アフリカ移民と歴史的背景

歴史

アフリカ移民の問題は、単なる人口移動ではなく、歴史的な背景、経済格差、そしてグローバルな貿易構造が複雑に絡み合った結果として生じています。

歴史的背景と植民地支配の影響

アフリカの多くの国々は、かつてイギリスなどの欧州列強によって植民地化された歴史を持っています。

この時期に、特定の権力者が国民から搾取して利益を上げるような政治・経済構造が構築されました。

この構造は独立後も永続的なものとなり、国の中に極端な格差を生み出す原因となりました。

例えば、コンゴ民主共和国は世界で最も資源が豊富と言われていますが、資源と結びついた一部の層が莫大な資産を持つ一方で、一般市民は1日1ドルの生活を強いられるという、凄まじい格差が存在しています。

経済構造と「バリューチェーン」の欠如

アフリカ諸国が貧困から抜け出せない大きな理由の一つに、「資源はあるが生産ができない」という問題があります。

インフラと技術の不足

石油やダイヤモンドなどの資源があっても、それを製品化するための生成施設やインフラ、そして技術者が圧倒的に不足しています。

バリューチェーンの不在

資源の採掘から最終製品の消費に至るまでの「バリューチェーン(価値の連鎖)」を自国で完結させることができず、資源をそのまま輸出するしかないため、国内に十分な富が蓄積されません。

格差指数(ジニ係数)の高さ

格差を示すジニ係数が、革命が起きるとされる「50」に近い、あるいは超えるような国が多く、これが社会的不安を増大させています。

農業の崩壊と輸入依存

アフリカからの移民、特に若い男性が北(ヨーロッパなど)を目指す直接的な引き金となっているのが、地場産業である農業の崩壊です。

欧州からの小麦ダンピング

ヨーロッパなどで過剰生産された安価な小麦がアフリカ市場に流れ込みました。

価格競争の敗北

アフリカの農家は人件費が安くても、欧州の圧倒的な生産性と安価な輸入品に価格で勝てず、農業生産が立ち行かなくなりました。

実際に、アフリカの小麦輸入依存度はかつての50%から200%(自国生産の2倍を輸入)にまで上昇しています。

都市への流入と困窮

農業で食えなくなった人々は都市部へ流入しますが、そこでも仕事がないため、貧困層が溢れかえることになります。

移民発生のメカニズム

こうした構造的貧困の中で、特に若い男性たちが、家族を養うため、あるいは自分の人生をより良くするために、命がけで国境を越える決断をします。

彼らはサハラ砂漠を越え、地中海を渡ってヨーロッパを目指しますが、その背景には「自国で生産活動ができず、生活の糧を得られない」という切実な現実があります。

これらの問題の根源を辿れば、コロンブス以降の帝国主義や植民地政策に行き着くとされています。

現在の移民問題は、過去の歴史的行為と、現代の自由貿易(グローバリズム)による地場産業の破壊がもたらした「自業自得」の結果であるという側面が指摘されています。

最後に

アフリカの状況は、「金の卵を産むガチョウ(資源)を持っていても、卵を料理する道具(インフラ)や方法を知る人(技術者)がおらず、さらに隣の家から安すぎる料理(輸入品)が投げ込まれることで、自分で料理を作る意欲も場所も失ってしまった状態」と言えるかもしれません。

その結果、家族を養うために、その家(国)を出て外に働きに出ざるを得なくなっているのが現在の移民たちです。

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