ペイパル・ホールディングス(PYPL)

米国株

ペイパル・ホールディングスについて、企業情報、歴史、事業内容、成長期待をそれぞれ解説します。

企業情報

会社名

ペイパル・ホールディングス(PayPal Holdings Inc.)

本社所在地

アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サンノゼ(2211 ノース・ファースト・ストリート、サンノゼ、カリフォルニア 95131、USA)

設立年月

1998年(コンフィニティとして創業)

CEO

アレックス・クリス

事業内容

デジタル決済サービスを提供するテクノロジー・プラットフォーム。個人間送金、オンライン・ショッピングでの支払い、企業向けの決済ソリューションなどを提供。

主なブランド

ペイパル(PayPal)、ブレインツリー(Braintree)、ベンモ(Venmo)、ズーム(Xoom)、ハイパーウォレット(Hyperwallet)、ペイパル・ゼトル(PayPal Zettle)、ペイパル・ハニー(PayPal Honey)、ペイディ(Paidy)など。

従業員数

約24,400人(2025年6月時点)

歴史

ペイパルは、1998年にコンフィニティ(Confinity)として創業しました。当初はモバイル・コンピューティング向けの暗号化ソフトウェア開発を目指していましたが、すぐにデジタル決済サービスへと焦点を移しました。

1998年

マックス・レヴチン、ピーター・ティール、ルーク・ノーセックらによってコンフィニティが設立される。

1999年

コンフィニティがペイパル製品の最初のバージョンをリリース。

2000年

コンフィニティとエックス・ドット・コム(X.com、イーロン・マスクが共同設立)が合併。当初はエックス・ドット・コムという名称だったが、後にペイパルに社名変更。

2002年

イーベイ(eBay)に15億ドルで買収され、イーベイの子会社となる。イーベイの決済システムとして、オンライン・オークション市場で急速に普及。

2015年

イーベイからスピンオフし、独立した公開企業としてナスダック(NASDAQ)に上場(ティッカーシンボル: PYPL)。

2021年

日本の後払い決済サービスであるペイディ(Paidy)を買収し、日本市場での存在感を強化。

現在

世界中の消費者や企業にデジタル決済ソリューションを提供し、フィンテック(FinTech)業界の主要プレイヤーとしての地位を確立。


ペイパルは、創業当初から革新的な決済方法を追求し、オンライン決済のスタンダードを築き上げてきました。

特に、イーロン・マスクやユーチューブ(YouTube)の創業者など、後に名を馳せる多くの人材を輩出したことでも知られています。

事業内容

ペイパルのビジネスモデル

取引手数料

個人間送金、オンライン・ストアでの支払い、ビジネス向けの決済処理など、プラットフォーム上で行われる取引に対して手数料を徴収することで収益を上げています。

金融サービス

ペイパル・クレジット(PayPal Credit)のような柔軟な融資オプションや、ペイパル・ワーキング・キャピタル(PayPal Working Capital)といった中小企業向け運転資金提供など、金融サービスからも収益を得ています。

付加価値サービス

セラー保護、不正検出、サブスクリプション管理ツールなど、付加価値のあるサービスも提供し、そこから手数料を得ています。

顧客データ活用

豊富な顧客データを活用し、個々の財務信頼性の全体像を把握することで、セラー保護などのサービスを提供しています。

具体的なサービス

オンライン決済

世界中のECサイトやウェブ・サービスで利用できるオンライン決済ソリューション。ペイパル・アカウントにログインするだけで支払いが完了し、クレジットカード情報などを入力する必要がありません。

個人間送金

ベンモ(Venmo)などのアプリを通じて、友人や家族との間で簡単に送金ができるサービス。

ビジネス向けソリューション

中小企業から大企業まで、多様なビジネス・ニーズに対応した決済ゲートウェイ、請求書作成、売上管理ツールなど。

ブレインツリー(Braintree)などを通じて、より高度な決済処理も提供しています。

越境EC対応

200以上の国や地域、100以上の通貨に対応しており、越境EC事業者にとって便利な決済手段として活用されています。

後払い決済

日本のペイディ買収により、後払い決済サービスも提供しています。

成長期待


ペイパルの成長期待は、いくつかの要因に基づいています。

デジタル決済市場の拡大

世界的にキャッシュレス化が進み、オンライン・ショッピングやデジタル決済の利用が拡大しているため、ペイパルはその恩恵を受けると予想されます。特に新興国市場での成長余地は大きいと考えられます。

新興分野への投資

暗号資産決済への対応や、ペイパルを「スーパー・アプリ」化する構想など、新たな分野への投資を進めています。

これにより、ユーザー・エンゲージメントの向上と新たな収益源の獲得を目指しています。

BtoB分野の強化

個人間送金やC向けサービスだけでなく、BtoB向けの決済ソリューションや金融サービスを強化することで、多様なビジネス・ニーズに対応し、企業顧客の獲得を目指しています。

