宅建業法の8種制限について、詳しく解説します。
この制限は、不動産のプロである宅建業者が自ら売り主となり、プロではない一般の買い主(宅建業者ではない者)と取引をする際に適用されるルールです。
目的は、知識や経験の少ない一般の買い主を保護することにあります。
そのため、業者間の取引には適用されません。
損害賠償額の予定等の制限
契約違反(債務不履行)があった場合に備えて、あらかじめ支払う損害賠償額や違約金を決めておく際の制限です。
上限額の規定
損害賠償額の予定額と違約金の合計額は、代金の2/10(20%)を超えてはなりません。
超過部分の効力
もし20%を超える定めをした場合、超えた部分のみが無効となります(すべてが無効になるわけではありません)。
予定がない場合
賠償額をあらかじめ決めていない場合は、立証できた実損額を請求することになります。この場合、結果として2/10を超える額を請求できることもあります。
手付金の性質と額の制限
契約時に支払う「手付金」に関するルールです。
手付金の額
売買代金の2/10(20%)を超えて受領することはできません。
手付金の性質
宅建業法では、手付金は必ず「解約手付」とみなされます。
買い主からの解除
支払った手付金を放棄すれば解除できます。
売り主からの解除
受け取った手付金の倍額を現実に提供すれば解除できます。
解除の期限
相手方が「履行に着手」するまでであれば、手付解除が可能です。
有利・不利の原則
買い主に不利な特約(例:300万円払わないと解除できない等)は無効ですが、買い主に有利な特約は有効です。
手付金等の保全措置
買い主が支払ったお金(手付金や中間金)を、万が一業者が倒産しても戻ってくるように守るための制度です。
対象
契約締結後から物件の引き渡し前までに支払われる、代金に充当される金銭が対象です。
保全が必要なタイミング
原則として、お金を受け取る「前」に措置を講じる義務があります。
保全措置が不要なケース(重要)
- 買い主への所有権移転登記がなされたとき。
- 受け取る金額が少額なとき(完成物件なら代金の10%以下かつ1000万円以下、未完成物件なら5%以下かつ1000万円以下)。
保全の方法
銀行等による保証や保険などがありますが、未完成物件の場合は「手付金等寄託契約」は利用できません。
自己の所有に属しない物件の契約制限(他人物売買)
自分の持ち物ではない(他人の所有物や、まだ完成していない)物件を売る際の制限です。
原則
宅建業者は、自分の所有に属しない物件について売買契約を結ぶことはできません。
例外(契約が可能になる場合)
1. 業者がその物件を取得する契約(予約を含む)を既に結んでいるとき。
ただし、停止条件付き契約(例:転勤になったら売ってくれる等)の場合は、確実に取得できるとは言えないため認められません。
2. 未完成物件で、前述の「手付金等の保全措置」を講じているとき。
クーリング・オフ
契約を結んだ後でも、冷静に考え直す期間を設ける制度です。
適用される場所
事務所や案内所など、買主が冷静に判断できる場所以外(喫茶店やレストラン、テント張りの案内所など)で申し込みや契約をした場合に適用されます。
適用されない場合(例外)
- 買主が自ら申し出た場合の「自宅」や「勤務先」での契約。
- クーリング・オフができる旨を書面で告げられた日から8日を経過したとき。
- 物件の引き渡しを受け、かつ代金の全額を支払ったとき。
方法と効果
必ず書面で行う必要があり、書面を出した(ポストに投函した)瞬間に効力が発生します。
解除された場合、業者は受け取った手付金を全額返さなければならず、違約金の請求もできません。
契約内容不適合責任の特約の制限
物件に種類や品質に関する不適合があった場合、業者が負う責任についての制限です。
原則
民法では「不適合を知った時から1年以内」に通知すればよいとされていますが、宅建業法ではこれより買主に不利な特約を禁止しています。
唯一の例外
通知期間を「物件の引き渡しの日から2年以上」とする特約のみ有効です。
違反のペナルティ
「責任を負わない」や「引き渡しから1年」といった不法な特約は無効となり、民法の原則(知った時から1年)が適用されます。
割賦販売契約の解除等の制限
代金を分割払い(割賦販売)にする場合のルールです。
解除の条件
買主が支払いを滞らせても、業者はすぐに契約解除することはできません。
手順
30日以上の相当な期間を定めて、書面で支払いを催告(督促)したあとでなければ、契約解除や残金の一括請求はできません。
割賦販売等における所有権留保等の禁止
代金を完済するまで所有権を業者の手元に残す(所有権留保)ことは、原則として禁止されています。
原則
物件を引き渡すまでに、登記などの義務を履行しなければなりません。
例外(留保できる場合)
- 受け取った額が代金の10分の3(30%)以下である場合。
- 30%を超えていても、買主が残金を支払うための担保(抵当権の設定など)を立てる見込みがない場合。
損害賠償額の予定等の制限
契約違反があった場合の違約金や損害賠償の金額に関する制限です。
上限額
損害賠償額の予定と違約金の合計額が、代金の10分の2(20%)を超えてはなりません。
超過分
20%を超える部分の定めは無効となります。
手付金の性質と額の制限
契約時に支払う手付金のルールです。
上限額
代金の10分の2(20%)を超える手付金を受け取ることはできません。
性質
宅建業者が受領する手付金は、すべて「解約手付」としての性質を持ちます。
買主は手付を放棄し、売主(業者)は倍額を返すことで、相手が履行に着手するまで契約を解除できます。
手付金等の保全措置
業者が倒産した場合などに備え、受け取った手付金等を守る仕組みです。
義務
一定額(完成物件は代金の10%または1,000万円超、未完成物件は5%または1,000万円超)を超える手付金等を受け取る場合、銀行の保証や保険などの保全措置を講じなければなりません。
他人物売買の制限
自分のものではない物件を売る行為の制限です。
原則
業者は、自己の所有に属さない宅地建物の売買契約を締結できません 。
例外
その物件を取得する契約(予約を含む)を既に締結している場合などは、売買が認められます。
重要な注意点
これらの8種制限は、業者間の取引(売主も買主も宅建業者)には適用されません。
プロ同士の取引では、民法の自由な契約が尊重されるためです。


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