法人税は、企業が事業活動を通じて得た「利益」に対して課税される税金です。
その仕組みや経済への影響について、詳しく解説します。
法人税の計算の仕組み
法人税は、企業の売上からすべての経費(仕入れ、人件費、設備の減価償却費、その他の諸経費)を差し引いた、最終的な「利益(税引前利益)」に対して課せられます。
人件費との関係
給料やボーナスなどの人件費は、法人税を計算する前の「経費」として売上から差し引かれます。
つまり、法人税は給料を支払った後の残りの取り分に対してかかるものであり、税金を払う前に給料を増やせば、その分だけ課税対象となる利益を圧縮できるという構造になっています。
税率の変化による経営者へのインセンティブ
法人税率の高さが企業の行動に与える「節税のインセンティブ」について。
法人税率が高い場合
利益をそのまま出すと多額の税金が取られてしまうため、経営者は「税金で取られるくらいなら」と考え、従業員の給料アップやボーナスの支給、設備投資、福利厚生などに積極的にお金を使うようになります。
これが結果として、国内の賃金上昇や景気の活性化につながるとされています。
法人税率が低い場合
節税のために経費を使う動機が薄れます。
その結果、企業は人件費や投資を増やすよりも、税金を払った後の「純利益」を最大化させることを優先し、内部留保を積み上げたり株主への配当を増やしたりする傾向が強まります。
法人税減税の現状と課題
日本では1990年代以降、法人税率の引き下げが進められてきました。
減税のレトリックと実態
一般的には「法人税を下げれば投資や賃上げが進む」と説明されますが、実際には法人税を下げても人件費は上がらず、投資も減ってきたという経緯があります。
対象となる企業
法人税は利益が出ている「黒字企業」にしか課されないため、減税の恩恵を受けるのも黒字企業のみです。
一方で、日本企業の多くを占める赤字企業にとっては、法人税減税のメリットはありません。
消費税との対比
法人税と対照的なのが消費税です。
法人税は「利益(給料を引いた後)」に課税されますが、消費税は実質的に「利益 + 人件費(インボイスのない経費)」の合計に課税される仕組みになっています。
そのため、消費税は赤字企業からも容赦なく徴収されるのに対し、法人税は利益が出た時だけ負担する税金です。
経済への影響についての視点
現在のデフレや賃金停滞の要因の一つは、法人税率を下げてきたことにあるとされています。
法人税率を引き上げることは、一見すると企業にとってマイナスに見えますが、実は企業が「税金を払いたくない」という動機から積極的にお金を回す(人件費や投資を増やす)ようになり、社会全体の景気が良くなるという効果が期待できるのです。
比喩による解説
法人税の仕組みは、「食べ残しにだけかかる罰金」のようなものです。
もし「お皿に残した分だけ厳しい罰金を取る」と言われれば、みんな無理をしてでも頑張って食べて(給料や投資としてお金を使い切って)お皿を空にしようとします。
しかし、「罰金は少しでいいよ」と言われると、無理に食べずに残して、後でこっそり持ち帰ろう(内部留保や配当にする)という心理が働いてしまうのです。


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