宅建業法における業務規制は、宅建業者が正しく業務を行い、消費者を保護するために定められたルールです。
多くの規定は「社会人としての常識」に近い内容ですが、試験対策としては正確な言い回しや、具体的な禁止事項を把握しておく必要があります。
以下に、主な業務規制の内容を詳しく解説します。
業務における基本的な規程(信義誠実・教育・遅延禁止)
宅建業者は、取引の関係者に対して信義を旨とし、誠実に業務を行わなければなりません。
また、自社の従業者に対しては、業務を適正に実施させるために必要な教育を行うよう努める義務があります。
さらに、登記や物件の引き渡し、対価の支払いといった義務を不当に遅延させることも禁止されています。
守秘義務
宅建業者は、業務上知り得たお客さんの秘密を正当な理由なく漏らしてはなりません。
例外
お客さん本人の承諾がある場合や、裁判所での証言などは「正当な理由」に該当し、義務違反にはなりません。
対象
この義務は業者自身だけでなく、従業者にも課せられます。
また、廃業した後や退職した後であっても、引き続き秘密を守る義務があります。
告知義務と不実の告知の禁止
契約の勧誘時や、申し込みの撤回・解除を妨げるために、事実を告げなかったり(不告知)、嘘をついたりすること(不実の告知)は厳格に禁止されています。
告知すべき事項
重要事項説明の内容、供託所に関する事項、契約書の記載事項のほか、交通の利便性や取引相手の支払い能力(資力・信用)などが含まれます。
ポイント
この告知義務は、宅建士だけでなく従業員の誰が行ってもよいとされています(35条の重要事項説明とは異なります)。
手付けに関する規制(信用供与の禁止)
手付け金に関して、「信用供与」によって契約締結を誘引することは禁止されています。
禁止行為
手付け金を貸し付ける、手付け金の分割払いを認める、後払いを認める(支払猶予)といった行為は、たとえ契約に至らなくても、誘引した時点でアウトとなります。
許可される行為
代金の値引き、手付け金の減額、銀行ローンの斡旋などは禁止されていません。
報酬の扱い
媒介報酬(仲介手数料)については、手付け金ではないため分割で受け取ることが可能です。
罰則
違反した場合は、監督処分のほか「6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金(または併科)」という罰則の対象になります。
勧誘における禁止事項
強引な勧誘や、誤解を招く説明は禁止されています。
断定的な判断の提供
「必ず儲かる」といった利益の確実性や、将来の交通便などについて断定的な判断を提供することは、過失であっても禁止されます。
手続の妨害
お客さんが申し込みを撤回する際に預かり金の返還を拒んだり、正当な理由なく解約手付けによる解除を妨げたりしてはいけません。
勧誘のルール
1. 勧誘の前に、業者名、担当者名、勧誘目的であることを告げる必要があります。
2. お客さんが「いらない」と拒否の意思を示しているのに勧誘を継続してはいけません。
3. 深夜や早朝など、私生活の平穏を害するような迷惑な時間に電話や訪問をしてはいけません。
4. 契約を判断するために必要な時間を与えることを拒んではいけません。
行為能力の制限による取り消しの制限
個人の宅建業者が(未成年者を除き)行った業務上の行為は、自分の行為能力の制限(成年被後見人であることなど)を理由に取り消すことができません。
これは、精神上の障害などにより「欠格事由」に該当する場合でも、特定の条件下で免許を受けられるケースがあるためです。
もし、免許を持って業務を行っている業者が「自分は制限行為能力者だから、この契約はなかったことにする」と言い出せると、取引相手が不測の損害を被るため、業者としての責任を最後まで持たせるための規定です。
最後に
宅建業法の業務規制を例えるなら、「プロのスポーツ選手が守るべきフェアプレーの精神」のようなものです。
単にルールブックの文字を守るだけでなく、相手を尊重し、嘘をつかず、正々堂々とプレー(取引)を完結させることが求められており、一度フィールド(市場)に立った以上は、「体調が悪いから今のプレーは無効だ」といった言い訳は通用しないという厳しいプロ意識を義務付けているのです。


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