腎臓の健康維持と改善

健康

腎臓の概要と基本的な役割

腎臓は、そら豆のような形をしており、握りこぶしほどの大きさの臓器です。

これは泌尿器系の器官の一つであり、腰のあたりに左右一つずつ、計2つ存在します。

血管の塊のような臓器で、細い血管が多数集まっているため、動脈硬化の影響を受けやすいという特徴があります。

東洋医学的な観点からは、腎臓は「生命力」の根っこであり、生まれ持ったエネルギーを蓄える「バッテリー」のような、非常に大切な存在と見なされています。

腎臓には、主に4つの大きな働きがあります。

血液の濾過と老廃物の排出(デトックス)

腎臓の最も主要な機能は、血液を濾過し、老廃物や余分な水分を尿として体外に排出することです。

心臓から出た血液のうち約20%が腎臓に流れ込むとされ、腎臓では1日に約150リットルの血液が濾過されますが、そのうちの99%は体内に戻され、約1.5リットルが尿として排出されます。

この濾過機能は、腎臓の機能の単位である糸球体(しきゅうたい)で行われます。

糸球体は血液を濾過し、必要な成分を再利用する「リサイクルセンター」と、不要な成分を尿として捨てる「ゴミ処理場」の役割を担っています。

体液バランスの調整

体内の水分量や電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウムなど)のバランスを調節し、体液の恒常性を維持しています。

ホルモンの分泌と造血

腎臓は、赤血球を作る働きを促進するエリスロポエチンというホルモンを分泌しています。

また、血圧を調整するレニンなどのホルモンも分泌しています。

ビタミンDの活性化

カルシウムの吸収に必須なビタミンDを活性化させ、骨を丈夫にする働きがあります。

腎機能の低下(慢性腎臓病 CKD)について

腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、機能が低下しても初期段階では自覚症状がないことが多いです。

症状が現れた時には、機能が著しく低下しているケースがあります。

慢性腎臓病の現状と原因

慢性腎臓病(CKD)は、現在日本全国で約1330万人(国民の8人に1人)が罹患していると言われています。

放置すると最終的に末期腎不全に至り、透析治療や腎臓移植が必要になる場合があります。

人工透析が必要となる主な原因疾患は、糖尿病性腎症(第1位)と高血圧・腎硬化症(第2位または第3位)であり、圧倒的に生活習慣病が原因となっています。

その他のリスク因子として、脂質異常症、高尿酸血症、肥満、加齢、タバコ、血縁に腎臓病の人がいること、過去に蛋白尿や血尿を指摘されたこと、そして男性であること(女性よりもリスクが高い)が挙げられます。

腎機能低下時に見られる主な症状

腎臓の機能が30%〜45%以下に低下した場合に、以下の症状が出始めることが多いとされます。

むくみ(浮腫)

体内の水分が十分に排泄されず余分に溜まった状態です。

腎臓が原因の場合、通常は左右対称に全身がむくみ、特に重力の関係で足の甲や脛がむくみやすいです。

尿量の変化と頻尿

初期には尿を濃縮する力が低下し、多尿(2500ml以上/日)や夜間頻尿が見られます。

さらに機能低下が進むと、尿の量が減る乏尿(400ml以下/日)や無尿(100ml以下/日)になることがあります。

蛋白尿・血尿

腎臓のフィルターが損傷し、本来リサイクルされるべきタンパク質や赤血球が尿に漏れ出ます。

蛋白尿や血尿は、腎臓病の比較的初期に現れる症状の一つです。

高血圧

余分な水分や塩分を排泄できなくなることで、血管内の水分が増加し、血圧が上がります。

貧血(腎性貧血)

エリスロポエチンの分泌が減少し、赤血球が作られなくなることで生じます。

貧血が進行すると、動悸や息切れ、めまい、全身倦怠感などの症状が現れます。

だるさ(倦怠感)と尿毒症

腎機能の低下により老廃物や毒素が体内に蓄積する尿毒症の状態になると、全身の倦怠感や食欲不振、吐き気などの症状が出ます。

かゆみ

腎機能が高度に低下すると、老廃物が血中や皮膚に溜まることで、発疹がないのに強いかゆみを感じることがあります。

胸の痛み

慢性腎臓病は心臓血管系の病気(狭心症、心筋梗塞など)と関係が深く、機能低下は動脈硬化を進め、これらのリスクを高めます。

腎機能の評価方法

腎臓の健康状態をチェックするために、主に以下の3つの項目を確認します。

クレアチニン

血液検査の項目で、筋肉が活動した後に排出される老廃物です。

腎機能が低下すると、この老廃物が血液中に溜まるため、数値が高くなります。

eGFR(推定糸球体濾過量)

