11月20日木曜日の米国株式市場は、序盤の大きな上昇から一転して急落し、ジェットコースターのような展開となりました。
主要指数の動向

主要指数は軒並み大幅に下落しました。ナスダック総合指数は 2.2%の急落*となり、S&P 500指数は 1.6%安、ダウ平均は 0.8%安となりました。
小型株のラッセル2000も 1.8%安で、3ヶ月ぶりの安値をつけています。
市場序盤、主要指数は50日移動平均線を上抜いて出発しましたが、午前中にその勢いは完全に崩壊しました。
出来高が前日よりも増加しており、機関投資家による売りが示唆されています。
S&P 500指数とナスダック指数は、前日の陽線を完全に包み込むような大きな陰線(ベアリッシュインゴルフィング)を形成しました。
これはテクニカル的に 調整が来ることを示唆することがよくあります。
ナスダック指数やS&P 500指数は、三尊天井のような形で動いており、この日ネックラインを下に切ってしまった点も懸念されています。
S&P 500は直近の高値から5%下落、ナスダックは-8.2%、ラッセル2000は-9.3%と、ナスダックや小型株の調整幅が特に激しくなっています。
市場急落の背景
この日の急落は、主にAI関連株の中心であるNVIDIAの決算後の動きと、FRBの利下げ期待の後退という二つの要因が重なりました。
NVIDIAの好決算とAI株の全面安
NVIDIAは第3四半期決算を発表し、売上、利益ともに市場予想を上回り、将来の見通し(ガイダンス)も非常に好調でした。
特にデータセンター事業の売上が前年同期比で66%増と力強い伸びを示しました。
CEOのジェンセン・ファン氏はAIバブル論を否定しましたが、その安心感は長続きしませんでした。
株価は時間外および寄り付き直後には最大5.1%上昇しましたが、引けまでには3%安と大幅に反転下落しました。
市場は決算内容自体は評価したものの、サプライズ感がなかったことに加え、いくら業績が良くても、既に株価が大幅に上昇しているAI銘柄をこの水準からさらに買い増すことへの警戒感が強まりました。
AIブームが過剰投資ではないか、設備投資に見合うリターンが得られるのかという懸念も強まりました。
NVIDIAの急落に連動し、ブロードコム、TSMC、AMD、マイクロン・テクノロジー(-10.9%)など、AI関連の主力銘柄も総崩れとなりました。
雇用統計の発表と金融政策の不透明感
政府閉鎖により発表が遅れていた9月雇用統計が発表されました。
非農業部門雇用者数は予想を上回る11.9万人増を記録しましたが、失業率も4.4%に上昇するという 強弱入り混じるミックスな内容でした。
この混在した内容は、FRBが12月に利下げするかどうかの判断を難しくしました。
市場では、労働市場が急激に悪化しているわけではないことから、FRBが追加利下げに踏み切るのは容易ではないという見方が強まりました。
CME Fed Watchによると、12月の0.25%利下げの確率は40%、据え置きが60%となっています。
利下げ期待の後退が、取引後半の売りを後押ししました。
投資家のセンチメントと専門家の警告
恐怖指数(VIX)は11%急騰し、26.42に達しました。
これは4月下旬以来の高水準です。
Fear & Greed Index(恐怖と貪欲指数) は一気に1桁台の 6まで下がり、極度の恐怖(Extreme Fear)の水準を示しています。
マーケットの急落を受け、IBD(インベスターズ・ビジネス・デイリー)は、投資家は市場エクスポージャーを大幅に落とし、 キャッシュ比率を高めることが重要だとアドバイスしています。
ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者のレイ・ダリオ氏も、今はバブルであると断言し、防御を勧めています(金保有、信用エクスポージャーの削減など)。
相対的に強かったセクター
市場が全面安の様相を呈する中、ディフェンシブセクターには資金が流入しました。
ウォルマートは第3四半期の決算が予想を上回り、通期の売上成長見通しを上方修正したことを受け、株価は 6%上昇しました。
インフレにより高所得層まで節約志向が広がり、ウォルマートに多くの顧客が来ているとされています。
ウォルマートは上場先をニューヨーク証券取引所からナスダックへ移すことも発表しました(12月9日から)。
これは成長するテック系の仲間入りと見られ、投資家の目に魅力的に映る可能性があります。
暗号資産の動向

ビットコインも売り叩かれ、8.8万ドルを割り込む水準まで下落しました。
暗号資産取引を提供するロビンフッドやコインベースの株価も大幅に下落しています。
ビットコインの下落は、AI関連など、これまで相場を牽引してきたスター銘柄が一斉に調整局面に入っている構図と一致しています。
投資への示唆
AI投資ブームは、歴史的なインフラ投資サイクルと位置づけられていますが、過剰投資から供給過剰、株価の大幅調整というバブルの典型的なパターンに陥るリスクが強調されています。
この局面においては、AIの波に乗りつつも分散投資を行うことが重要であり、AIインフラの恩恵を受けるテクノロジー株を持ちつつ、インフラ投資や景気後退の恩恵を受けやすい工業株や低ボラティリティ株にも分散させる バーベル型のポジションが有効であるという意見もあります。
市場には本格的な調整に入る可能性もあり、投資家は明確な持続的強さを確認するまで、キャッシュ比率を高めて守りを固めることが推奨されています。


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