低血糖は、血糖値が正常範囲より低くなる状態を指し、特に糖尿病治療中の方に起こりやすいですが、糖尿病でない方でも起こることがあります。
血糖値が低くなりすぎると、体、特に脳がエネルギー不足に陥り、様々な危険な症状を引き起こす可能性があります。
低血糖の主な症状
低血糖の症状は、血糖値の低下度合いによって変化し、個人差があります。
血糖値 70mg/dL程度(警告症状)
- 強い空腹感
- 冷や汗
- 動悸、脈が速くなる
- 手の震え
- 不安
- 吐き気
- 体がだるい、疲労感
血糖値 50mg/dL以下(中枢神経症状)
- 頭痛
- 目のかすみ、物が見えにくい
- 強い眠気、生あくび
- 集中力の低下、思考力の低下
- めまい
- 言葉が出にくい
- 異常な行動、錯乱
- 強い脱力感、無気力
血糖値 30mg/dL以下(重症低血糖)
- けいれん
- 意識障害、意識がもうろうとする
- 昏睡状態
低血糖の危険性
低血糖は、短期的にも長期的にも体に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。
脳への影響
脳はブドウ糖を主なエネルギー源としているため、血糖値が不足すると脳の機能が正常に働かなくなります。
思考力の低下、集中力の低下、認知機能の低下を招きます。
重症化すると、意識障害、けいれん、昏睡状態に陥り、脳に後遺症が残る可能性や、最悪の場合、命に関わる危険性もあります。
心臓への負担
低血糖時は体が緊急事態と認識し、血糖値を上げようとアドレナリンなどのホルモンが分泌されます。これにより心拍数が上昇し、血圧が上がるなど、心臓に大きな負荷がかかります。
不整脈(特に致死性不整脈)、狭心症、心筋梗塞などの心血管疾患の発症・悪化リスクが高まると報告されています。
日常生活への影響(QOLの低下)
低血糖症状が頻繁に起こると、日常生活に制限が生じたり、意欲が低下したりして、生活の質(QOL)が著しく低下します。
自動車の運転中など、低血糖が思わぬ事故につながる危険性もあります。
無自覚性低血糖
低血糖を繰り返していると、体が低血糖に慣れてしまい、血糖値が低くなっても冷や汗や動悸などの自覚症状が現れにくくなることがあります。これを「無自覚性低血糖」と呼びます。
特に高齢者や糖尿病神経障害が進行している方に多く見られ、前兆なく突然意識を失うなど、非常に危険な状態に陥ることがあります。
血糖コントロールの悪化
低血糖を恐れるあまり、インスリンや飲み薬の量を自己判断で減らしたり、ついつい食べ過ぎてしまったりすることがあります。
これにより、かえって高血糖を招き、血糖コントロールが悪化する悪循環に陥ることがあります。
低血糖時の対処法
低血糖の症状が出たら、できるだけ早い段階で糖分を補給することが重要です。
意識がある場合
ブドウ糖10g(市販のブドウ糖タブレット数錠、角砂糖2~3個、ジュース200ml程度など)を摂取します。15分経っても症状が改善しない場合は、再度同じ量を摂取します。
意識がもうろうとしている、または意識がない場合
無理に口から糖分を摂取させると誤嚥や窒息の危険があります。
周囲の人に助けを求め、速やかに医療機関を受診するか救急車を呼びましょう。
糖尿病治療中で重症低血糖のリスクが高い場合は、家族など周囲の人にグルカゴン注射(点鼻薬)の使い方を事前に指導してもらうと良いでしょう。
低血糖は命に関わる危険な状態になることもあるため、糖尿病治療中の方はもちろん、そうでない方も低血糖の症状や対処法について理解しておくことが大切です。
身近な人にも症状や対処法を共有しておくことで、万が一の事態に備えることができます。


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