半導体の基礎と種類

学び

半導体は、現代の電子機器に欠かせない重要な材料です。

私たちの身の回りにあるスマートフォン、パソコン、家電製品、自動車など、ほとんど全ての電子機器の「頭脳」や「心臓部」として機能しています。

半導体の基礎

電気を「半分」通す不思議な性質


まず、物質の電気的な性質は大きく3つに分けられます。

導体(どうたい)

電気を通しやすい物質です。

金属(鉄、銅、アルミニウムなど)が代表的です。

電子が自由に動き回れるため、電気が流れやすいです。

絶縁体(ぜつえんたい)

電気を通さない物質です。

ゴム、ガラス、セラミックなどが代表的です。

電子が原子にしっかり結合していて、自由に動けないため、電気が流れません。

半導体(はんどうたい)

ある条件で電気を通し、ある条件では電気を通さない、導体と絶縁体の中間のような性質を持つ物質です。

この「ある条件」をコントロールすることで、電気の流れを精密に制御できるのが半導体の最大の特徴です。

主な材料としては、シリコン(ケイ素)が最もよく使われます。


この「ある条件」とは、具体的には温度や光、あるいは電圧をかけるといった外部からの刺激のことです。

半導体が電気を通す仕組み(ざっくり解説)


半導体の材料(例えばシリコン)は、原子同士が規則正しく並んだ結晶構造をしています。

それぞれの原子は、隣の原子と電子を共有することで安定しています。

この状態では、電子は自由に動き回れません。


しかし、ここにわずかな不純物を混ぜる(これを「ドーピング」と呼びます)ことで、電気的な性質を大きく変えることができます。

N型半導体(エヌがたはんどうたい)


シリコンにリンやヒ素などの不純物を少量混ぜると、シリコンよりも電子が一つ多く含まれる原子ができます。

この余分な電子は、結晶の中を比較的自由に動き回ることができます。

この自由電子が電流を運ぶ役割(キャリア)を担うため、マイナス(Negative)の電荷を持つ電子が電気を伝えることから「N型」と呼ばれます。

P型半導体(ピーがたはんどうたい)


シリコンにホウ素などの不純物を少量混ぜると、シリコンよりも電子が一つ少ない原子ができます。

この場合、電子の足りない部分が「正孔(せいこう)」、または「ホール」と呼ばれます。

正孔は、電子が抜けた穴と考えることができ、あたかもプラス(Positive)の電荷を持つ粒子のよう振る舞い、電流を運びます。

この正孔がキャリアとなるため「P型」と呼ばれます。

PN接合(ピーエヌせつごう)


このN型半導体とP型半導体をくっつけると、「PN接合」というものができます。

このPN接合が、ダイオードやトランジスタといった基本的な半導体デバイスの心臓部となります。

ダイオード

PN接合を構成すると、電気を一方向にしか流さないという性質が生まれます。

これは、電流の「逆流」を防ぐ役割を果たします。

トランジスタ

2つのPN接合を組み合わせることで、電流のオン/オフを切り替えたり、小さな電気信号を増幅したりするスイッチング作用や増幅作用を持つことができます。

これが、コンピュータの計算や記憶の基本となる仕組みです。

半導体の種類


半導体は、その機能や用途によって様々な種類に分類されます。

集積回路(IC:Integrated Circuit)


最も一般的な半導体で、トランジスタ、抵抗、コンデンサなどの多数の素子を一つの小さなチップにまとめたものです。

複雑な機能を持つ電子機器のほとんどに搭載されています。

マイクロプロセッサ(MPU)/ マイクロコントローラ(MCU)


コンピュータの「頭脳」にあたる部分で、計算や制御などの命令を実行します。

パソコンのCPU(中央演算処理装置)や、家電製品に内蔵されているマイコンなどがこれにあたります。

メモリ半導体

情報を一時的または永続的に保存する役割を持つ半導体です。

DRAM(ディーラム)

パソコンのメインメモリなど、一時的にデータを保存するのに使われます(電源を切るとデータが消える揮発性メモリ)。

NANDフラッシュメモリ(ナンドフラッシュメモリ)

USBメモリやSDカード、スマートフォンのストレージなど、電源を切ってもデータが消えないメモリです(不揮発性メモリ)。

ロジックIC


特定の論理演算を行うための半導体で、コンピュータの様々な処理を効率的に行うためのものです。

GPU(画像処理装置)やFPGAなどが含まれます。

アナログIC


光、音、温度、圧力などのアナログ信号(連続的な情報)をデジタル信号(0と1の情報)に変換したり、その逆を行ったりする半導体です。

センサーやオーディオ機器などに使われます。

パワー半導体


電力の変換や制御を効率的に行う半導体です。

高い電圧や電流を扱うことができ、LED照明、EV(電気自動車)、産業用機器などに使われます。

炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などの新しい材料を使ったパワー半導体が注目されています。

ディスクリート半導体(個別半導体素子)


一つの素子に単一の機能を持つ半導体です。

ダイオード

電気を一方向にだけ流す部品です。整流(交流を直流に変換)や信号の検出などに使われます。LED(発光ダイオード)も光を出すダイオードの一種です。

トランジスタ

電気信号の増幅やスイッチングを行う部品です。

ICの中に多数集積されているものもあれば、単独で使われるものもあります。

オプトエレクトロニクス半導体


光と電気の変換に関わる半導体です。

LED(発光ダイオード)

電気を流すと光を出す半導体です。照明やディスプレイに広く使われています。

フォトダイオード

光を感知すると電気信号に変換する半導体です。センサーや光通信などに使われます。

センサー半導体


外界の情報を検出し、電気信号に変換する半導体です。

温度センサー、イメージセンサー(カメラ)、圧力センサーなど、様々な種類があります。


このように、半導体は私たちの日常生活のあらゆる場面で活躍しており、その進化が現代社会を支える基盤となっています。

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