小麦粉が体に及ぼす悪影響については、その影響の出方に大きな個人差があることが前提となりますが、特定の体調不良や疾患を引き起こすメカニズムが指摘されています。
小麦粉摂取の基本的な性質と個人差
小麦粉に含まれるタンパク質であるグルテンは、人によっては体にとってダメージを蓄積させる物質となり得ます。
人による影響の差
小麦が体に悪いかどうかは「人によりけり」が正しい回答であり、すべての人にとって摂取すべきでないというわけではありません。
しかし、日本人のおよそ3割は、小麦を摂取しない方が体調が良くなる人が多いというデータもあります。
中毒性とダメージの蓄積
小麦には中毒になる性質があり、たとえ体に悪いものであっても、毎日食べ続けると(麻痺して)食べられるようになってしまいます。
この間、体にはダメージが溜まっていきます。
小麦を断つことで、小麦の刺激を強く求める状態が弱まり、体調へのダメージが明確になることがあります。
食べ過ぎの基準
毎日パンを食べる、あるいはパスタを週に2回以上食べるような摂取頻度は「食べ過ぎ」と考えられています。
小麦粉の具体的な悪影響と症状
小麦粉の摂取は、様々な不快な症状や病気の誘因となることが指摘されています。
消化器系の不調
小麦を摂取すると、便秘の症状が翌日以降に起こる人がいます。
アレルギー・過敏症との関連症状
小麦摂取が原因となる可能性のある症状として、花粉症や頭痛、あるいは喘息や倦怠感などが挙げられています。
炎症反応
小麦や甘いものを摂取することで歯肉炎が治りにくくなるケースが指摘されており、これは体が「食べちゃいけない」というサインを出している可能性があります。
非セリアック・グルテン過敏症(NCGS)の症状
小麦アレルギーやセリアック病ではないものの、グルテンに対して過敏に反応し体調不良をきたす「非セリアック・グルテン過敏症」があります。
この過敏症の症状は多岐にわたり、下痢、腹部膨満感、便秘、不安感、鼻炎、疲労感、湿疹、発疹、頭痛などが挙げられます。
イギリスの調査では、国民の最大13%がこれに該当する可能性が示唆されています。
グルテンによる炎症と腸への影響メカニズム
小麦の悪影響の核心には、グルテンが腸の健康に及ぼす作用があります。
リーキーガット症候群の誘発
小麦(グルテン)は、メカニズム的にリーキーガット(腸の透過性の亢進)を引き起こすものと考えられています。
メカニズムの詳細
グルテンは主にグリアジンとグルテニンというタンパク質の総称ですが、グリアジンがグルテンによる影響のほとんどを占めます。
グリアジンの未消化のペプチドが腸の上皮細胞の受容体に結合し、ゾヌリンというタンパク質を放出させます。
ゾヌリンは、上皮細胞同士をつなぐ「タイトジャンクション」を分解して隙間を作り出します。
体内の炎症
このように腸の壁に隙間(リーキーガット)ができることで、未消化物や腸内の毒素などが血管に侵入しやすくなり、免疫細胞がこれに反応して炎症を引き起こします。
自己免疫疾患への関与
グルテンの摂取は、抗炎症作用を持つTレグ細胞を減少させ、自己免疫疾患に関連する炎症性のTH17細胞を増加させることもわかっています。
セリアック病(自己免疫疾患)では、このグリアジンへの反応により小腸の絨毛が萎縮し、粘膜の炎症が起こります。
小麦粉に対する特定の不耐性・アレルギー
小麦を摂取してはいけないとされる明確な疾患がいくつか存在します。
小麦アレルギー
小麦を摂取することで、蕁麻疹、かゆみ、腹痛、下痢、鼻水、あるいはアナフィラキシーショックといったアレルギー症状が即座に現れる病態です(約500人に1人)。
セリアック病
グルテンに対する遺伝性の不耐性疾患です。
グルテンを摂取すると、腸の粘膜に炎症が起こり体調不良を引き起こします。
日本では比較的少ない(2000人に1人程度)ですが、欧米では一般的です(150人に1人程度)。
現代の小麦の特性
現在、グルテンに対する問題が注目される背景には、現代の小麦の特性も関与している可能性があります。
品種改良によるグルテン増
昔から人類は小麦を食べていましたが、近年グルテン過敏症が増加している理由の一つとして、品種改良によってグルテンの量が増えていることが指摘されています。
これはパンのもちもち感や弾力を出すためです。
小麦粉の摂取による悪影響は、主にグルテンを介した腸の炎症や透過性の亢進(リーキーガット)によるものであり、その結果、便秘や頭痛、疲労感など、多岐にわたる不調を引き起こす可能性があります。
体にとってのダメージは、アルコールや牛乳と同じように、毎日摂取していると気づきにくい場合があります。
自分の体調を観察し、グルテンフリーを試す(3〜4週間)ことで、自身がグルテン過敏症かどうかを確認できるとされています。


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