11月13日の米国の株式市場は、大きな下落と投資家のセンチメントの急変を経験しています。
市場動向と主要な下落要因
米国株式市場は最近、主要3指数(ダウ平均、S&P 500、ナスダック)が揃ってこの1ヶ月で最大級の下落を記録しました。
特に木曜日の取引では、ナスダックが2.3%の下落、ダウ平均が2.3%の下落、S&P 500が1.7%の下落となりました。
出来高は前日比で増加し、機関投資家による売りが示唆されています。
この下落の最大の要因は、来月12月の利下げ実施への期待が大きく後退したことです。
利下げ期待の後退とFRBのタカ派姿勢
CME FedWatchによると、12月の利下げ確率が1週間前の70%や1ヶ月前の95%から、約50%にまで低下しました。
現在では、12月のFOMCで「現状維持」が半分以上(52.36%)と織り込まれています。
FRB高官はタカ派的な発言を続けており、パウエル議長(先月)は12月の利下げは確実ではないと発言し、ボストン連銀のコリンズ総裁は短期的な追加緩和には高いハードルがあるとの見解を示しました。
サンフランシスコ連銀のデイリー総裁やクリーブランド連銀のハマック総裁らも、インフレが依然として粘着的で高すぎることを指摘し、これ以上の利下げには慎重な姿勢を示しています。
金利観測の変化は、成長株、特にテック株に最も大きな打撃を与えます。
バブルへの警戒感とバリュエーションの加熱
投資家たちは、AIブームが2000年頃のドットコムバブルに似ているという警戒感を強めています。
ゴールドマン・サックスのアナリストは、AIブームが続くと、1990年代後半のドットコムバブルのような、実態と乖離した加熱相場が再現する危険があると述べています。
ナスダックの予想PER(株価収益率)は約30倍で、過去10年平均の約25倍を上回る水準で推移しています。
政府閉鎖終了後の動揺とデータ欠落
史上最長となった43日間の政府閉鎖は終了しましたが、市場では「バイ・ザ・ルーマー、セル・ザ・ニュース」(噂で買って、ニュースで売る)の典型的な展開になった可能性が指摘されています。
政府閉鎖は、連邦職員の給与遅延、食料補助金の支払い停滞、フライトのキャンセルなど広範な影響を及ぼし、市場はインフレや雇用などの主要経済指標に関するデータを完全に失いました。
インフレなどの一部データはそもそも収集されておらず、10月のCPI(消費者物価指数)や雇用統計は永遠に公表されない可能性も警告されていました。
データの欠落により、FRBは「ブラインドフライト」(目隠し飛行)を強いられ、政策判断が一段と難しくなっており、市場は閉鎖の終わりよりもFRBの次の手が読めないという現実を懸念しています。
個別銘柄とセクターの動向
金利の上昇懸念とバブル警戒感により、特にAI関連やハイPER銘柄で売りが集中しています。
下落した銘柄・セクター
「マグニフィセント 7」のうち6銘柄が下落しました(唯一の上昇はMeta)。
ブロードコムは4.3%安、NVDAは3.6%安。
NVDAの決算(11月19日)は、半導体・AIセクター、および広範な相場にとって極めて重要視されています。
パランティアは6.5%安。
テスラは6.6%安となり、50日移動平均線を明確に割り込みました。
IPO間もない銘柄(CoreWeave、Nevius)や量子コンピューティング関連銘柄(D-Wave Quantum、Rigetti Computing、IonQ)も大きく売られました。
CoreWeaveは8%超の下落、ネビウスは6%の下落、量子コンピューティング関連は10%以上の下落を記録しています。
資金のローテーションと買われた銘柄・セクター
投資家はAIブームで長く上昇してきたメガキャップテックで利益を確定し、より妥当な評価水準にあるセクターへ資金を移しています(典型的なローテーション)。
ヘルスケア、素材、エネルギー、生活必需品(コストコ、ペプシ、ジェネラル・ミルズなど)、高配当株といったリスクオフ的な動きが見られる分野が買われています。
シスコシステムズは約5%の上昇となり、ハイパースケーラー顧客によるAIインフラ投資が売上成長を強く押し上げたことが好感されました。
今後の見通し
ウォール街のムードは例年の楽観的なものではなく、悲観的です。
CNNのフィア&グリード・インデックスは現在「極度の恐怖」(Extreme Fear、指数24)に傾いています。
市場は現在、強い景気とAIブームで上を見ている状況と、FRBと物価次第では深めの調整があり得るという綱引きのさなかにあります。


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