宅建業法・保証協会制度

宅建士

宅建業法における保証協会(正式名称:宅地建物取引業保証協会)について、提供された資料に基づき、その仕組みや業務、金銭の流れなどを詳しく解説します。

保証協会制度は、宅建業者が営業を開始する際に供託しなければならない「営業保証金」の負担を軽減し、消費者保護を円滑に行うための制度です。

保証協会の概要と組織

組織の性格

保証協会は、国土交通大臣の指定を受けた一般社団法人であり、その社員(メンバー)になれるのは宅建業者のみです。

重複加入の禁止

宅建業者は保証協会への加入は任意ですが、2つの保証協会に重ねて加入することはできません。

現在、主に「ハト(全国宅地建物取引業保証協会)」と「ウサギ(全日本不動産協会)」の2つが存在します。

届出

保証協会が名称や住所、事務所の所在地を変更する場合は、あらかじめ国土交通大臣に届け出る必要があります。

加入時の金銭の流れ(弁済業務保証金分担金)

保証協会に加入することで、高額な営業保証金の供託が免除されます。

分担金の納付

社員(宅建業者)は加入しようとする日までに、保証協会へ「弁済業務保証金分担金」を納付します。

この分担金は、営業保証金と異なり、金銭のみで納付しなければならず、有価証券は使えません。

納付額

本店は60万円、支店(従たる事務所)は1ヵ所につき30万円です。

例えば、本店と2つの支店を持つ業者の場合、合計120万円となります(営業保証金制度では2,000万円が必要なため、大幅に負担が軽減されます)。

保証協会による供託

保証協会は、社員から分担金の納付を受けた日から1週間以内に、その相当額を「弁済業務保証金」として供託所に供託します。

供託先は、業者の最寄りではなく、法務大臣および国土交通大臣が指定する供託所(現在は東京法務局)となります。

報告

保証協会が供託を完了したときは、その社員である宅建業者の免許権者に報告します。

保証協会の主な業務

保証協会には、必ず行わなければならない「必要的業務」と、承認を受けて行う「任意的業務」があります。

必要的業務

苦情の解決

お客さんからの苦情を解決し、その結果を社員に周知します。

保証協会から資料提出を求められた社員は、正当な理由なく拒否できません。

宅建業に関する研修

社員や従業者への教育です。

弁済業務

お客さんが損害を被った場合に、お金を支払う業務です。

任意的業務

 一般保証業務、手付金等保管業務、研修費用の助成など。

弁済(還付)の仕組みと限度額

取引で損害を受けたお客さんが、保証協会を通じてお金を受け取る仕組みを「還付」と呼びます。

還付を受けられる人

宅建業者と取引をして債権を持つ人が対象です。

ただし、宅建業者は除かれます。

還付限度額

社員が納付した分担金の額ではなく、その業者が「営業保証金制度を利用していた場合」の額まで還付が受けられます。

例えば、本店と支店1ヵ所の業者が保証協会に90万円しか納付していなくても、お客さんは最大1,500万円まで還付を受けられます。

還付の流れ

1.  お客さんが保証協会に「認証(還付の承認)」を申し出る。

2.  保証協会が認証すると、お客さんは供託所(東京法務局)へ還付請求を行う。

3.  供託所がお客さんに還付する。

還付後の穴埋め(還付充当金)

1.  還付により供託金が不足すると、国土交通大臣から保証協会へ通知が来ます。

2.  保証協会は通知から2週間以内に不足分を供託所に供託します。

3.  保証協会は社員(業者)に対し、「還付充当金」を納付するよう通知します。

4.  社員は通知を受けた日から2週間以内に、保証協会へ還付充当金を納付しなければなりません。

社員の地位を失うケースとその後

社員が以下の期限を守らない場合、保証協会の社員の地位を失います。

1.  事務所を増設した日から2週間以内に、増設分の分担金を納付しなかったとき。

2.  還付充当金の通知を受けてから2週間以内に納付しなかったとき。

3.  特別弁済業務保証金分担金(積立金でも足りない場合の追加金)の通知から1ヶ月以内に納付しなかったとき。

地位を失った後の対応

社員の地位を失った宅建業者が、引き続き業務を続ける場合は、その日から1週間以内に「営業保証金」を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければなりません。

返還(取り戻し)の手続き

事務所を廃止したり、社員でなくなったりした場合は、納付した分担金が戻ってきます。

社員でなくなった場合

全額が返還されますが、債権者への公告(6ヶ月以上の期間)を保証協会が行った後でなければ返還されません。

事務所の一部廃止

支店を閉めた場合などは、その分の分担金が戻ります。

この場合は公告不要で、すぐに返還されます(営業保証金制度では広告が必要な点と異なります)。

相手方への説明義務

宅建業者は、取引の相手方(お客さん)に対し、契約が成立するまでの間に、自分がどの保証協会に加入しているか、供託所はどこか等を説明しなければなりません。

この説明は口頭でもよく、宅建士が説明する必要もありません。

また、相手方が宅建業者である場合は説明不要です。

まとめ

保証協会は、宅建業者にとっての「お母さん」のような存在です。

子供(業者)が一人前になるための高い保証金(営業保証金)を肩代わりしてくれ、何かトラブル(還付)があったときは一旦立て替えて払ってくれます。

ただし、立て替えてもらった分は後でちゃんとお母さんに返さなければならず、決まり(期限)を守らないとお家(協会)から追い出されてしまう、というイメージで捉えると理解しやすくなります。

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