宅建業法・宅建士

宅建士

宅地建物取引士(以下、宅建士)は、不動産取引のスペシャリストであり、宅建業法において非常に重要な役割を担っています。

宅建士になるためのステップから、具体的な業務、ルール、欠格事由、そして設置義務まで詳しく解説します。

宅建士になるための3つのステップ

宅建試験に合格しただけでは、宅建士として活動することはできません。

以下の3つのステップをすべてクリアする必要があります。

宅地建物取引士資格試験に合格する

都道府県知事が行う試験に合格する必要があります。

合格は、取り消されない限り一生有効です。

登録を受ける

試験を受けた地の都道府県知事に対して登録を申請します。

登録を受けるには、「宅建業に関し2年以上の実務経験があること」または「登録実務講習(国土交通大臣登録)を修了していること」という要件を満たさなければなりません。

登録も、削除されない限り一生有効です。

宅建士証の交付を受ける

登録後、知事から「宅建士証」の交付を受けて、初めて「宅建士」と名乗ることができます。

宅建士証には5年間の有効期間があり、5年ごとに更新が必要です。

宅建士の法定業務(3つの事務)

宅建士にしかできない業務は、以下の3つに限定されています。

これら以外の業務(契約書の作成自体や、契約書の内容説明など)は、宅建士でなくても行うことが可能です。

1.  重要事項の説明を行うこと。

2.  重要事項説明書(35条書面)に記名すること。

3.  契約書(37条書面)に記名すること。

以前は「記名押印」が必要でしたが、現在は「記名」のみでよくなっています。

また、これらの業務を行うのは「専任」の宅建士である必要はありません。

宅建士証の取り扱いとルール

提示義務

重要事項の説明をする際は、相手から請求がなくても必ず宅建士証を提示しなければなりません(違反すると10万円以下の過料)。

また、取引関係者から請求があった場合も提示が必要です。

法定講習

宅建士証の交付・更新を受ける際は、交付申請前6ヶ月以内に行われる都道府県知事指定の講習(法定講習)を受ける必要があります。

ただし、試験合格から1年以内に交付を受ける場合は、この講習は免除されます。

遵守ルール

業務においては「公正かつ誠実」に事務を行う義務があり、プライベートを含め、宅建士としての信用や品位を害する行為(信用失墜行為)は禁止されています。

登録簿の変更と移転

変更の登録

氏名、住所、本籍、従事する宅建業者の名称や免許番号に変更があった場合、「遅滞なく」登録先の知事に変更を申請しなければなりません。

氏名や住所の変更時は、あわせて宅建士証の書き換え交付も必要です。

登録の移転

現在登録している都道府県以外の都道府県にある事務所の業務に従事(転勤など)する場合、登録先を変更することができます。

これは任意の手続きであり、個人の引っ越しだけでは移転できません。

なお、事務禁止処分を受けている間は移転申請ができません。

登録の欠格事由(登録できないケース)

以下の事項に該当すると、登録ができなかったり、登録が削除されたりします。

一定の刑罰

禁錮以上の刑、または宅建業法違反、暴行・傷害罪、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律違反などで罰金刑に処せられた場合、執行終了から5年を経過するまで登録できません。

免許・登録の取り消し

不正手段での免許取得や登録により、取り消し処分を受けた日から5年を経過しない者。

破産者

破産手続き開始の決定を受けて復権を得ていない者。

復権を得れば、直ちに登録可能です。

未成年者

営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者は、登録できません。

免許の欠格事由と異なり、宅建士登録では法定代理人の審査はありません。

死亡等の届出

宅建士が以下に該当した場合、30日以内に届け出が必要です。

死亡

相続人が、その事実を知った日から30日以内。

破産

本人が届け出ます(業者の場合は破産管財人ですが、宅建士は本人が行う点に注意)。

専任の宅建士の設置義務

宅建業者は、事務所ごとに、業務に従事する者5人に1人以上の割合で、常時勤務する「専任の宅建士」を置かなければなりません。

案内所等

契約締結や申し込みを受ける案内所などには、少なくとも1人以上の専任の宅建士が必要です。

補充義務

専任の宅建士が不足した場合は、2週間以内に補充などの必要な措置を講じる必要があります。

宅建士の制度は、複雑に見えますが、「登録(一生有効の資格者名簿)」と「宅建士証(5年更新の業務ライセンス)」を分けて考えると理解しやすくなります。

例えば、「登録」は役所にある台帳に名前が載ること、「宅建士証」は実際に業務で使うための運転免許証のようなカード、とイメージすると、有効期間や手続きの違いが整理しやすくなるでしょう。

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