矢作直樹さん著書『自分を休ませる練習』を参考にしました。
頑張り過ぎない
現代人の多くは「努力すれば報われる」「休むと怠けている」といった価値観に縛られています。
しかし矢作さんは、「頑張り過ぎることは、必ずしも良い結果を生まない」と指摘します。
体力や気力には限界があり、それを無視して走り続けると、心身は確実に摩耗していきます。
頑張り過ぎの背景には、「評価されたい」「認められたい」という他者基準の意識が隠れています。
自分を休ませる第一歩は、「自分がどう感じているか」に立ち返り、疲れたときは立ち止まる勇気を持つことです。
矢作さんは「必要な努力」と「不要な無理」を区別することが大切だと言います。
頑張らない時間をつくることで、体も心も自然に回復し、本来の力が再び湧き上がってくるのです。
今に集中しリラックスする
私たちの多くは「過去への後悔」や「未来への不安」に心を奪われています。
しかし、人が実際に生きているのは“今この瞬間”だけです。
矢作さんは、「心を“今”に戻す練習こそ、最も深い休息である」と述べています。
そのためには、呼吸に意識を向けたり、自然の音を感じたり、五感を使って“いま”の感覚を味わうことが効果的です。
たとえば、コーヒーの香りを感じながらゆっくり飲むだけでも、心は穏やかに整っていきます。
リラックスとは「何もしないこと」ではなく、「今ここにいることを許す」ことです。
過去や未来の雑念から離れ、ただ呼吸し、ただ感じる―この瞬間に意識を戻すたびに、私たちは少しずつ自分を休ませることができるのです。
今すぐ決めなくていい
忙しい日々の中で、私たちは「早く決断しなければ」「答えを出さなければ」と焦りがちです。
しかし矢作さんは、「決めることにも適したタイミングがある」と説きます。
焦って決めた答えは、自分の本心ではなく、恐れや不安からの反応であることが多いのです。
心や体が疲れているときに無理に決断しようとすると、後悔や混乱を生みやすくなります。
そんなときは、いったん“保留”にして良いのです。
「今はまだ決めなくていい」「流れに任せてみよう」と思うことで、心はふっと緩みます。
時間が経ち、心が静まったとき、本当に必要な答えは自然と浮かび上がります。
矢作さんはそれを「自然のリズムに合わせる生き方」と呼んでいます。
無理に結論を出さないことも、自分を休ませる大切な練習のひとつです。
肯定的に想像する
心が疲れているとき、人は無意識に「悪い未来」を想像してしまいます。
「うまくいかなかったらどうしよう」「また失敗するかもしれない」―そうした思考が続くと、脳は常に緊張状態になり、体も固くなります。
矢作さんは、「どうせ想像するなら、良い方向に想像する力を使おう」と勧めます。
肯定的な想像は、心を安らかにし、免疫力や自己治癒力までも高めることが、医学的にも分かっています。
「きっと大丈夫」「すべてはうまくいく」と心の中で唱えるだけでも、神経系が緩み、エネルギーが整っていくのです。
これは単なるポジティブ思考ではなく、意識的に“心を安らぎの方向へ導く”行為です。
不安や恐れに飲み込まれそうになったら、「いい未来を静かに思い描く」ことが、自分を休ませる強力な方法になります。
誰に対しても期待も依存もしない
人間関係の疲れの多くは、「相手に期待すること」から生まれます。
「わかってほしい」「助けてほしい」「変わってほしい」という思いは自然ですが、
それが強くなると、相手の行動や言葉に一喜一憂し、自分の心が振り回されてしまいます。
矢作さんは、「誰かに依存したり期待したりせず、自分の中心で生きることが心の休息につながる」と語ります。
他人は自分の思うようには動きません。
しかし、相手を変えようとせずに「この人はこの人のままでいい」と受け入れた瞬間、心は静けさを取り戻します。
依存も期待も手放すことで、人間関係に余白が生まれ、相手を純粋に尊重できるようになります。
自分の心の平和を他人に預けない―それが“自分を休ませる”最も深い境地です。
