重要事項説明(35条書面)において、区分所有建物(分譲マンションの一室など)の売買・交換や、宅地建物の貸借には、通常の取引とは異なる特有の記載事項が定められています。
それぞれのケースについて、詳しく解説します。
区分所有建物の売買・交換における特有の記載事項
区分所有建物の売買や交換を行う際には、建物全体の管理や維持に関する事項など、通常の宅地建物売買に加えて以下の9つの項目を説明しなければなりません。
敷地に関する権利の種類及び内容
敷地利用権が所有権なのか借地権なのか、借地権であればその存続期間や地代について説明が必要です。
共用部分に関する規約の定め
バルコニーやエントランスといった、専有部分以外の場所に関する規約がある場合は、その内容を説明します。
専有部分の用途その他の利用の制限
ペットの飼育禁止や、店舗としての使用禁止など、部屋の使い道に関する規約がある場合に説明します。
専用使用権に関する規約の定め
特定の住人が専用で使える駐車場や専用庭などの権利に関する事項です。ただし、「誰が使っているか」という氏名まで説明する必要はありません。
特定の者に対する費用の減免
本来全員で負担すべき管理費などを、特定の者だけ免除したり減額したりする規約がある場合、その内容を説明します。
計画修繕積立金に関する事項
修繕積立金の額や、既に積み立てられている額、さらに滞納がある場合はその金額も説明しなければなりません。
通常の管理費用の額
修繕積立金とは別に、区分所有者が負担する管理費の額を説明します。これも滞納があればその額を伝えます。
管理の委託先
建物管理が委託されている場合、委託先の氏名や住所(法人の場合は商号・名称や事務所の所在地)を説明します。
マンション管理業の登録番号も記載しますが、具体的な業務内容までは不要です。
維持修繕の実施状況の記録
屋上防水や外壁塗装など、実施された修繕の記録がある場合はその内容を説明します。
重要ポイント
これらの事項について、規約がまだ確定しておらず案の段階であっても、その案の内容を説明しなければならないという特徴があります。
宅地・建物の貸借における記載事項
貸借(賃貸)の場合は、売買と比較して説明事項が簡略化される部分と、貸借特有の生活に密着した項目があります。
宅地・建物に共通する事項
登記された権利
売買と同様に説明が必要です。
ライフラインの整備状況
飲用水、電気、ガスの供給施設や排水施設の状況を説明します。
各種災害警戒区域等
土砂災害、津波災害、造成宅地防災区域、および水害ハザードマップにおける所在地の説明は、命に関わるため貸借でも必須です。
契約の解除、損害賠償額の予定、保全措置に関する事項も説明が必要です。
建物貸借のみの事項(宅地貸借では不要)
台所・浴室・便所等の整備状況
居住用だけでなく、事業用の建物であっても説明が必要です。
アスベストの使用調査結果、耐震診断の内容、建物状況調査(インスペクション)の結果などは、建物の貸借において説明します。
終身建物賃貸借
借主が亡くなるまで住み続けられる契約である場合は、その旨を説明します。
宅地貸借のみの事項(建物貸借では不要)
私道に関する負担
建物の借主が通行料を負担することはまずないため建物貸借では不要ですが、宅地を借りる場合は説明が必要です。
契約終了時の建物の取り壊し
借地契約終了時に建物を壊す予定がある場合は説明します。
貸借特有の事項
賃料以外に授受される金銭
敷金や礼金などの額と、その授受の目的を説明します。
契約期間と更新
更新の有無や更新料、定期借地・借家権などの期間満了による終了について説明します。
契約終了時の精算
敷金などが退去時にどのように精算(差し引き)されるかを説明します。
現時点で金額が確定していなくても、その旨を伝えます。
区分所有建物の「貸借」における追加事項
分譲マンションの一室を借りる場合には、通常の建物貸借の説明事項に加えて、区分所有建物特有のルールとして以下の2点のみが追加されます。
1. 専有部分の用途その他の利用の制限(ペット禁止、楽器演奏の制限など)
2. 管理の委託先の氏名・住所
売買の時に必要だった「修繕積立金の額」や「共用部分の規約」などは、借りるだけの人には直接関係が薄いため、貸借では説明不要とされています。
IT重説の活用
近年では、これらすべての重要事項説明を、テレビ会議などのITを活用して行う(IT重説)ことが、売買・貸借・交換のいずれの取引でも認められています。
その際は、事前に書類を送付しておくことや、映像・音声がクリアであることの確認、宅建士証をカメラに提示して相手が確認できたか確かめることなどのルールを守る必要があります。


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