腎臓に関する病気

健康

腎臓は体内の老廃物や余分な水分をろ過し、尿として排出する重要な臓器です。

また、血圧の調整や赤血球の生成を促すホルモンの分泌など、様々な役割を担っています。

この腎臓の機能が低下すると、体に様々な不調が現れ、進行すると透析や腎臓移植が必要になることもあります。


ここでは、代表的な腎臓病とその原因、対策について解説します。

慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)

慢性腎臓病は、腎臓の障害が3ヶ月以上続く状態、または腎機能が低下している状態を指します。

自覚症状がほとんどないまま進行することが多いため、「サイレントキラー」とも呼ばれます。

具体的な病名


慢性腎臓病は、その原因となる疾患によってさらに細分化されます。

糖尿病性腎症

糖尿病が原因で腎臓の糸球体が障害される病気です。現在、透析導入の原因として最も多いです。

慢性糸球体腎炎

腎臓のろ過装置である糸球体に炎症が起こる病気の総称です。

IgA腎症

慢性糸球体腎炎の中で最も患者数が多い疾患で、免疫グロブリンIgAが腎臓に沈着して炎症を起こします。

膜性腎症

糸球体の構成成分に対して抗体ができてしまうことで、糸球体が壊れて大量のタンパク質が尿中に漏れ出ます。

微小変化型ネフローゼ症候群

小児に多く見られ、糸球体の構造が顕微鏡でみてもほとんど変化がないにもかかわらず、大量のタンパク尿が出る病気です。

腎硬化症

高血圧や動脈硬化によって腎臓の血管が硬くなり、血流が悪くなることで腎機能が低下する病気です。

多発性嚢胞腎

遺伝性の病気で、腎臓に多数の嚢胞(のうほう:水の入った袋)ができ、腎機能が徐々に低下します。

薬剤性腎障害

特定の薬剤やサプリメントによって腎臓がダメージを受けることがあります。

原因


慢性腎臓病の主な原因は以下の通りです。

生活習慣病

糖尿病

高血糖状態が長く続くことで、腎臓の血管に負担がかかります。

高血圧

高い血圧が腎臓の細い血管に圧力をかけ、動脈硬化を進行させます。

脂質異常症

血液中の脂質バランスが崩れることで、血管の動脈硬化が進みます。

肥満

肥満は糖尿病や高血圧のリスクを高め、腎臓に負担をかけます。

喫煙

血管にダメージを与え、腎機能低下を加速させます。

多量の飲酒

腎臓に負担をかけることがあります。

腎臓そのものの病気

慢性糸球体腎炎など、腎臓自体に炎症や障害が起こる病気。

遺伝的要因

多発性嚢胞腎など、遺伝によって腎臓病を発症する場合があります。

加齢

腎機能は加齢とともに自然と低下します。

対策


慢性腎臓病の進行を遅らせるための対策は、原因となる疾患の治療と生活習慣の改善が中心となります。

食事療法

減塩(精製塩)

塩分の摂りすぎは血圧を上げ、腎臓に負担をかけます。1日6g未満を目安に減塩を心がけましょう。麺類の汁を残す、減塩調味料を使うなどの工夫が有効です。

タンパク質摂取量の調整

腎臓の状態に応じて、タンパク質の摂取量を適切に管理する必要があります。医師や管理栄養士と相談して、適切な量を摂るようにしましょう。

カリウム・リンの制限

腎機能が低下すると、カリウムやリンの排出が難しくなることがあります。必要に応じて、摂取量を制限する必要があります。

適切な水分摂取

脱水は腎臓に負担をかけるため、適切な水分補給が重要です。ただし、腎機能が低下している場合は、水分摂取量も医師と相談する必要があります。

生活習慣の改善

高血圧・糖尿病・脂質異常症の管理

これらの生活習慣病の治療をしっかり行うことが、腎臓病の進行を防ぐ上で最も重要です。

適度な運動

ウォーキングなどの有酸素運動は、肥満の解消や生活習慣病の改善に繋がり、腎機能の維持にも役立ちます。

禁煙

喫煙は腎機能悪化の大きなリスク因子なので、禁煙は必須です。

適度な飲酒

大量の飲酒は避け、休肝日を設けるなど適量を心がけましょう。

十分な睡眠と休養

ストレスをためないことも大切です。

薬物療法

血圧を下げる薬、血糖値をコントロールする薬、貧血を改善する薬など、病状に合わせた薬物療法が行われます。

自己判断で薬やサプリメントを摂取せず、必ず医師に相談しましょう。

定期的な検査

早期発見・早期治療のためには、定期的な健康診断や尿検査、血液検査を受けることが重要です。

急性腎障害(AKI:Acute Kidney Injury)


急性腎障害は、急激に腎機能が低下する状態を指します。早期に適切な治療を行えば回復することも多いですが、重症化すると慢性腎臓病へ移行することもあります。

具体的な病名

急性糸球体腎炎

扁桃腺炎や風邪などの感染症の後に、突然血尿、タンパク尿、むくみ、高血圧、腎機能低下などの症状が現れることがあります。

急性腎不全(腎前性腎不全など)

脱水や出血、心不全などによって腎臓への血流が低下することで起こります。

薬剤性急性腎障害

特定の薬剤が腎臓に急性のダメージを与えることがあります。

腎盂腎炎

尿路感染症が悪化し、腎臓に細菌が感染して炎症を起こす病気です。

原因

脱水

重度の脱水は腎臓への血流を減少させ、腎機能低下を引き起こします。

大量出血

同様に腎臓への血流が低下します。

心不全

心臓の機能が低下し、全身への血液供給が不足することで、腎臓への血流も減少します。

感染症

扁桃腺炎や溶連菌感染症などが原因で急性糸球体腎炎を発症することがあります。腎盂腎炎は細菌感染が原因です。

薬剤

一部の抗生物質や痛み止め、造影剤などが腎臓に負担をかけることがあります。

尿路閉塞

尿管結石などで尿の通り道が詰まることで、腎臓に負担がかかります。

対策

原因疾患の治療

脱水があれば輸液、感染症があれば抗菌薬の投与など、原因となっている病気の治療が最優先です。

水分補給

脱水が原因の場合は、適切な水分補給が重要です。

薬剤の見直し

腎臓に負担をかける可能性のある薬剤の使用を中止したり、量を調整したりします。

血圧管理

血圧が低い場合は、安定させるための処置が行われます。

排尿を我慢しない

腎盂腎炎の予防には、こまめに排尿し、細菌を体外に洗い流すことが大切です。

全体的な予防と早期発見の重要性


腎臓病は早期には自覚症状が乏しいため、健康診断での尿検査や血液検査(クレアチニン、eGFRなど)が非常に重要です。

特に、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病をお持ちの方は、定期的な腎機能チェックを欠かさないようにしましょう。


腎臓は一度悪くなってしまうと、完全に元に戻すことは難しい臓器です。

そのため、日頃からの生活習慣の改善と、早期発見・早期治療が何よりも大切になります。

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