセンチメント
米国個人投資家協会のアンケート調査によると、以前は弱気な投資家が多かったのですが、最近は強気な投資家が増えてきました。
しかし、これは逆張り指標とされており、弱気な投資家が多い時にこそ強気になるべきだという見方も提示されています。
ナスダックの過熱感
ナスダックでは、現在ほとんどの銘柄が50日移動平均線を上回っており、「買われすぎ」状態にあると分析されています。
このような熱い状態では慎重になるべきだと助言されています。
9月の株価の季節性
過去のデータによると、9月の相場は中盤戦まで非常に強く、現在その傾向が的中していると述べられています。
特に「不況のない利下げ」が実施されている現在、株価は猛烈に上昇していく可能性があると示唆されています。
また、S&P 500が9月最初の営業日に史上最高値を更新し、プラスリターンになった場合、9月全体の上昇確率は88.24%と非常に高いというデータが示されています。
ただし、9月後半は下落する可能性もあるため、注意が必要です。
FOMC発表後の市場反応
利下げ決定後、主要株価指数はまちまちの動きを見せました。
S&P 500は0.1%下落、ナスダックは0.3%下落しましたが、ダウ工業株は0.6%上昇しました。
金融株が好調
金融株が主役となり、金利低下は貸し出し需要を刺激し、銀行の収益改善につながるため、金融セクターは1.8%以上上昇しました。
特にJPモルガンは0.8%高で過去最高値を更新し、7日続伸となっています。
テクノロジー株の下落
一方、テクノロジー株と一般消費関連株は下落を主導しました。
NVIDIAは、中国がAI半導体の国内大手企業への販売を禁止したという報道を受けて2.7%下落しました。
ブロードコムも3.8%下落しました。
Metaは新しいスマートグラスとニューラルバンドを発表し、時間外取引で株価が0.5%ほど上昇しました。
経済状況とFRBの経済見通し
経済の健全性
パウエル議長は、経済は健全に推移しており、今年の成長率は1.5%以上になるとの見通しを示し、予測は上方修正されつつあると語りました。
インフレの見通し
FRBは、インフレは上昇しているものの、数ヶ月前に想定していたほど高くはなく、関税が物価に与える影響は予想より遅く小さいと考えています。
また、労働市場が弱まっているため、持続的なインフレが再燃するリスクは小さくなったと見ています。
しかし、専門家はFRBのインフレ予測が甘いと批判しており、2025年末のPCE物価指数予測3%は目標の2%を大きく上回ると指摘しています。
労働市場の状況
労働市場は移民の変化が最大要因であり、労働供給と需要がともに急減し、「奇妙なバランス」にあるとパウエル議長は述べています。
失業率が上昇し始めており、特に若年層やマイノリティといった景気変動に弱い層が打撃を受け始めていると認識しています。
FRBの独立性
FRBは独立性を維持することに強くコミットしていると強調していますが、トランプ大統領がFRBに圧力をかけ、利下げ派のメンバーを送り込もうとしている状況が指摘されています。
今後の投資戦略
リスク管理の徹底
9月後半から10月前半は市場が不安定になりやすい時期であるため、ポジションサイズに余裕を持って管理することが重要です。
株式投資
短期的な利益確定を進め、キャッシュを増やすことが推奨されています。
高PER株やグロース株の削減を検討し、金融、エネルギー、バリュー株に注目することが良いとされています。
AIや半導体は構造的なテーマですが、中国の規制リスクも考慮し、時間分散しながら投資を検討すべきです。
債券投資
長期債は避け、短期・中期債を回転させていく戦略が有効とされています。
コモディティ
ゴールドはポートフォリオのヘッジとして最低5%から10%の保有が推奨されています。
原油については、グローバルな需給要因や地政学的リスクに注意が必要です。
米国株の投資においては、FRBの金融政策、市場のセンチメント、個別企業のニュース、そして地政学的リスクなど、多岐にわたる要因を総合的に考慮することが重要であると言えるでしょう。


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