食料品消費税0%の賛否

政治と経済

食料品の消費税を0%にするという議論には、大きく分けて「免税取引」と「非課税取引」という2つの仕組みがあり、どちらを採用するかによって消費者や事業者のメリット・デメリットが劇的に変わります。

この政策が成功するか失敗するかは、この2つのどちらのロジックを前提にするかという点にかかっています。

それぞれの仕組みと影響について、詳しく解説します。

「非課税取引」としての0%(反対派の視点)

消費税0%を否定する専門家や議員は、この「非課税取引」の仕組みを想定していることが多いです。

仕組み

売上にかかる消費税は0円になりますが、仕入れにかかった消費税を差し引く(仕入れ税額控除)ことができません。

隠れた税負担(タックス・オン・タックス)

事業者は仕入れの際に支払った消費税を国から返してもらえないため、その分を値上げすることで補おうとします。

その結果、名目上の税率は0%でも、商品の本体価格が上がり、最終的に消費者が負担する金額が本来の10%時よりも高くなってしまう「隠れた税負担」が発生する可能性があります。

結論

流通経路が長い食料品において非課税を適用すると、税の累積が生じ、事業者も消費者も損をするリスクがあります。

「免税取引」としての0%(賛成派の視点)

消費税0%に賛成する人々は、輸出取引などと同じ「免税取引(ゼロ税率)」の仕組みを前提に議論しています。

仕組み

売上にかかる消費税は0%ですが、仕入れにかかった消費税は国から還付(返金)されます。

輸出還付金と同じロジック

これは輸出企業が受けている「輸出還付金」と全く同じ制度です。

事業者は仕入れの際の税負担を国から取り戻せるため、価格を据え置いたまま、消費者に税抜き価格(0%)で販売することが可能になります。

結論

取引全体で税を相殺できるため、消費者の支払額を純粋に下げることができます。

特定の業種(飲食店など)への影響

食料品(材料)が0%になると、それを仕入れて加工・販売するレストランなどの飲食店には影響が出ます。

仕入れ税額控除の喪失

食料品の税率が0%(免税)になると、飲食店は仕入れ時に消費税を支払わなくなります。

すると、確定申告時に「売上の税金から差し引ける金額」がなくなるため、国に納める税額の数字自体は、従来の10%時よりも大きくなります。

賛否の分かれ目

反対派

「飲食店が国に納める額が倍増し、負担が増える」と主張します。

賛成派

「もともと仕入れ時に払っていた分を、後からまとめて納めるだけなので、トータルの負担額(仕入れ+納税)は変わらない」と主張します。

まとめと現状のスタンス

食料品0%を巡る議論の対立軸は、以下の通り整理できます。

賛成派の論理

「免税取引(ゼロ税率)」を導入し、仕入れ税額の還付を認めることで、消費者の負担を確実に下げるべきである。

反対派の論理

「非課税取引」のような価格転嫁の歪みや、納税事務の混乱、還付金の発生などを問題視する。

財務省の考え方

事務の複雑化や税収面などの観点から、従来通りすべてを課税取引(現状の軽減税率を含む)に維持したいというスタンスです。

この政策の是非は、事業者の還付を認める「ゼロ税率」という仕組みを国民や政治が許容できるかどうか、という政策的判断に委ねられています。

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