11月12日の米国株市場は、主要指数間で明確な強弱の差が見られる展開となりました。
特にダウ平均株価は絶好調で、史上初めて48,000ポイントを上回って取引を終え、市場最高値を更新しました。
一方、S&P 500は小幅高(ほぼ横ばい)で、ナスダック総合指数は下落しました。
市場全体を覆っていた最大の要因の一つである43日間に及んだ記録的な政府閉鎖が、歳出法案の可決によりついに終了し、投資家にとって朗報となりました。
LPLファイナンシャルのチーフエコノミストは、政府再開により深刻な景気後退懸念を避けることができたと述べています。
政府の正常化は、食料支援の再開や連邦職員への給与支払い、航空管制の混乱緩和など、実体経済にとってプラスに作用すると見られています。
政府閉鎖の終了を受けて、航空株(ユナイテッド、デルタ、サウスウェストなど)が一斉に上昇しました。
セクターローテーションと指導株の変化
市場では、大型ハイテク銘柄からオールドエコノミー系や金融株へと資金が移るセクターローテーションが起きています。
好調なセクター
ヘルスケアや金融などのオールドエコノミー系銘柄がダウ指数を押し上げました。
特に金融株は最近絶好調で、JPモルガンやゴールドマン・サックス、アメリカン・エキスプレスなどが過去最高値を更新しています。
冴えないセクター
一方で、Amazon、テスラ、メタ、Googleといった大型ハイテク銘柄や、ソフトウェア関連(パランティア、オラクルなど)は下落し、ナスダックの足かせとなりました。
多くの投機的でボラティリティの高いAI関連銘柄から、銀行やバイオテック、製薬大手に資金が移っている状況です。
好決算を発表した個別銘柄も注目されました。
シスコシステムズは好決算を受け時間外で最大8%上昇し、経営陣はAI関連の需要増を要因に挙げています。
AMDもAIデータセンターと自社チップ販売に関する強気なガイダンスが好感され、9%急騰しました。
AIバブルへの懸念
市場ではAI関連株のバリュエーションに対する懸念が続いています。
ソフトバンクが保有するNvidia株を全て売却したことが明らかになり、大口投資家がAI銘柄から引き始めているのではないかという不安が広がっています。
2007年のサブプライム危機を予測したマイケル・バリー氏が、Nvidiaとパランティアに対して大規模なショート(空売り)をしていたことも市場の不安を煽っています。
JPモルガンのアナリストは、過去の通信や光ファイバー投資と同じく、投資のペースに見合う収益曲線が伴わなければ悲劇が起こると警鐘を鳴らしています。
しかし、パランティアのCEOはAIを革命と捉えており、市場はこの「AIは革命か、それともドットコムの再来か」という二極の構図に分かれています。
AI分野では、OpenAIのライバルとされるアンソロピックが、今後米国でのAIデータセンター建設に500億ドルを投資すると発表しました。
同社は2028年にフリーキャッシュフローが黒字化すると予想されており、OpenAIよりも早い黒字化が見込まれています。
経済指標と金利動向
政府閉鎖の終了に加え、市場は金利の行方を気にしています。
現在、10年国債利回りは4.07%に低下傾向にあり、投資家は12月に0.25%の追加利下げが行われる確率を約6割で織り込んでいます。
金利が下がると、将来の利益の割引率が下がるため、一般的に株式にとっては追い風となります。
なお、政府閉鎖の影響により、予定されていた10月分の消費者物価指数(CPI)や雇用統計などの経済指標が、発表されない可能性が高いという報道も出ています。
データが集計されていないため、あるいは政府にとって都合の悪いデータかもしれないため公表を控える選択肢もあると推測されています。
経済の弱さを示す兆候として、サブプライム層の自動車ローン延滞率(60日以上)が6.65%に上昇し、1994年の統計開始以来で過去最高を更新したことが挙げられています。
高金利のローン支払いや生活費の圧迫が背景にあり、利下げが待たれる状況です。
企業業績と今後の見通し
S&P 500構成企業の決算は堅調で、アナリスト予想では第3四半期の1株あたり利益は前年同期比+13.1%の伸びとなる見込みです。
決算が進むにつれて予想が上方修正されており、これは「非常にいいサイン」とされています。
市場の今後の見通しについて、カーソン・グループは、政治の混乱があったとしても、以下の5つの追い風によって来年の景気と株式は上に向かいやすいと分析しています。
- 世界経済と企業業績の持ち直し。
- 巨額の減税法案(短期的に家計と企業に資金を供給)。
- 関税・貿易戦争の不透明感の交代。
- FRBによる利下げ(インフレが高い状況でも利下げが続くことは短期的に株式市場に甘い環境)。
- モメンタム面での上昇の勢い(過去の統計上、強い上昇相場はその後に続きやすい)。
この見解は、AIバブル崩壊やリセッション(景気後退)の懸念といった悲観論とは逆で、市場の傾向はむしろプラス側に変わってきていることを示しています。


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