林芳正氏について、自民党総裁選前

政治と経済

林芳正氏は、現在、内閣官房長官を務めており、岸田政権の後半から石破政権にかけて、政権の要として支えてきました。

経歴と人物像

家系と学歴

林氏は、曽祖父の林平四郎氏(明治・大正期の政治家)から続く4代にわたる政治家一家の出身であり、父の林義郎氏は厚生大臣や大蔵大臣を歴任しました。

林家は山口県下関市を地盤とし、政治だけでなく、地元経済を支える実業家の一族としての顔も持っています。

林氏自身は、1961年1月19日生まれで、その誕生日から「政界の119番」とも言われています。

これは、大臣が突然辞任した場合などに後任として入閣することが多いことに由来します。

東京大学法学部第2類を卒業後、三井物産に入社しました。

その後、ファミリー企業を経て、1991年にはハーバード大学院ケネディ・スクールに特別研究生として入学し、1994年にMPA(行政学修士)を取得して帰国しています。

妻の裕子氏も東京大学医学部を卒業し、MITで理学修士、東大大学院で博士号を取得しており、山口大学大学院の特命教授を務めるなど、高い知性を有する一族です。

キャリア

1995年の参議院議員通常選挙で初当選を果たし、参議院議員を5期連続で務めました。

2021年に衆議院議員へくら替えし、山口3区から当選しています。

これまでに防衛大臣(2008年)を初入閣で務めた他、経済財政担当大臣、農林水産大臣、文部科学大臣、外務大臣などを歴任し、重要ポストを経験した重鎮です。

閣僚や党の要職を歴任しており、実務能力が高いと評価されています。

特に霞が関では「話が分かるし飲み込みが早い」と評判が高いです。

一方で、国民からは地味な印象を持たれがちで、実務能力は高いが知名度が低いという声もあります。

また、議員で構成されるバンド「Gi!nz」でギターを担当するなど、サブカルチャーにも造詣が深いです。

政治的姿勢と総裁選への出馬

岸田・石破路線の継承

今回の総裁選への出馬は3度目となります。

林氏は、岸田政権の後半、そして石破政権の官房長官として政権を支えてきた経験から、「両政権を継承する」と表明しており、良いものは受け継ぎ、変えるべきは変えるという姿勢を示しています。

この路線は、岸田政権そのまま、あるいは中身も外見も「石破フレーバー」であると評されています。

政策(林プラン)

総裁選で「林プラン」を発表し、実質賃金1%上昇の定着、持続的な社会保障制度の構築、ゼロからの党再建の3つを柱としています。

財政・経済政策

林氏は基本的に緊縮財政派であり、財務省の考え方と完全に一致していると見なされています。

過去には消費税の8%引き上げ時も10%引き上げ時も、予定通りの引き上げを主張していました。

また、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字達成と財政健全化を進める姿勢を堅持しています。

このため、財務省に評判が良いということは、国民からは増税路線まっしぐらだと警戒されています。

外交と安全保障

安全保障に関しては、自衛隊の存在を憲法に明記することに賛成しており、また、総裁選挙中に憲法改正の発議に繋げるという気持ちは変わらないと表明しています。

外交面では、かつて日中友好議員連盟の会長を務めていたことから、一部では「親中派」だと批判されることがあります。

しかし、林氏本人は「親中派ではなく知中派である」と述べています。

外務大臣就任の際、不要な誤解を避けるため、日中友好議員連盟会長を辞任しています。

党改革と派閥

林氏は、党はゼロからの再建が必要であるとし、徹底的な改革をすべきだと訴えています。

また、派閥に代わるものとして、議員の意思を集約し、教育を行うためのブロック協議会(地域ごとの議員による集まり)の必要性を示唆しています。

総裁選における評価と動向

実務能力と人気

林氏は総理大臣に必要な要素として、実務能力よりも国民の説得力(人気)が大事だと考えています。

しかし、世論調査的には「自分の武器が実務能力であって、人気的にはあまり武器が見えてきていない」とも認識しています。

ダークホースとしての可能性

林氏は、小泉進次郎氏や高市早苗氏の決戦投票が予想される中で、ダークホースであると見なされています。

もし有力候補が決定的なミスを犯したり、決戦投票が高市氏と林氏になった場合、国会議員票が多く林氏に流れ、総理大臣になる可能性も「なくはない」と見る向きもあります。

失言と党内からの批判

林氏は石破政権のナンバー2という立場にありながら、ネット番組出演時(後にフジテレビ番組で撤回 )に、与党が参院選公約に掲げた国民一人当たり2万円の現金給付について「私だったらやらなかったかもしれない」と発言しました。

この発言は石破政権の公約を否定するものとして「首相周辺は政権幹部として責任を負う立場なのに」と困惑させました。

この言動は「人の心が分からない」として、与党内からも強く批判され、わずかながら集まるはずだった議員票を自ら失わせているという見方もあります。

林氏はこの発言について「本当に不適切な発言だったのでお詫びして取り消したい」と述べています。

連携の可能性

小泉氏が総裁選に出馬しない場合、林氏との連携が浮上する可能性があり、これはネット民から「親中リベラル連合」として警戒されています。

また、岸田氏が林氏を推す動きがあるとも報じられています。

まとめ

全体として、林芳正氏は卓越した経歴と実務能力を持つものの、岸田・石破路線の継続者であり、増税路線であるという国民の警戒心と、官僚組織からの高い評価という点で、メディアや永田町の論理と国民感情との間に大きなズレが生じている候補者として注目されています。

コメント