FOMCと金融政策
利下げ決定と賛否の分裂
FRBは事前の予想通り0.25%の利下げを実施しました。
しかし、この決定には賛否が割れました。
サンフランシスコ連銀のステフン・ミラン氏は0.5%の利下げを望み反対票を投じました。
カンザスシティ連銀のジェフリー・シュミット氏は利下げに反対し、インフレへの警戒を示唆しました。
12月の追加利下げ観測への牽制
パウエル議長は、12月の追加利下げ観測について「規定路線ではない」という強い言葉で牽制しました。
FOMC参加者19人の間で意見が大きく割れており、少なくとも1会合待つべきとの声が高まっていることを強調しています。
市場は年内の追加利下げを織り込んでいたため、この発言を受け株価は下がり始めました。
CME FedWatchによると、12月の利下げ確率はFOMC前の90%超から69%未満まで低下しました。
量的引き締め(QT)の終了
市場が注目していたQT(バランスシートの縮小)の終了タイミングが明示されました。
FRBは、11月のOPE終了後、12月1日に資産縮小を止めると公表しました。
QT終了は、実質的に追加緩和に近い効果を持つとされます。
景気認識とインフレ
パウエル議長の景気認識は、9月会合時から大きな変化はなく、成長の原則、失業率の上昇、インフレのやや高止まりという見方を維持しています。
インフレ率は2%目標に向かいつつも、FRBの基準で2.8%付近と依然高い水準にあります。
関税によるインフレへの影響(0.5ポイント程度)は一時的な上昇に過ぎないとの見解です。
関税を除けば、インフレは2%目標からそれほど遠くないと述べています。
K字型経済の出現
大企業からの決算報告やカンファレンス・コールからは、経済の二極化、すなわちK字型経済が起きていると報告する企業が多く存在します。
低所得層の消費者は苦境に立たされ、購入を減らし低価格製品に移行していますが、一方で、高所得層や富裕層は支出を続けています。
主要テクノロジー企業(メガテック)の決算
Google、Microsoft、Metaの3社は決算を発表しましたが、市場の反応はまちまちでした。
Alphabet (Google)(+5.8%~+6%)
完璧な決算で今夜の勝者。
クラウド事業の成長(+34%増)と、検索広告収入の好調。
資本支出見通しを$910億〜$930億ドルに引き上げ。
Microsoft (-3.6%~-3.7%)
業績は好調。
Azureを含むクラウド部門の売上が予想を上回り、Azure成長率は40%増。
しかし、AI対応データセンター投資に伴う資本支出が大幅に拡大(+35%増)し、コスト増の懸念から株価は下落しました。
Meta Platforms(-7.4%~-8%)
EPSと売上高は予想を上回った。
しかし、AIへの全力投資によりコストが32%増加。
特に、AI研究者の採用とデータセンター投資により営業利益率が悪化し、フリーキャッシュフローが圧迫されました。
来年の設備投資が「著しく大きなドルベースの増加になる」と予想。
投資家がこの支出ラッシュに神経質になり、株価が急落しました。
また、一時的な非現金の税金費用($159億)も計上されています。
GoogleとMicrosoftは、AI開発企業向けにサーバーを貸し出すクラウド事業を持っているため、巨額のAI投資をより余裕を持ってこなしているように見えます。
一方、Metaは自社の開発ニーズが投資の主な理由であり、目先でのAI投資リターンは低くなる可能性が高いです。
AIブームとNVIDIA
NVIDIAの時価総額
NVIDIAは、時価総額5兆ドルというマイルストーンを達成しました。
これは、4兆ドルに到達したわずか3ヶ月後に訪れた節目です。
NVIDIAの企業価値は現在、アメリカと中国を除くどの国よりも高く、ドイツ、日本、インドのGDPよりも大きくなっています。
同社のCEOは、今後5四半期分のAIチップで5,000億ドルの受注をすでに確保していると述べています。
過去6ヶ月間でNVIDIAの株価は約90%上昇しました。
AI投資の金利感度
AIデータセンターへの投資は、企業がAIに非常に高い経済的利益があると見ているため、金利に敏感ではないと考えられています。
投資は金利のわずかな変動に基づくものではないとされています。
AI関連企業の動向
キャタピラー
決算が好調で11%超の上昇となり、最高値を更新しました。
AIデータセンター向けの発電装置の強い需要が、関税の逆風を補っています。
オラクル
巨額のAI投資(スターゲート計画)により、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が高騰しています。
これは、オラクルの経営に対して投資家が不安を感じている状況を示唆しており、リスク回避の姿勢を強めている背景があります。
その他の個別銘柄と市場の動き
フィサーブの崩壊
決済処理を手掛ける金融会社フィサーブは、株価が42%急落しました。
新CEOが業績見通しを半分以上に過法修正し、過去の成長が、現在急速に縮小しているアルゼンチン事業や短期的な収益施策に依存していたことが明らかになりました。
ウォール街のアナリストはこれを「衝撃的」「株は壊れた」と評しています。
消費者支出の引き締め
外食産業では、ポスト上昇により消費者が財布の紐を締め始めている兆候が見られます。
チポトレは今年3回目の売上予測の引き下げを行い、株価は時間外で最大15%急落しました。
消費者は外食を控え、スーパーマーケットに奪われていると指摘されています。
スターバックスは既存店売上が18ヶ月ぶりにプラスへ転じましたが、債権コストと労務費が重荷となり、純利益は前年比85%減まで落ち込みました。
クラフト・ハインツも通期の業績見通しを過法修正しており、消費者の購買意欲が物価上昇の影響で歴史的な低水準に落ち込んでいるとしています。
市場指数と金利
FOMC後の市場の動きはまちまちでした。
ナスダックは上昇しましたが(+0.55%)、S&P 500は横ばい、ダウは下落しました(-0.16%)。
米10年債利回りは5ヶ月ぶりの大幅上昇となり、4%台に戻しました。
ドル円レートは、FOMC後に152円台半ばまで一気に上がり、円安に触れています。
米中首脳会談
トランプ大統領と習近平国家主席の米中首脳会談は「素晴らしい会談だった」(トランプ大統領は10点満点中12点と評価)と評されました。
中国側は、レアアースの対米輸出を少なくとも1年間継続し、米国産大豆などの農産物を即時かつ大口で購入することを表明。
さらに、合成麻薬フェンタニルの不正流入を取り締まると約束しました。
米国側は、フェンタニル対策関連の一部関税を20%から10%に引き下げ、中国製品への総関税率を57%から47%に下げました。
しかし、AI向け先端半導体(NVIDIAのブラックウェル)については議論されず、ハイテク分野の対立は引き続き別枠で扱われる見通しです。
トランプ大統領は、性能を落としたNVIDIA製GPUの中国へのアクセスを付与することに「オープンな姿勢」を示したとも報じられています。


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