買収・提携戦略

ペイディ(Paidy)のような戦略的な買収を通じて、特定の地域市場やサービス分野での競争力を強化しています。

効率性の改善とリーダーシップ刷新

近年、ユーザー・ベースの成長鈍化や戦略の不明確さが課題とされていましたが、2023年末に新たなCEOであるアレックス・クリス氏が就任し、リーダーシップ・チームの刷新や効率性の改善に取り組んでいます。これにより、収益性の回復と持続的な成長が期待されます。


アナリスト予測では、ペイパルの収益成長率は年間数パーセント台で推移する見込みですが、EPSは二桁成長が期待されています。

また、自己資本利益率(ROE、リターン・オン・エクイティ)も高い水準が予測されており、堅調な財務体質と収益性が見込まれます。


一方で、競争の激化や経済状況の変化が成長に影響を与える可能性も考慮する必要があります。

しかし、ペイパルは長年の実績とグローバルな顧客基盤を持つ強みを活かし、今後のデジタル決済市場において重要な役割を果たすことが期待されます。

ペイパルマフィア

「ペイパルマフィア」とは、ペイパル(PayPal)の創業メンバーや初期の従業員たちが、ペイパルを離れた後にそれぞれが立ち上げたり投資したりして、シリコンバレーのテクノロジー業界で非常に大きな成功を収めたことで形成されたグループを指す言葉です。


2007年にアメリカのビジネス雑誌「フォーチュン(Fortune)」が「ミート・ザ・ペイパル・マフィア(Meet the PayPal mafia)」という記事でこの言葉を使って以来、広く知られるようになりました。

なぜ「マフィア」と呼ばれるのか?


「マフィア」という言葉には少し不穏な響きがありますが、これは彼らがペイパルでの経験を通じて築いた強い絆と、互いに協力し合い、新たな企業を次々と生み出していったその結束力と影響力を表現するために使われています。


ペイパルがイーベイ(eBay)に買収された後、多くのメンバーがそれぞれの道を歩みましたが、彼らはペイパルでの厳しい競争環境や共通の課題を乗り越えた経験から、非常に強い信頼関係で結ばれていました。

そのため、新しい事業を始める際にも互いに投資し合ったり、協力したりすることが多かったのです。

主なメンバーと彼らが創業・関与した企業


ペイパルマフィアには、現在、世界的に有名な起業家や投資家が多数含まれています。

その代表的なメンバーと彼らが関与した主な企業は以下の通りです。

イーロン・マスク(Elon Musk)

ペイパルの共同創業者

テスラ(Tesla)

電気自動車メーカー

スペースX(SpaceX)

宇宙開発企業

X(旧Twitter)

ソーシャルメディアプラットフォーム

ピーター・ティール(Peter Thiel)

ペイパルの共同創業者の一人であり、「ペイパルマフィアのボス」とも言われる。

パランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies)

ビッグデータ解析ソフトウェア企業

クラリウム・キャピタル(Clarium Capital)

ヘッジファンド

リード・ホフマン(Reid Hoffman)

ペイパルの共同創業者の一人。

リンクトイン(LinkedIn)

プロフェッショナル向けSNS

マックス・レヴチン(Max Levchin)
アファーム(Affirm)

後払い決済サービス

ジェレミー・ストップルマン(Jeremy Stoppelman)

イェルプ(Yelp)

ローカルビジネスの口コミサイト

チャド・ハーレー(Chad Hurley)
ユーチューブ(YouTube)

動画共有サイト(共同創業者)

スティーブ・チェン(Steve Chen)

ユーチューブ(YouTube)

動画共有サイト(共同創業者)

影響と意義


ペイパルマフィアの存在は、シリコンバレーの起業文化に多大な影響を与えました。

イノベーションの連鎖

彼らが次々と新たなテクノロジー企業を立ち上げ、成功させたことで、シリコンバレーにおけるイノベーションのエコシステムをさらに活性化させました。

タレントの輩出

一つの企業からこれほど多くの成功した起業家が生まれた例は非常に珍しく、ペイパルが「天才実業家集団」を生み出す土壌となったこと自体が注目されました。

投資ネットワーク

彼らは互いの企業に投資し合ったり、協力し合ったりすることで、新たなスタートアップの成長を支援する強固なネットワークを形成しました。


このように、ペイパルマフィアは単なる元同僚の集団ではなく、その後のテクノロジー業界の発展に決定的な影響を与えた、非常に特別なグループであると言えます。

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