米国株市場は、大幅な下落に見舞われましたが、その裏側で構造的な資金の再配分が進んでいる状況が報告されています。
以下に、最新の米国株市場の動向と、そこから読み取れる主要なポイントを、解説します。
トランプ関税ショックによる市場の急落
2025年10月10日(金)の米国株市場は、ドナルド・トランプ大統領が中国製品に対して11月1日から100%の追加関税を課すと突然発表したことを受けて、大幅なリスクオフの動きとなりました。
ニューヨークダウは-1.9%、45,479.6、S&P 500は-2.71%の下落で6,552.51、NASDAQは-3.56%の下落22,204.43、ラッセル 2000は-3.01%の下落、2,394.59となりました。
特にハイテク株が集まるNASDAQの下落が厳しく、主要4指数すべてが3%近い下落となり、今年最大級の1日の値幅を記録しました。
S&P 500は、この金曜日の下落により、週間の上昇分をすべて帳消しにしています。
この発言は、中国がレアアースに関する敵対的な輸出規制を発表し、採掘や精錬に必要な技術の輸出を規制するとしたことへの対抗措置として行われました。
トランプ大統領は、中国側が「非常に敵対的 (very hostile)」になっていると非難し、予定されていた習近平国家主席との会談をキャンセルすると発言しました。
リスクオフの動きと資金シフト
市場では典型的なリスク回避(リスクオフ)の構図が鮮明になりました。
安全資産への逃避
国際(債券)が買われた結果、10年債利回りが4.062%、2年債利回りが3.529%へと一気に下落しました。
また、金(ゴールド)は4,000ドル台を突破しました。
商品市場、原油は4.34%の急落となりました。
為替、ドル円は円高方向へ触れ、151円62銭となっています。
トランプ氏の発言のタイミングは、米国の消費への打撃を最小限に抑えつつ、中国への圧力を最大化するように計算された政治的なカードであった可能性が指摘されています。
これは、アメリカ国内がすでにクリスマス商戦用の在庫を中国から輸入し終えた後のタイミングだったためです。
個別銘柄とセクターの動向
AI関連株とハイテク株は特に大きな打撃を受けました。
これは、テクノロジー株が中国への依存度が高いため、貿易摩擦の影響を最も受けやすいと見なされたからです。
下落が目立った銘柄
半導体のAMD (-7.8%)、NVIDIA (-4.95%)、ブロードコム (-5.9%)。
大型テックはAmazon、Teslaは5%以上の下落、Apple、Metaは3%以上の下落。
仮想通貨関連はロビンフッド (-8.8%)、コインベース (-7.7%)。
上昇した銘柄(構造変化への対応)
データセンター(AIインフラ)、データセンターの設計・運営を行うアプライド・デジタル (APLD)は、決算が市場予想を大幅に上回り、ハイパースケーラーとのリース交渉が進んでいることから、大きく上昇しました。
レアアース関連、中国の輸出規制に対抗するため、米国独自のサプライチェーン構築の重要性が高まり、MPマテリアルズ (MP)は10%以上の急騰を見せました。
ウラン関連のエナジー・フュエルも上昇しました。
これらの動きは、市場の資金がリスク資産から、AIインフラやレアアースといった構造的成長セクターや防衛関連へとシフトし始めていることを示唆しています。
市場の分析と今後の見通し
今回の急落は、単なる一時的な株価の調整ではなく、AIと半導体を巡る技術覇権争いに起因する経済・政治・技術が絡み合った構造的なショックと捉えられています。
AIバブルの選別フェーズ
市場は現在、「AIバブル」の選別フェーズに突入したと考えられています。
投資家は、AIを実用化し持続的な利益に変えられる「本物のイノベーター」と、AIを名乗るだけの「模倣者」を区別する必要があると指摘されています。
AIによる価値創造は揺るがないという見方もある一方で、その恩恵を受ける企業は限られるだろうということです。
「タコトレード」の可能性
過去(2018年の米中貿易戦争や4月の関税ショック)のパターンに照らし合わせると、トランプ氏のような強硬発言で市場が一時的に揺れた後、その恐怖を利用して資金が押し目買いに動く「タコトレード」が発生する可能性が指摘されています。
タコトレードが機能する条件として、米経済の底堅さとAI/クラウド関連の成長継続が企業決算で確認されることが挙げられます。
このような高いボラティリティ(VIX指数は22)の局面では、長期投資家は冷静さを保つことが重要だと強調されています。


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