クレアチニン値に年齢や性別を考慮して算出される、腎機能の正確な指標です。

eGFRが60%以下になると慢性腎臓病(CKD)と診断される一つの基準となります。

15%を切った状態は、透析が必要になってもおかしくない危険な状態とされます。

尿蛋白(尿タパ)

尿検査の項目です。

尿中にタンパク質が多く含まれているということは、腎臓のフィルターがタンパク質をリサイクルできずに漏らしている状態を意味します。

腎臓を保護するための生活習慣と注意点

腎臓の機能を守り、血管の老化を防ぐことが非常に重要です。

休息と運動

休息

疲れた時や時間があるときは、5分でも横になりましょう。

これは腎臓の負担を軽減させる一つの方法です。

夜更かしや睡眠不足は交感神経を高め、腎臓の血流を悪くする方向へ働くため、質の良い睡眠習慣を心がけましょう。

運動

運動は腎臓の健康を保つ上で非常に重要です。

ウォーキング(気持ち早いくらいで1日20分、週3~5日)や食後のスロースクワットなど、適度な運動は血液の巡りを良くし、腎臓への負担軽減に繋がります。

ただし、運動のしすぎは老廃物(筋肉疲労)が溜まり、かえって腎臓に負担をかけるため注意が必要です。

水分摂取と飲み物

水分量

水分不足は腎臓に負担をかけるため、体重1kgあたり30~40mlを目安に、日中にこまめに水分補給をすることが大切です。

夜間

夜寝る前の多量な水分摂取は、腎臓の負担や夜間頻尿の原因となるため、一口含む程度に控えましょう。

推奨される飲み物

水、左右(白湯)が腎臓にとって最も良いとされます。

その他、カリウムやカフェインが非常に少ない麦茶やほうじ茶もおすすめです。

注意が必要な飲み物

お茶・コーヒー

カフェインによる利尿作用が強い場合、水分補給のつもりが脱水につながることがあります。

濃いめのお茶や玉露、抹茶はカリウムが多く含まれるため注意が必要です。

ジュース・乳製品

果汁100%ジュースはカリウムが多く、牛乳や豆乳はカリウムやリンが多く含まれるため、腎機能低下者は注意が必要です。

食事管理(腎臓に負担をかける成分)

腎機能の低下レベルに応じて、以下の成分の摂取量を調整する必要があります。

塩分(ナトリウム)

高血圧の原因となり、血管を通じて腎臓に大きな負担をかける。

どのステージでも制限が推奨(1日6g未満が理想)。

摂るならミネラルがちゃんと残ってる天然塩にする。

加工食品やインスタント食品は控えましょう。

柑橘類や香辛料、旨味調味料を活用して塩分を減らす工夫をします。

タンパク質

過剰摂取は老廃物(尿素窒素)を増やし、糸球体を疲弊させる。

腎機能が悪い人(eGFRステージ3以上)は制限が必要。

制限がない場合でも、動物性タンパク質よりも吸収率が穏やかな植物性タンパク質(豆腐、納豆など)を優先的に摂ることが推奨されます。

リン

腎機能低下者は体内に蓄積しやすく、血管の石灰化や骨の弱体化につながる。

加工食品やインスタント食品に含まれる無機リンは吸収率が非常に高いため、特に注意が必要です。

茹でることで食材中のリンを減らすことができます。

カリウム

腎機能低下者は体内に蓄積しやすく、高くなりすぎると不整脈など命に関わるリスクがある。

eGFRが45未満の人は制限を意識。

野菜、果物、芋類などに多いため、茹でたり水にさらしたりしてカリウムを減らすことが有効です(特に葉物野菜)。

腎臓を傷める食品の例

食べ過ぎ、特に甘いお菓子や白砂糖、小麦粉製品(パン、パスタ、うどん)、乳製品(チーズ、牛乳、ヨーグルト)は、腎臓に負担をかけたり、血液をドロドロにしたり、体を冷やしたりする要因となるため、摂取量に注意が必要です。

薬やサプリメントの利用に関する注意点

痛み止め(鎮痛剤)

市販の頭痛薬や解熱薬などの鎮痛剤を連用(1~2ヶ月など)すると、腎臓に流れる血液量を減らしたり、腎臓の組織を壊したりする可能性があるため、注意が必要です。

サプリメント

腎臓の機能を良くするという科学的根拠(エビデンス)が確立されたサプリメントはほとんどなく、自己判断で摂取すると、体内のカリウム値などを乱すリスクがあるため推奨されません。

漢方薬

漢方薬であっても、成分によっては腎臓や肝臓に負担をかけ、副作用が出るリスクがあるため、専門医と相談せずに摂取することは避けるべきです。

乳酸菌飲料

プロバイオティクスに含まれる特定の乳酸菌(ラムノーサス菌など)は、腎機能が落ちている人が摂取すると、腎臓病を悪化させる可能性が論文で示唆されています。

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