キリスト教

歴史

キリスト教は、世界で最も多くの信者数を誇る世界最大の宗教です。

その信者数は約23億人にも上り、これは世界人口のおよそ3人に1人がキリスト教を信仰していることになります。

キリスト教は、今からおよそ2000年前に現在のイスラエルとパレスチナのあたりで誕生しました。

キリスト教の起源とユダヤ教との関係

キリスト教が誕生する以前、その地域ではユダヤ教が盛んに信仰されていました。

ユダヤ教は、空や大地、人間を含むこの世の全てのものを創造した唯一の全知全能の神ヤハウェを信仰する宗教です。

ユダヤ教の教えは『旧約聖書』に記されており、そこには、神が人間を幸せにする代わりに人間は神の定めた契約(律法)を守るべきであるという内容が書かれています。

この律法は非常に厳しく、食べ物や服装、安息日(7日目の休みの日)の過ごし方など、日常生活の細かい点にまで及んでいました。

特に熱心なユダヤ教徒は、安息日に病人や障害者の世話や治療を行うことすら労働にあたるとして禁じ、非難の対象となっていました。

当時のユダヤ教社会の厳しさに苦しんでいた人々は、『旧約聖書』に記された予言を信じ、いつか神が救世主(メシア)を遣わし、苦境から救い出してくれると希望を抱いていました。

イエス・キリストの教えとキリスト教の成立

このような状況の中、ユダヤ教徒の家庭にイエス・キリストが誕生しました。

イエスは、厳しすぎるユダヤ教の教えに疑問を持ち、神はもっと優しく、人間を愛する存在ではないかと考えました。

イエスが布教した新しい教えの中心は、神の無限の愛(アガペー)です。

アガペーは、罪人を含めた全ての人に平等に注がれる無償の愛であり、神は人間を徹底的に愛し、幸せになることを願っています。

これは、律法を守るユダヤ人だけが救われるという当時のユダヤ教の考え方と対照的でした。

イエスはまた、手をかざして病気を治したり、死者を復活させたり、少ない食べ物で大勢の人を満腹にしたりといった数々の奇跡を起こしたとされています。

イエスは、神の教えを勝手に解釈した罪などで熱心なユダヤ教徒によって裁判にかけられ、最終的に十字架に張り付けられて処刑されました。

原罪と贖罪、そして復活

キリスト教では、人類の祖先であるアダムとイブが神の禁を破り知恵の実を食べたことで、全ての人類が神に対する根源的な罪である原罪を背負っていると考えます。

この重い原罪は普通の人間では償えません。

イエス・キリストは、神の子として自らが十字架にかけられることで、全ての人間の原罪を代わりに背負って許しを請うた贖罪の犠牲となったと解釈されます。

そして、イエスは処刑から3日後に復活したと信じられています。

この復活は、イエスが救世主であることを証明し、信じる者は誰でも救われるという神との新しい契約が結び直されたことを示しています。

イエスを信じ、その言葉を書き留めて広めた弟子たちの活動によって、キリスト教が成立し、教えが広まっていきました。

キリスト教の聖書と中心的な教え

キリスト教徒が大切にする書物は『新約聖書』です。

これは、イエスの行動や言葉を弟子たちが書き残した総集編のようなものです。

キリスト教徒にとって、聖書に書かれていることは絶対であり、事実かどうかよりも、それを信じる姿勢こそが信仰であると考えられています。

キリスト教の根幹となる教えは「神の無限の愛」の他に、「隣人愛」があります。

これは他者を思いやり、支え、助けることを意味します。

イエスは、困っている人がいれば分け隔てなく愛し、助け合うことが大切だと教えました。

また、イエスは弟子たちに天国(神の国)を用意すると約束しており、天国は飢えや嘆き、労苦のないところだと説きました。

キリスト教徒は、死後の世界に絶対的な回答(天国への希望)があるため、死に対する余計な恐怖を抱くことなく安心して日々を生きられるとされています。

キリスト教の宗派

キリスト教は、歴史的な背景や教えの解釈の違いから多くの宗派に分かれています。

特に主要な宗派として、カトリック、正教会、プロテスタントの三つがあり、これらで信者の約95%を占めます。

カトリック

カトリックは、ローマ教皇を頂点とする明確な階級制度(ヒエラルキー)を持ち、イエスの母である聖母マリアや聖人も信仰の対象としています(崇敬)。

教会は豪華な装飾や芸術品で飾られることが多いです。

プロテスタント

プロテスタントは、「信仰のみ」「聖書のみ」「万人祭司(すべての信徒は神の前で平等)」の三つの教義を特徴とします。

聖書を自ら読み解くことを重視するため、教会は簡素な造りが多いです。

また、労働は神から与えられた「天職」であり、労働を通じて信仰を示すことができると考えられています。

正教会

正教会は、カトリックのようなローマ教皇の権威を認めず、キリスト以外にトップはいないという立場です。

イコン(イエスや聖人を描いた絵画)を信仰の窓口として重視しますが、偶像そのものを崇拝しているわけではありません。

このように宗派は分かれていますが、どの宗派もイエスが救世主であること、そして復活したという点は共通して信じられています。

近年では、かつて対立していた宗派間で和解に向けた動きも見られるようになっています。

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