こども食堂について詳しく解説します。
こども食堂の概要と目的
こども食堂は、子どもやその保護者、地域住民に対して無料または安価で食事を提供する福祉的な施設です。
明確な運営形態の定義はありませんが、子どもに安く健康的なご飯を食べてもらうという活動の総称です。
主な目的と役割
食事の提供
安定的に栄養のある食事を提供し、子どもたちの孤立を防ぐ目的があります。
居場所の提供
食事の提供の他に、子どもたちが学校とは違う空気の中で安心できる居場所(セーフティネットワーク)を提供する役割を担っています。
地域交流
子どもとその保護者だけでなく、高齢者や地域住民など広く受け入れているところが多いため、親同士や地域との交流を生む場としても機能しています。
学習支援
食事だけでなく、ボランティアによる勉強(学習)支援を行っている食堂もあります。
利用料金
こども食堂の食事は、ほぼ無料に近い値段(例:100円や300円)で提供されることが多いです。
食事と汁物がおかわり自由な場合もあります。
運営形態と拡大
こども食堂の運営形態は様々で、強制的な企画がなく、多様な形態で運営されています。
週に1回の運営が多いものの、中には月曜から金曜まで毎日オープンしている食堂もあります。
運営主体も、任意団体、市民活動グループ、NPO法人、社会福祉法人、宗教団体、自治会・町内会、企業(CSR活動)など多岐にわたります。
こども食堂は急速に増加しており、2024年度には全国で10,867箇所に達し、延べ利用者数は1,200万人に上っています。
これは日本全国の中学校の数(1万件未満)よりも多い異常な事態であると指摘されています。
運営上の課題と問題点
こども食堂の多くは民間運営(約8割)であり、運営資金の約60%が寄付やボランティアに依存しています。
このため、運営には以下のような様々な課題が生じています。
ボランティアへの過度な依存と行政との関係
スタッフは報酬なしのボランティアで手伝っている場合が多いです。
継続的な協力が必要なボランティアは、自分の時間と経済的なリソースを差し出し、苦しみながら無理をして続けている人も多いと指摘されています。
行政や国が、本来公的になすべき貧困対策や居場所づくりを、国民の善意(ボランティア)に甘えて丸投げしているという批判があります。
こども食堂の名付け親である近藤ひ子さんは、活動が「いいことバイアス」にかかり、「行政の下請け」ではないと強く訴え、大きな流れから一線を引くことを表明しました。
行政が支援を呼びかける際は、ボランティアであることを忘れないでほしい、と述べています。
スティグマ(貧困のレッテル)の問題
こども食堂を「貧困の子のための食堂」だと明確にすると、利用する子どもや親が恥ずかしいと感じ、行きづらくなる(スティグマ)という問題があります。
本当に困窮している層の子どもは遠慮して来られない場合があり、実際にはボランティア関係者の子どもなど、対象外の人がほとんどを占める食堂も存在します。
親が「うちの子が貧乏な家庭だと思われたくない」「近所にバレたら恥ずかしい」といった理由で、子どもを通わせたがらないケースもあります。
目的外の利用者と運営の困難
「誰でも利用できる」というコンセプトを持つ食堂が多いため、独身男性など成人男性が安価な食事を目当てに利用し、結果的に食堂が閉鎖に追い込まれる事例も報告されています。
これらの男性が子どもを盗み見る行為は「不気味だ」と感じられています。
限られた資源で運営されているため、政治家などが「誰でも行って良い」と安易に呼びかけると、現場にさらなる負担を強いる恐れがあると懸念されています。
特定層の排除を求めるクレーム
こども食堂に対し、男子や父子家庭への食事提供を控えるよう求めるクレーマーが現れた事例があります。
これは、父子家庭は母子家庭よりも経済的に豊かであるという想像や、男子は女子よりも食べる量が多いという思い込みに基づいています。
このクレームに賛同したスタッフにより、実際に男子や父子家庭への提供がカットされたケースもあります。
根本的な問題点の指摘
多くの政治家や識者は、こども食堂が増えること自体は日本の社会が抱える根本的な問題(貧困や格差)を放置している証拠であり、決して「良いこと」ではないと指摘しています。
参政党の神谷宗幣氏は、家でご飯を食べられない子どもが増えている現状を問題視し、「子供食堂を閉鎖していくべきだ」と主張しています(ただし、運営者を批判しているわけではなく、国が子ども食堂に行かなくて済むような経済状態を作るべきだ、という意味)。
政治の役割は、子ども食堂を強化・支援することではなく、子ども食堂がいらなくなるような社会を作ることであると強く批判されています。
国民の所得が上がらず、税金や社会保険料の負担が増加し、格差が拡大している現状(アベノミクス以降、中間層が消え、貧しい国民が増加している)が、貧困を生み出している背景にあると指摘されています。
こども食堂は社会のつながりが希薄化した現代において、食事や居場所を提供する重要な役割を担っている一方で、その存在自体が政治の不作為や社会の構造的な課題を浮き彫りにしているという、二面性を持つ活動であることがわかります。


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