既得権益

政治と経済

既得権益について、その性質、日本経済への影響、具体的な事例、および構造的な問題点と解決策について詳しく解説します。

既得権益の性質と構造

既得権益が問題となる根本的な原因は、誰もが所属集団にへばりついて、沈みかけの船の座席争いをしているからです。

自己防衛と不安

既得権益を持つ人たちは、自分の持っているものが減らないことや、さらに増えることばかりを目指し争ってきました。

多くの人が「金がないと幸せになれない」と思い込んでおり、金銭をいかに確保しておくかという不安に駆られています。

官僚の「生涯安心システム」

役人にとって天下りとは、最高の既得権益であり、生涯安心システムを保証するものです。

年功序列と守旧性

日本は「弱肉強食」ではなく年功序列の社会であり、古くからやっていることの方が偉いという考えが根強くあります。

既存の金銭を稼いできた者(既得権益者)を優先する傾向が強すぎます。

若者や非正規雇用者もへばりつく

既得権益の問題は、巨大な組織だけではなく、学生や非正規雇用者も含めて誰もが既得権益にへばりつく傾向がある点に根深さがあります。

特に若い世代ほど現政権支持率が高いという現象が見られますが、これは、豊かな時代を知らない若者が、安倍政権下でわずかに所得や雇用が改善したため、「現政権は良い」と判断し、既得権益にへばりつく行動につながっていると分析されています。

既得権益がもたらす日本の問題

既得権益を動かせないことが、日本経済が回らない唯一の理由です。

その結果、様々な経済的・社会的な停滞が生じています。

産業構造改革の阻害

既得権益があるため、産業構造改革が絶対にできません。

生産性の低い会社や企業が淘汰されず、生産性の高いところが残るというメカニズムが機能しません。

国際競争力

日本にはGAFA、サムスン、あるいはHuaweiのような国際的に競争力のある企業が一つもありません。

経済指標の低下

平均賃金は2015年に韓国に抜かれ、一人当たりGDPも2018年に抜かれています。

日本の最低賃金は、アメリカやヨーロッパ(約1,700円)に比べ、かなり低水準(1100円台)です。

将来的なリスク

この状況が続けば、日本は国際的に劣等生扱いされ、日本ブランドが傷つき、国際的な制裁(サンクション)を受ける可能性があり、国民がさらに貧乏になることが危惧されています。

具体的な既得権益の事例

官僚の天下りと財務省の指定席化

官僚制度は天下りを最高の既得権益として守っています。

バブル崩壊後、緊縮財政の中で民間企業がコストを抑えてきたにもかかわらず、国家予算はどんどん膨れ上がってきました。

これは、官僚が退職後もポストを確保するため、外郭団体などを設立し続けているためです。

特に財務省の既得権益の温床として、国際機関や行政機関の主要ポストが独占されています。

OECD事務次長(ナンバー2)

2011年以降、3代連続で財務省出身者が就任。

OECDの提言(消費税率20%や26%への増税推進)という形で、出身母体である財務省に援護射撃をしています。

IMF副専務理事(ナンバー2)

1997年以降、5代にわたり財務省出身者が独占。

OECDと同様、日本の財政状況について増税提言を外発としてかけています。

アジア開発銀行総裁

歴代総裁は全員が財務省(旧大蔵省)出身者。 

国際機関のポストが完全に財務省の天下り先の連鎖となっています。

公正取引委員会委員長

20年以上にわたり財務官僚で固められている(指定席化)。

財務官僚がこの強力な権限を持つポストにつくことで、お世話になった先輩がいる天下り先企業に対し、税制面や市場競争での優遇措置が取れます。

金融庁長官

初代以外全員が財務官僚(指定席化)。 

金融政策の方向性を財務省に有利に進めたり、不祥事を起こした金融機関(先輩の天下り先など)に対し、適当に指導して終わりとすることも可能になります。

国税庁長官

財務官僚の指定席。次長(ナンバー2)も財務官僚しかいません。 

財務省にとって最強の武器であり、国会議員や著名人を簡単に失脚させたり、報道機関の情報統制に大きな役割を果たしています。

金融庁、国税庁、公正取引委員会の3つすべてを財務省が独占していることは「やばすぎる」状況であり、「財務省が日本を支配している」という見方はもはや陰謀論ではないと指摘されています。

報道・メディアの既得権益

与党も野党も既得権益にへばりつく政党しかいないのは、国民のレベルが低いからであるという指摘もあります。

特にメディア界においても既得権益が指摘されています。

記者クラブ制度

大手メディアだけが参加できる組織で、独立系メディアやフリーランスが排除され、情報へのアクセスが奪われています。

大手メディアにとっては、自分たちだけが情報を独占し、厳しい競争を戦うことから逃れられる仕組みとなっています。

クロスオーナーシップ

新聞社が放送局を所有するという「クロスオーナーシップ」が認められており、例えば新聞社の不都合な真実(押し紙問題など)がテレビで全く報道されないといった事態を引き起こしています。

既存メディアは、このクロスオーナーシップの問題を「絶対やらない」ため、国民の意識も低くなっています。

既得権益の打破に向けた提言

既得権益を破壊しない限り、日本は終わりであると警告されています。

産業構造改革のための流動性向上

産業構造改革を可能にするため、労働市場の流動性を上げることが必要です。

具体的には、正社員という制度をすべて廃止し、解雇を自由自在にさせることが主張されています。

正社員制度は、労働組合が雇用維持のために既得権益としてへばりつくため、改革の妨げとなっています。

欧米では、解雇を自由にする代わりに、1~2年間の雇用保証期間中に公的な税金で訓練と教育の機会を提供しています。

加速主義

日本が変わる唯一の可能性は加速主義、すなわち、徹底的に既得権益がなくなること(例えば大災害や国難など、大きなイベント)によって、僕らがそれに従わなくてよくなる状況を待つことです。

個人の意識改革と自尊心

マクロレベルでの構造改革は難しい(「どうしようもない」)状況ですが、ミクロレベル(個人)では可能です。

自尊心と公的関心

既得権益にへばりつく構造の背景には、日本人の自尊心の低さが密接に関係しています。

自尊心が低い人は自己防衛に終始し、政治や社会の正義・公平さに対する関心(公的な関心)を持つ余力がありません。

愛と友情の回復

幸福度を高めるためには、愛と友情が基本であり、「愛より金」で結びつく日本の夫婦像を変え、他人の顔色ばかり見るのではなく、多様な生き方を許容することが重要です。

「人のため」の行動

既得権益者が自分だけ良ければいいという思考でやってきた結果が今の状況です。

これを逆転させるには、「誰かのため」に何ができるかという価値観を強く持ち、意識を変える必要があります。

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