朝、目が覚めたことに感謝する
朝、目を覚ますということは、生命が今日も自分の中で確かに働いているということです。
矢作さんは、「目覚めた瞬間に“今日も生きている”と感謝するだけで、一日の心の姿勢が変わる」と言います。
私たちはつい、朝から「やること」や「義務」に心を奪われ、命が続いている奇跡を当然のように受け止めてしまいます。
しかし、本当は目覚めること自体が“与えられた新しい一日”です。
「今日も呼吸できる」「体が動く」「朝の光を感じられる」と意識することで、心は自然に穏やかさと安らぎを取り戻します。
感謝とは、外に向かって誰かに伝えるものではなく、まず自分の内側に“ありがたい”という波を起こす行為です。
朝のこの小さな心の動きが、心身を整え、1日を柔らかく過ごすための最初の“休息の練習”になります。
身体の小さな変化も無視しない
私たちは日々、仕事や家事、思考の忙しさに追われるうちに、体のサインを見落としがちです。
「少し疲れた」「なんとなくだるい」「眠りが浅い」といった小さな変化は、心や体からの“休んでほしい”というメッセージです。
矢作さんは医師として、「人は病気になる前に、必ず体が小さく警告を出している」と言います。
それを無視して動き続けることで、やがて大きな不調に変わってしまうのです。
体の声を聴くとは、症状に反応することではなく、体の“感覚”を日常的に観察すること。
たとえば、呼吸の浅さ、手足の冷え、目の疲れなどに気づいたら、それを「悪い」と決めつけず、「気づけたこと」を大切にする。
そうした“気づきの積み重ね”が、体と心を守る休息になります。
体を無理にコントロールするのではなく、対話するように扱うことが、自分を休ませる最も優しい方法です。
歩くために歩く
矢作さんは、現代人の歩行が「移動手段」になりすぎていると指摘します。
目的地に急ぐための歩行は、思考も体も常に緊張しています。
しかし、“歩くために歩く”―それは、目的を手放し、ただ歩く行為そのものを味わうことです。
一歩一歩の足裏の感覚、風の流れ、光の変化、足音のリズムに意識を向けると、思考が静まり、心が落ち着いていきます。
これは「動く瞑想」とも呼ばれる状態で、心身のバランスを取り戻す効果があります。
矢作さんは、「ただ歩く時間を持つことで、自分の中の自然と再び調和できる」と言います。
歩くことを“義務”や“運動”としてではなく、“生きている証”として感じる。
その瞬間、私たちは自然のリズムに戻り、意識が緩み、深い休息の状態に入るのです。
掃除は場所や物へ感謝する
掃除という行為を、単なる「片付け」や「義務」として行うと、心は疲れてしまいます。
矢作さんは、掃除を“感謝の儀式”として行うことを勧めます。
「この部屋が今日も私を守ってくれている」「この机で学べた」「この食器で食事をいただけた」―そう思いながら手を動かすと、掃除は労働ではなく“祈りの時間”に変わります。
場所や物にはエネルギーがあり、感謝を向けることで空間の気が整い、心も軽くなる。
実際に、丁寧に掃除した部屋では呼吸が深くなり、気持ちが安定することを多くの人が感じます。
掃除は「外を整えることで内を整える」行為です。
感謝の気持ちを込めることで、環境と自分の間に調和が生まれ、その穏やかさが心の休息へとつながります。
生活リズムは身体に任せる
現代社会では、時計やスケジュールに支配され、食事や睡眠のタイミングまで“頭で決めている”人が多くいます。
しかし、体は本来、自分に合った自然のリズムを持っています。
矢作さんは、「本当の健康とは、体の声を聴き、それに従って生きること」と述べています。
たとえば、お腹が空いたときに食べ、眠くなったら休む。
季節の変化に合わせて、行動量や食事の内容を変える―それが、体に任せる生き方です。
「こうすべき」という社会的リズムに無理に合わせるほど、体と心のずれが大きくなり、疲労や不調が蓄積していきます。
一方で、自分の体の欲求に素直に従うほど、生命エネルギーは自然に整い、深い安心感が戻ってきます。
