米国株に関する直近の状況について解説いたします。
現在の米国株市場は、政府機関閉鎖という政治的な混乱にもかかわらず、主要指数が最高値を更新しているという逆説的な状況が最大の特徴です。
市場の動向と主要指数
複数の主要指数が最高値を更新しました。これは主に、景気指標の悪化が利下げ期待を高めたことによるものです。
ニューヨークダウは終値ベースで最高値を更新し、0.15%プラスとなりました。
S&P 500も史上最高値を更新し、0.36%のプラスで、6,712に達しました。
ナスダックも上昇し、0.43%のプラスで引けました。
小型株のラッセル 2000も0.15%上昇しました。
SOX(フィラデルフィア半導体株指数)は1.93%の大幅なプラスとなりました。
株高の背景・利下げ期待の高まり
政府機関閉鎖という悪材料があるにもかかわらず株価が上昇しているのは、「悪材料は好材料(Bad news is good news)」に転換される市場の力学が働いているためです。
経済指標の悪化
最近発表された経済指標が軒並み悪化し、FRB(連邦準備制度)の金融緩和(利下げ)への期待が高まりました。
ADP雇用統計の悪化
予想(5万人増)に反し、マイナス3.2万人となり、労働市場の減速が鮮明になりました。
これは2023年3月以来の悪い数字です。
政府機関閉鎖により公式の雇用統計が発表されない可能性が高まったため、ADPのような民間指標の重要性が増しています。
ISM製造業景況指数の縮小
ISM製造業景況指数は50割れの49.1となり、7ヶ月連続で活動縮小を示しました。
年内利下げ観測
これらの景気減速を示す指標を受け、市場はFRBが景気を支えるために動かざるを得ないと判断しています。
10月のFOMC(連邦公開市場委員会)での25ベーシスポイント(BP)の利下げ確率は、市場でほぼ100%織り込まれています。
年内の利下げ見通しは2回とされており、この期待が株価を押し上げる支えとなっています。
政府機関閉鎖の影響と市場の反応
懸念されていた政府機関の一部閉鎖が現実となりましたが、市場の反応は今のところ鈍く、むしろ株価は上昇しています。
政府職員約75万人が一時帰休となり、1日あたり約4億ドルの報酬が失われると推定されています。
過去の事例を見ると、政府閉鎖は一時的にボラティリティを高めるものの、その後数ヶ月間は株価がプラスになる傾向があるというアノマリー(経験則)が存在します。
例えば、2018年~2019年の最長閉鎖(5週間)時、S&P 500は10%超の上昇を記録しました。
また、政府閉鎖が長引くと、雇用統計やCPI(消費者物価指数)といった政府統計の公表が滞るため、FRBは民間データに頼らざるを得なくなり、結果的に利下げ期待が強まる要因となります。
個別銘柄およびセクターの動向
特定のセクターや個別銘柄が市場を牽引しました。
ヘルスケアセクターが大きく上昇しました。
これは、トランプ政権による薬品の関税免除やeコマース化に関する政策の恩恵を受けるとの観測が背景にあります。
イーライリリー(Eli Lilly)は8%超、メルク(Merck)は7%超の上昇を記録しました。
半導体関連も強く、Micron Technologyが8.86%上昇、Armが6%上昇しました。
Intelは7.12%上昇しました。
AMDがIntelに製造を依頼する可能性があるというニュースも影響しています。
テスラは3.27%のプラスでした。
カナダの資源会社リチウム・アメリカズは、米政府が同社株の取得に合意したとのニュースを受け、25%急騰しました。
その他の市場情報
米国債利回り(金利)
利下げ期待の高まりを受けて、10年債利回りは4.102%まで低下しました。
為替(ドル円)
利下げ観測と政府閉鎖によるドル売りが進行し、一時146円台に触れましたが、その後147円台に戻しました。
安全資産
安全資産への資金流入が進み、金は0.47% プラスとなり最高値更新が続いています。
ビットコインも上昇し、9月の高値を更新しました。
これらの情報から、現在の米国株市場は、景気の悪化を示すニュースをFRBの利下げ機会として捉える「楽観的なムード」に支配されていることがわかります。
ただし、この株高が一時的な錯覚に過ぎないという批判的な見方や、政府閉鎖の長期化リスクも存在しています。


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