経済指標の基本用語
経済指標とは、国の経済活動の状況を示す統計データのことです。これらを分析することで、現在の経済状況や将来の経済動向を把握する手がかりとします。
GDP(国内総生産)
これは一定期間内に国内で生産された財やサービスの付加価値の合計額を示すもので、国の経済規模や成長率を測る上で最も重要な指標とされます。
GDPがプラス成長であれば経済が拡大していることを示し、マイナス成長であれば縮小していることを示します。
消費者物価指数(CPI)
これは消費者が購入する商品やサービスの価格変動を示す指標で、インフレーション(物価上昇)やデフレーション(物価下落)の状況を把握するために用いられます。
失業率
労働力人口に占める失業者の割合で雇用情勢を示す重要な指標です。
失業率が低下すれば雇用環境が改善していると見なされます。
貿易収支
輸出額から輸入額を差し引いたもので、国際的な経済関係や国の競争力を示します。
景気動向指数
景気動向指数は、日本の景気の現状を示す代表的な指標です。
これは複数の経済指標を統合して作成されており、景気局面の転換点を判断するのに役立ちます。
景気動向指数には、「先行指数」「一致指数」「遅行指数」の3種類があります。
先行指数
数カ月先の景気動向を予測する指標で、新規求人数や新設住宅着工床面積などが含まれます。
一致指数
現在の景気とほぼ一致して動く指標で、鉱工業生産指数や有効求人倍率などが該当します。
遅行指数
景気の動きに数カ月遅れて変化する指標で、法人税収入や家計消費支出などが含まれます。
これらの指数が上昇すれば景気は拡大基調にあると判断され、下降すれば後退基調にあると判断されます。
特に一致指数の動きが景気局面の判断において重視されます。
インフレとデフレ
インフレーション(インフレ)
物価が継続的に上昇し、貨幣の価値が相対的に下落する現象を指します。
インフレが進むと、同じ金額で買えるものが少なくなるため、家計の購買力が低下します。
しかし、緩やかなインフレは企業収益の改善や設備投資の促進を通じて経済成長を促す側面もあります。
一方で、急激なインフレはハイパーインフレと呼ばれ、経済活動を著しく混乱させることがあります。
デフレーション(デフレ)
物価が継続的に下落し、貨幣の価値が相対的に上昇する現象を指します。
デフレが進むと、消費者は「今は買わずに、もう少し待てばさらに安くなる」と考えるようになり、消費が手控えられます。
これにより企業の売上や利益が減少し、賃金が引き下げられたり、雇用が削減されたりする悪循環に陥りやすくなります。
これを「デフレスパイラル」と呼び、経済成長を阻害する大きな要因となります。
金融市場
金融市場とは、資金の貸し借りや有価証券の取引が行われる場のことです。
大きく分けて、短期間の資金取引が行われる「短期金融市場(マネーマーケット)」と、長期間の資金取引や証券取引が行われる「長期金融市場(資本市場)」があります。
短期金融市場
銀行間での資金の貸し借りや、国庫短期証券などの短期債券が取引されます。
長期金融市場
株式や債券といった有価証券が取引され、企業の資金調達や投資家の資産運用に利用されます。
株式市場
企業が発行する株式が売買され、企業の資金調達の場となると同時に、投資家は企業の成長による株価の上昇や配当金を得ることを期待します。
債券市場
国や企業が発行する債券が売買されます。
債券は発行時に定められた利息(クーポン)が定期的に支払われ、満期には額面金額が償還されるのが一般的です。
債券は株式に比べてリスクが低いとされ、安定的な収益を求める投資家に人気があります。
日銀の金融政策
日本銀行(日銀)は、日本の中央銀行であり、金融政策を通じて物価の安定と金融システムの安定を図ることを主な役割としています。
日銀の金融政策の主要な手段は以下の通りです。
金利操作
日銀は、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部に金利を適用したり、公開市場操作(後述)を通じて短期金利を誘導したりすることで、市場全体の金利水準に影響を与えます。
金利を引き下げれば企業や個人の資金調達コストが低下し、経済活動を刺激する効果が期待されます(金融緩和)。
逆に金利を引き上げれば、景気の過熱を抑えたり、インフレを抑制したりする効果が期待されます(金融引き締め)。
公開市場操作
日銀が金融機関から国債などの有価証券を買い入れたり、売り出したりすることで、市場の資金量を調整する操作です。
国債などを買い入れると、市場に資金が供給され、金利は低下傾向になります。
逆に売り出すと、市場から資金が吸収され、金利は上昇傾向になります。
量的・質的金融緩和(QQE)
2013年以降、日銀が導入した大規模な金融緩和策です。
これは、マネタリーベース(日銀が供給する通貨の量)を大幅に拡大するとともに、長期国債やETF(上場投資信託)などの資産を大量に買い入れることで、長期金利の低下やリスクプレミアムの縮小を促し、経済全体に広範な金融緩和効果を波及させることを目指したものです。
マイナス金利政策
2016年からは、一部の金融機関の当座預金にマイナス金利を適用することで、金融機関が資金を市場に貸し出すことを促し、経済をさらに刺激する目的で導入されました。
これらの金融政策を通じて、日銀は物価目標(現在では2%の物価上昇率)の達成を目指し、経済の安定的な成長を支援しています。


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