生活を“管理”するのではなく、“委ねる”ことで、本当の意味で休めるようになるのです。
自然の美しさを日々味わう
自然の中に身を置くことは、人間本来のリズムを取り戻す最も効果的な方法です。
矢作さんは、「人は自然の一部であり、自然の美しさを感じるとき、人は最も深く癒される」と説きます。
朝日や夕焼け、風の音、木々の緑、空の青さ――どれも当たり前のようで、実は心を静かに整える大きな力を持っています。
自然を「観察」するのではなく、「感じる」ことが大切です。
たとえば、木の葉の揺れや鳥のさえずりをただ味わうだけで、心拍数が下がり、脳がリラックス状態に入るといわれています。
自然の美しさを感じる時間は、“自分を自然に戻す時間”。
日常の中に自然のリズムを取り入れることで、心の中のざわめきが静まり、「今この瞬間」に戻れるのです。
長くゆっくり呼吸する
呼吸は、心と体の状態を最も正確に映す鏡です。
矢作さんは、「浅い呼吸は緊張と焦りの証。深い呼吸は安心と安定のサイン」と言います。
忙しい人ほど呼吸が浅く、体が常に戦っているような状態にあります。
そんなときこそ、「長くゆっくりとした呼吸」を意識することが、最も簡単で効果的な“休息の練習”です。
ゆっくり息を吸い、ゆっくり吐く。
それを数回繰り返すだけで、副交感神経が働き、心拍が落ち着き、思考が静まっていきます。
呼吸とは、命そのもののリズムであり、「生きている」という感覚を取り戻す鍵です。
矢作さんは、「どんな場所でも呼吸だけは自分で整えられる」と語ります。
つまり、呼吸を整えることは、外の状況に左右されずに“自分を休ませる”最強の方法なのです。
上機嫌は周りも幸せにする
自分の機嫌を自分で取れる人は、まわりの空気をも明るく変えます。
矢作さんは、「自分が上機嫌でいることは、人を幸せにする“静かな貢献”」と述べています。
不機嫌やイライラは、自分の心を濁らせるだけでなく、周囲にも緊張を伝えてしまいます。
反対に、笑顔や穏やかな表情で過ごしていると、その波動が伝わり、人間関係や場の空気までも柔らかくなる。
それは、無理に明るく振る舞うことではなく、「自分の心を軽く保つ努力」をすることです。
好きな音楽を聴く、自然に触れる、美味しいものを食べる―自分を喜ばせる時間を持つことで、上機嫌という“心の余裕”が生まれます。
上機嫌は、他人のためではなく“自分を大切にする結果”として自然に広がる幸福のエネルギーなのです。
パソコンやスマホはたまに休む
私たちは知らず知らずのうちに、画面を通して膨大な情報を浴び続けています。
その情報の洪水が、脳を常に興奮状態に保ち、無意識の疲労を積み重ねていきます。
矢作さんは、「心が落ち着かない原因の多くは、情報の摂りすぎにある」と指摘します。
だからこそ、意識的に「デジタルデトックス」の時間をつくることが、自分を休ませる重要な習慣です。
スマホを置き、静かな時間を過ごすと、最初は落ち着かないかもしれません。
しかし、次第に思考が静まり、本来の自分の感覚や直感が戻ってきます。
パソコンやスマホを休ませるということは、実は「自分の脳を休ませる」こと。
情報を遮断することで、心に“空白”が生まれ、その空白こそが深い休息の入口なのです。
思い立ったら旅に出る
旅とは、日常から少し離れて、自分をリセットするための最良の方法です。
矢作さんは、「旅に出ることは、自分の魂を新鮮な空気に触れさせること」と語ります。
見慣れた景色や習慣から離れると、感覚が研ぎ澄まされ、思考のパターンが崩れ、心が軽くなります。
旅は遠くでなくても構いません。
近くの公園、知らない町、自然のある場所へふらっと出かけるだけで十分です。
大切なのは、「行きたい」と思った瞬間の直感を大事にすること。
それが、心が“変化を求めている”サインです。
旅先で出会う人、景色、偶然の出来事が、自分の心を再び柔らかくしてくれます。
思い立ったら行動に移す―それは、“自分の心に従う練習”でもあるのです。
