自然農法と自家採取のじゃがいも

自然農

家庭菜園で自然農法を用いてじゃがいもを育てる方法と、収穫したじゃがいもから種芋を自家採取する方法について解説します。

自然農法でのじゃがいもの育て方(家庭菜園レベル)


自然農法では、耕さず、肥料や農薬を使わずに、自然の力を最大限に活かして作物を育てます。じゃがいもの栽培は、比較的自然農法に向いている作物の一つです。

適切な品種選び

病気に強く、生命力の強い品種を選ぶことが重要です。一般的な食用じゃがいもでも可能ですが、自然農法に特化した品種や、その地域に合った在来種などを選ぶと良いでしょう。

種芋の準備

芽出し(浴光育芽)

植え付けの2~4週間前くらいから、種芋を日光に当てて芽を出させます。これにより発芽が揃い、その後の生育が良くなります。直射日光が当たる場所に広げ、10~20℃くらいの場所が適温です。種芋が緑色になっても、食用にするわけではないので問題ありません。

種芋のカット

50~90g程度の種芋であればそのまま植え付けます。それより大きい場合は、1つの種芋を2~3個にカットし、各片に少なくとも1つは芽が付いているようにします。カットした切り口は、数日間風通しの良い場所で乾燥させ、切り口を乾かしてから植え付けます。こうすることで、腐敗を防ぎ、病気のリスクを減らせます。

切り口の向き

自然農法では、切り口を上にして植え付ける方法も推奨されています。

土壌の準備

不耕起

基本的に土は耕しません。土の中にいる微生物の働きを阻害しないためです。

畝立て

水はけの悪い土壌の場合は、高畝にすることで水はけを改善できます。畝の高さは30cm程度が目安ですが、水はけが良い畑であれば5cm程度でも良いとされています。

土壌改善(必要であれば)

粘土質の土壌で水はけが悪い場合は、堆肥や腐葉土を混ぜ込むことで土壌の質を改善できます。また、緑肥(クローバーやヘアリーベッチなど)を育ててすき込むことで、土壌の有機物を増やし、通気性や保水性を向上させられます。

植え付け

植え付け時期

地域によって異なりますが、一般的には春(2月下旬~3月)と秋(8月下旬~9月)に植え付けます。霜の心配がなくなってから植え付けるようにしましょう。

植え付け方法

畝に溝を掘り、種芋を30~40cm間隔で置きます。浅めに植え付け、種芋がギリギリ隠れるくらいに覆土します。

栽培管理

水やり

地植えの場合、基本的に水やりは不要で、雨に任せます。プランターなどで育てる場合は、土が乾燥しているようであれば水やりをします。

土寄せ

じゃがいもは、種芋の上にできるストロン(ほふく枝)の先に新しい芋ができます。土寄せをしないと、芋が露出して緑化し、有毒なソラニンを生成してしまうため、芽が出てきたら定期的に土寄せを行います。葉のすぐ下まで手で山型に土を盛るようにします。雑草の抑制にも効果的です。

雑草管理(草マルチ)

雑草は無理に抜かず、草マルチとして利用します。ジャガイモの周りの雑草を倒して敷き詰めることで、地温の上昇を抑え、土壌の乾燥を防ぎ、微生物の活動を促します。霜が降りる心配がある場合は、厚めに草をかけて霜対策をします。

芽かき

極端に成長の悪い芽は芽かき(間引き)して、だいたい3~4本に絞ります。大きい芋を狙う場合は2本まで減らすと良いでしょう。

病害虫対策

自然農法では、病害虫の発生を抑えるために、土壌の健全化が最も重要です。また、コンパニオンプランツ(じゃがいもと相性の良い植物を近くに植える)の活用も有効です。

収穫

茎や葉が黄色くなって枯れ始めたら収穫のサインです。土が乾いている日に掘り起こすのがおすすめです。

フォークや専用の収穫工具を使い、じゃがいもを傷つけないように優しく掘り起こします。

収穫後、表面の土を軽く落とし、数日間風の良い日陰で乾燥させます。

じゃがいもの自家採取の仕方(種芋として)


収穫したじゃがいもを翌年の種芋として利用する「自家採取」は、自然農法の実践において重要なステップです。

種芋にするじゃがいもの選定

健全な株から

病害虫に感染していない、健康的な株から収穫したじゃがいもを選びます。生育途中の葉の色や様子をよく観察し、異常がないかを確認しましょう。

適切なサイズ

80~120g程度の、切らずにそのまま植えられる小ぶりな芋が適しています。大きな芋は保存が難しく、植える際にカットすると病気になりやすくなるため、避けた方が無難です。

保存方法

冷暗所で保存

収穫後、土を軽く落として乾燥させたじゃがいもは、冷涼で暗い場所で保管します。理想的な温度は5~7℃です。直射日光を避けることで、ソラニン(有毒物質)の生成を防ぎ、芽が出にくくなります。

湿度管理

湿度が高すぎると腐敗しやすくなるため、適度な湿度を保ちます。

りんごとの保存

じゃがいもの箱の中にりんごを1個入れておくと、りんごから出るエチレンガスがじゃがいもの発芽を抑制し、長期保存に役立ちます。

定期的な確認

定期的にじゃがいもの状態を確認し、芽が出始めたものや腐り始めているものは取り除きましょう。

翌年の植え付け前の準備

芽出し

植え付けの2~4週間前になったら、食用と同様に日光に当てて芽出しを行います。これにより、病気に強い種芋になると言われています。

肥料は控えめに

種芋として利用するじゃがいもを栽培する際は、肥料を控えめにします。土の中の肥料分が多いと、じゃがいもの成長は早まりますが、病原菌も繁殖しやすくなるためです。

注意点:

自家採取を繰り返すと、病気やウイルスが蓄積しやすくなる場合があります。数年に一度は、信頼できる種苗店から健全な種芋を購入することをおすすめします。

登録品種の場合、自家増殖が制限されている場合があります。個人で楽しむ家庭菜園レベルであれば問題になることは少ないですが、念のため確認しておくと良いでしょう。


自然農法でのじゃがいも栽培と自家採取は、少し手間がかかるかもしれませんが、土の生命力を感じながら、より自然に近い方法で野菜を育てる喜びを味わうことができます。

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