とにかく目の前のことに集中する
私たちの多くは、何かをしながら別のことを考えています。
「このあと何をするか」「昨日のあれは良くなかった」――その思考が、心を休ませない最大の原因です。
矢作さんは、「今やっていることに意識を集中するだけで、心は驚くほど落ち着く」と言います。
たとえば、食事のときは味に集中し、歩くときは足音に集中し、掃除のときは動作に集中する。
“今”を丁寧に生きることで、心は過去や未来から解放されます。
集中とは、緊張ではなく“没頭”。
一つのことに完全に意識を向けている状態は、瞑想と同じく深い休息をもたらします。
「今ここ」に心を置くこと、それこそが“自分を休ませる”最もシンプルで確かな方法なのです。
あることの有り難み
「ないもの」に目を向けると、心は常に欠乏感を抱きます。
「あるもの」に目を向けると、心は静かに満たされていきます。
矢作さんは、「休めない人は、“足りない”を探してしまう」と述べています。
しかし、よく見ると“すでにあるもの”に囲まれています。
今日食べられるご飯がある、屋根がある、空気がある、健康な部分がある、人とのつながりがある。
それらを一つずつ意識すると、心の中に安心と感謝が広がり、自然に穏やかになります。
「有り難い」という言葉は、“有ることが難しい”という意味です。
当たり前に見えることこそ、奇跡の積み重ね。
それに気づくことができた瞬間、私たちは「もっと頑張らなきゃ」から解放され、ただ生きていること自体に休息を感じられるようになります。
まとめ
矢作直樹さんの『自分を休ませる練習』は、「心と体を自然な状態に戻す」ための方法を教えてくれる本です。
私たちは日々、仕事や人間関係、情報の洪水の中で知らず知らずのうちに無理を重ねています。
本書では、その「頑張り過ぎ」を手放し、心身を穏やかに保つための具体的な習慣が紹介されています。
まず、頑張り過ぎないことが大切だと説かれます。常に全力でいようとせず、少し肩の力を抜いて自分のペースを大切にすることで、自然とエネルギーが戻ってきます。
今に集中してリラックスすることで、過去や未来への不安から解放され、心が軽くなります。
今すぐ決めなくていいという考え方も重要で、焦って答えを出すよりも、時間を味方につけることでより良い選択ができるといいます。
また、肯定的に想像することで、心が前向きになり現実も変わり始めます。
誰に対しても期待も依存もしないことは、自分の心を他人に左右されないようにするための大切な姿勢です。
日々の生活では、朝目が覚めたことに感謝するところから始まります。
生きていること自体が奇跡であり、その感謝が一日を穏やかにします。
身体の小さな変化を無視しないことで、自分を大切に扱う感覚が育ちます。
歩くために歩くことは、目的を持たずただ自然と一体になる時間を持つということです。
掃除は場所や物への感謝を込めて行うことで、空間と心が同時に整います。
生活リズムは身体に任せることも大切で、無理にコントロールしようとせず、自然な欲求に従うことが本当の休息につながります。
さらに、自然の美しさを日々味わうことで感性が磨かれ、心が静まります。
長くゆっくり呼吸することは、緊張や不安を和らげる最も簡単なリセット法です。
上機嫌でいることは、自分だけでなく周囲の人の心も温かくします。
パソコンやスマホをたまに休ませることで、情報から距離を置き、自分の内側の声を感じ取れるようになります。
思い立ったら旅に出ることは、環境を変え、自分をリセットする最高の方法です。
最後に、あることの有り難みを感じることが、幸福の土台であり、心を休ませる究極の練習といえます。
つまりこの本は、「自分を休ませる」とは何もしないことではなく、“自然体で生きる力を取り戻すこと”だと教えてくれます。
心も体も穏やかに整い、毎日を感謝と安らぎの中で過ごすための実践書です。


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